2023/08/15
鹹酸菜炒豬肉
(ハム スン チョイ チャウ ジュ ヨッ)
おばあちゃんの名のない料理
夏に出てくるメニュー : カラシ菜の豚肉炒め
わたしの祖母は名のないメニューをよく作ってくれました。名がないというか、香港のレストラン、テレビの料理番組、雑誌のレシピコラム等々であまり取り上げられたことがないメニューと言ったほうが正しいでしょうか。
蒸し暑い香港の夏に祖母はよく作ってくれたおかずはこれ、『鹹酸菜炒豬肉』(ハム スン チョイ チャウ ジュ ヨッ): カラシ菜の漬物と豚肉の炒めです。『鹹酸菜』は広東省潮州という場所の発酵カラシ菜です。いわば、潮州人のキムチ、唐辛子無しの辛くないバージョンです。 塩辛酸っぱいカラシ菜漬です。
広東省潮州は港に面しているので、タイのアユタヤ時代(13世紀)をはじめ、潮州からタイに渡る潮州人が大勢いました。というわけで、タイ料理は潮州料理の影響が多いようです。タイにも同じようなカラシ菜の漬物があります。タイ語なら「パッカードーン」は廣東語の『鹹酸菜』と同じものになります。
潮州では、秋に収穫したカラシ菜を塩と米汁(あるいはご飯粒)を壺に入れ、発酵させた塩辛酸っぱい漬物です。韓国のキムチの作り方にも似ています。美味しく出来たカラシ菜漬けは独特なシャキシャキ食感があるはずです。漬物なので、お料理にしたら、調味料代わりになるので、なんでも美味しくなります。
近年、豚キムチ炒めは流行しており、わたしの祖母は何十年も前から野菜漬物の豚肉炒めを作った人なので、豚キムチの第一人者と言っても過言ではないと思っています。漬物の炒め物はコクがあり、滋味満点なので猛暑の香港で、食欲が低下している時に祖母がこのバテない料理を作ってくれて大変ありがたかったです。祖母はこの料理とお粥をよく一緒に出してくれました。お粥の中に入れて食べたのが小さい頃の思い出です。
酸味がある『鹹酸菜』は胃液の分泌を促すので、豚肉と一緒に食べることで疲労回復効果が期待されています。。
Tips: 『鹹酸菜』はメーカーによって塩気が違ってくるので、どこまで塩抜きをした方が良いのか、買ったものを水で少しずつ塩を抜きながら味を見て、自分の好みまで塩を抜いてください。*わたしはアジアン食材店でタイのカラシ菜の漬物を購入しました。 |
材料 (2人前)
材料:
鹹酸菜…………………………..80g
豚肉肩ロース………………..100g
ニンニク………………………..10g
豚肉の下味調味料
砂糖………………………….½ 小さじ
醤油………………………….½ 小さじ
胡椒………………………….少々
片栗粉………………………½ 小さじ
サラダ油……………………1 小さじ
合わせ調味料
砂糖………………………….½ 小さじ
醤油………………………….1 小さじ
紹興酒……………………….1 小さじ
胡椒…………………………. 少々
<下ごしらえ>
鹹酸菜を水で塩抜きします(Tipsを参考にしてください)。塩抜きをしたら、ギュッと水気を切り、フライパンを熱し、乾煎りしておく。
豚の肩ロースを厚めの千切りにする。15分ほど下味を付ける。ニンニクは粗みじん切りにする。
合わせ調味料を作っておく。
<作り方>
1.フライパンを熱し、分量外のサラダ油を2小さじ足し、豚肉を炒める。キツネ色になったらニンニクを加える。
2.鹹酸菜を加えて、合わせ調味料をたし、合わせたら出来上がり。
雲姐(ワンジェ)
料理研究家。香港に生まれる。幼少期、平日は祖母、週末は料理が趣味だった父の手料理を食べて過ごす。オーストラリアへ移住を経て、結婚を機に日本へ移り20年以上。中国国際薬膳師、発酵食品ソムリエ、発酵ライフアドバイザーの資格を持ち、中華圏および日本の食文化への造詣も深い。現在は、日本の人々に香港料理を伝えるべく東京で活動中。
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