2021/01/17
甘麹喳咋(ガム グッ ジャ ジャー)
【甘麹五目豆タロイモ入口ココナッツ汁粉】
「糖朝」とマスメディアの影響などで、日本で香港スイーツといえば、エッグタルト、マンゴープリン、楊枝金露(マンゴージュースとココナッツミルク+ポメロという果実の果肉+肉厚のマンゴー+ミニタピオカのジュース系スイーツ)などがよく知られているが、実際的に香港人自身が日常的に好んで食べているスイーツは「糖水 トンスイ」(汁粉・ぜんざい系)だ。
暖かい甘い汁粉は我々香港人の冬定番スイーツ。寒い乾燥の時期に、薬膳的な「潤いを与えてくれる」「体を温まる」「美容に良い」などの効能があるので、冬になってくると香港人は恋しくなる人が多い。
我々香港人は「糖水」を滅多に朝に食べない。甘いものは胃腸機能を鈍くさせるので、消化不良になりやすい。だから、朝には「糖水」を食べず、胃腸機能をスタートさせ、消化しやすいお粥を食べる。そして、「糖水」専門店は昼から深夜まで営業するのが一般的。
現在の香港では、デザート専門店で糖水を食べるのが普通だ。専門店だと、より多くのメニューから選ぶことができるからだ。しかし、以前は飲茶でも様々な「糖水」を食べることができた。おでんを売り出す四つ切りの容器をご存じだろうか。その容器の約三倍の深さがある、糖水用の容器に糖水を入れ、それをカートで運んでいた。カートにはそれぞれの糖水の名前が書いてあるプラスチック板が貼られており、糖水を食べたいときはカートを呼び寄せて糖水をよそってもらう。ランチの〆としては最高だった。喳咋(ジャ・ジャー)という五目豆のタロイモ入りココナッツ汁粉は、先ほど述べたカートに入っていた汁粉デザートの一つだ。
日本でも最近はカルディや成城石井でレトルト喳咋のようなものが売っているが、日本では「Bur Bur Cha Cha ボボチャチャ」か「Mo Mo Cha Cha モーモーチャチャ」で知られている。「ボボチャチャ」とはマレー語で具が「cha cha(沢山)」入った「Bur bur(お粥)」の様なものを意味していて、ココナッツミルクの中にタピオカやサツマイモ、カボチャ、タロイモなど芋類が入ったデザート。
香港の喳咋はマレーシアの「Bur Bur Cha Cha ボボチャチャ」が変化したものだという話もあった。さらに、喳咋はマカオから香港に伝わって来たという説もあった。なぜ、マレーシアのスイーツがマカオ経由で香港へ伝わって来たのか? 16世紀、大航海時代にマラッカはポルトガルの植民地になり、その後マカオもポルトガル植民地になった。おそらく、ポルトガルの宣教師がマラッカの食材をマカオへ持って行き、その上で、ポルトガルの人気豆スープレシピをアレンジして、
現在の香港人自身が日常的な五目豆タロ芋入りココナッツスイーツになったかもしれない。
喳咋自体も時代とともに変化をしてきた。まだ貧しい時代の香港人は当時甘い汁粉を好んでいたが、舌が肥えた現代の香港人は健康意識を高めたので、だんだん甘くない汁粉を求めるようになっていった。 今の時代に合う健康意識の需要を考慮すると、お砂糖の代わりに甘麹を使うことが良いと思う。
甘麹はリラクゼーションと体を温める効果があると言われ、人体に必須の栄養素がたっぷりある。また、甘麹が発酵の過程で生成された物は腸内の善玉菌の餌にもなるので、腸内環境を改善し、このコロナ禍に免疫力を高めることに対して最適な甘味料なのではないか。
Tips: 喳咋は3部に分かれて作るスイーツ。組み立て式ですので、豆と芋がない時に、タピオカとココナッツソースを組み合わせば、タピオカココナッツ汁粉になるので、是非、いろんな組み合わせをやってみて下さい。香港なら生のタロイモがあるので、是非フレッシュなものを食べてみて下さい。 |
五目豆の茹で方とタロイモの茹で方
〇 材料 (4人分) <豆材料> Hurst’sHamBeens 15 Bean Soupの豆………………… 100g 水…………………………………被せる程度 <煮る材料> 水……………………………..500cc~800cc 塩……………………………………一つまみ 粗甜菜糖……………………………… 30g <タロイモ材料> タロイモ………………………. 50g 水…………………………………被せる程度 | 〇 <豆>作り方 1.豆を被せる程度の水で一晩浸水してからそのまま鍋に入れ中火にかける。鍋が沸いたら弱火にしてそのまま5分煮る。火から下して30分程蒸らす。30分後に蓋を取り、豆をざる上げして、煮汁を捨てる。*豆は渋抜きしたら美味しくなる。 2.鍋に汁気を切った豆を戻し入れて、<煮る材料>の水を500㏄と他の材料を加え、豆を柔らかくまで茹でる。水が足りなくなりそうなら、水を足しておく。汁ごとに取っておく。 〇 <タロイモ>作り方 1.冷凍のタロイモを1㎝角切りにしておく。鍋に適量の水を加え沸騰したらタロイモを入れ、柔らかくまで茹でて、煮汁を捨てる。 **豆と芋は煮過ぎると形が崩れるから注意してください。 |
タピオカの増やし方とココナッツソースの作り方
〇 材料 (4人分) <材料> ミニタピオカ………………………… 70g 水……………………………………… 500㏄ 砂糖…………………………………….. 30g <ココナッツソース> ココナッツミルク……………. 300㏄ 塩麹…………………………………1小さじ (無ければ塩¼ 小さじ) *甘麹……………………………….. 100g (無ければ砂糖全量50g) 砂糖………………………………… 10g *甘麹は米麹:水 1:1発酵したもの。 | 〇 作り方 1.水を沸騰させる。タピオカを加え、半透明になったら砂糖を加えさらに5分を煮る。タピオカをざる上げして、冷水に浸す。一晩浸したら、中の芯が浸水により自然になくなる。食べる直前に水を切ってから使う。 2.ココナッツミルクを鍋に入れ、中火にして沸騰したら他の材料を全て加え、再び沸騰したら、火から下す。 |
それぞれの出来たパーツを好みで組み合わせすれば、自分のオリジナル香港汁粉が完成!
雲姐(ワンジェ)
料理研究家。香港に生まれる。幼少期、平日は祖母、週末は料理が趣味だった父の手料理を食べて過ごす。オーストラリアへ移住を経て、結婚を機に日本へ移り20年以上。中国国際薬膳師、発酵食品ソムリエ、発酵ライフアドバイザーの資格を持ち、中華圏および日本の食文化への造詣も深い。現在は、日本の人々に香港料理を伝えるべく東京で活動中。
人在東京 Prime Kitchen Labo
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