2024/12/26

香港故宮文化博物館で2024年12月18日から開催されている特別「紫禁城とヴェルサイユ宮殿:17世紀と18世紀における中仏文化の出会い」。中仏国交樹立60周年を記念して香港故宮文化博物館とヴェルサイユ宮殿のコラボレーションで、紫禁城とヴェルサイユ宮殿という2つで影響しあい、往来した世界遺産の150点近い貴重な宝物(ほうもつ)が香港で初めて一堂に会する展覧会です。

紫禁城 © The Palace Museum
ベルサイユ宮殿 © The Palace of Versailles /T. Garnier

博物館の学芸・保存修復チームは、大変珍しく、貴重な宝物を扱うこの展示のため、展示品の入念な状態チェックを行い、設置をしました。

© The Palace Museum

この展覧会では、17世紀後半から18世紀にかけて中国とフランスの宮廷が文化、芸術、科学、そしてそれ以外の分野で、インスピレーションの影響をしあい、交流してきた豊かな歴史が紹介されています。展示されているのは、王室の肖像画、精巧な磁器、ガラス製品、エナメル製品、織物、書籍、科学機器など多岐にわたります。展示品の中には、故宮博物院が所蔵する中国の一級国宝9点と、ヴェルサイユ宮殿のコレクションから最近収蔵されたものも含まれています。これらの貴重な作品の多くは、香港で初めて展示されます。


中国とフランスの技術や、美意識の交流を現している作品

香港故宮文化博物館の宝物の見どころ:

© The Palace Museum

菊壺(1783年)The chrysanthemum pot (1783)】
「中国の依頼でフランスで作られた菊壺」。この壺は長い間、乾隆帝(在位1736-1795年)に役人が贈った広東省製のものと考えられていましたが、最近、故宮博物院の専門家が「コトー」と書かれた小さな赤い銘文を発見し、この壺がフランスの著名なエナメル職人ジョセフ・コトー(1740-1812)の作品であることが明らかになりました。

 

© The Palace Museum

【矢筒と弓入れ The quiver and bow case】
フランス製織物で弓と矢を収納するために作られた左右対称「レース模様」の矢筒と弓入れは、1736年から1795年の間に作られたと考えられます、この種の錦織は、主にフランスで1720年代に流行しました。この時代、中国は絹織物の一大生産地であり、大量の中国製絹織物をフランスに輸出し、フランスの民衆に大変な人気でした。清の宮廷もまた、フランスの絹織物柄を取り入れた絹織物の生産を試みていました。中国とフランスではこうした絹が重要な媒体として文化の交流を担っていたことを証明しています。


ヴェルサイユ宮殿の宝物の見どころ:

© The Palace of Versailles / Christophe Fouin

【香水用の泉水(1736年~1743年)The perfume fountain (1736–1743)】
中国磁器がフランス宮廷でどのように収集され、装飾されたかを示しています。もともとは王の衣装箪笥に置かれていたもので、ルイ15世(在位1715年~1774年)が所有していた唯一の中国磁器として知られています。中国の景徳鎮の陶磁器職人によって製作されました。精巧な金メッキを施したブロンズの台座は、フランスの職人によるスケッチに基づいてフランスで製作されたものと思われています。華やかなフランス・ロココ様式のこの作品は、中国とフランスの重要な文化交流と融合を物語っています。

© The Palace of Versailles / Christophe Fouin

【陶板に描かれた乾隆帝の肖像(1776年)The portrait of the Qianlong Emperor on porcelain plaque (1776)】
中国の清朝宮廷に仕えたイタリアのイエズス会宣教師ジュゼッペ・パンジ(1733~1812年)が描いた絵がもとになっています。この陶製の板に描かれた肖像画は、王室の庇護の下、フランスのセーヴル製作所で制作されました。ルイ16世(在位1774年~1792年)は、1776年にこの陶製の作品をヴェルサイユ宮殿の書斎に飾りました。後にルイ16世は同じ作品を入手し、乾隆帝への外交の贈り物として贈ったと伝えられています。

 

このように紫禁城とベルサイユ宮殿との交流で使われた宝物の数々を興味深い視点で見ることができます。ぜひ足を運んでみましょう。2025年5月4日まで。


この展覧会にあわせて、ミュージアムでは参加者が、清の第4代皇帝康熙帝(こうきてい)とルイ14世(Kangxi Emperor and Louis XIV)の時代にタイムスリップできるような、インタラクティブなシアターとアートを組み合わせた公開トークや、ファミリー・ワークショップ、学習アクティビティなどを展覧会期間中に開催します。学習アクティビティやプログラムの詳細は、WebサイトやSNSページで発表されますので、チェックしてみてください。

「紫禁城とヴェルサイユ宮殿」は2024年12月18日から2025年5月4日まで
– 香港故宮文化博物館のギャラリー9
– チケットは大人HK$150、学生やシニアHK$75
フルアクセスチケット(大人HK$180、学生やシニアHK$90)をお持ちの方は、本展覧会と 「中国文明の起源」展(ギャラリー8)、その他のテーマ展示(ギャラリー1~7)も同日観覧可能。
– チケット:西九龍文化区のオンライン・チケット・プラットフォーム、チケット・パートナー、または予約可能。
– 詳細はHKPMのWebサイトをご覧ください。

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