2023/12/15
『今晚去食北方嘢』(ガム マン ホイ シッ バッ フォン イエー : 今夜、北京料理を食べに行こう)、父の行きつけ北京料理の名店『鹿鳴春』(ロッ メーン⤵️ チョン⤴️)に行くことがすぐ分かりました。
戦後、中国東北地方から香港にやって来た『山東人』(中国東北地方山東省の人)が、地元の山東料理より北京料理を作ったほうが売れやすいため、高級北京料理のお店が次から次へと香港に出来ました。
今の香港人は名前さえ聞いたことがない、以前、銅鑼灣にあった『豪華樓』、『松竹樓』、『東興樓』、尖沙咀にあった『樂宮樓』などなど北京料理の名店がずらり! 北京料理と言っても、やっている人たちは『山東人』たちでした。
コロナ以前まで、頑張って生き残っていた香港北京料理の老舗は僅か二軒、『美利堅京菜』と『鹿鳴春』、二軒とも日本人に馴染みがあり、観光客がよく訪ねて行くお店でしたが、コロナ禍で閉店しました。現在香港で生き残った北京料理の老舗はもうないです。
父がよく連れて行ってくれた『鹿鳴春』はもちろん北京ダックが有名で、締めのデザートで出た『拔絲蘋果』(バッ シ ピン ゴ:中華りんご飴フリッター)は北京料理ではないことを誰も気付かなかったです。
『拔絲蘋果』は山東料理です。香港にやって来た山東人たちは北京料理をやりながら、地元の料理もメニューに入れ込んでありました。
さらに、作り立てのりんご飴フリッターは大変熱いので、すぐには食べられません。レストランなので、お客様を待たせることができず、早く冷やすためにボウルにはった氷水にジャポンと投入して一瞬でフリッター周りのシュガーコーティングをパリッと固めてからお皿に盛り付けます。
山東料理の『拔絲蘋果』はりんごフリッターを飴で絡めた後に互いにくっつけて、お箸で離すときに飴糸が出来て、『拔絲』のように見えるから『拔絲蘋果』と言うそうです。
※写真では、彩りを考えて、いちごとマスカットの冰糖葫蘆(衣を付けずに飴だけでコーティングする北京料理のスイーツ)を添えました。
Tips: フリッターは温め直してからシロップに投入した方がより飴糸が出来やすい。シロップは大変熱くなるので、火傷注意! かなり難しいので注意!
材料(2人分)
フルーツ:
りんご……………………………..¼個
バナナ………………………………1本
衣:
天ぷら粉…………………..………60 g
片栗粉……………………………..20 g
卵白…………………………..…….40 g
炭酸水……………………………..80 g
サラダ油………………………….20 g
シロップ:
グラニュー糖……………………100 g
水……………………………….. 100 g
酢(130度)………………………. ½小さじ
油(140度)……………………….1小さじ
揚げ油………………………….適量
トッピング:
黒ゴマ
<作り方>
1.りんごは皮をむいて一口サイズ角に切ってトースターで120度で10分ほど空焼きしてから軽く分量外の天ぷら粉をまぶす。
2.衣の材料を合わせておく。
3.鍋に揚げ油を170度で温めておく。
4. 1のりんごを2の衣にくぐらせて、鍋に入れ、周りが硬くなったら取り上げる。
5.砂糖と水を鍋に入れ火をかける。温度が130度になったら酢を入れ、おたまでかき混ぜる。さらに140度に上がったら油を入れて、160度になったらりんごを鍋に入れ、シロップと和える。りんごがくっ付いたら、お箸でくっ付いたりんごを離し、糸を引っ張り出す。お皿に乗せて、冷ましてから出す(作り立てのりんご飴は大変熱くなってますのですぐ食べないで)。
雲姐(ワンジェ)
料理研究家。香港に生まれる。幼少期、平日は祖母、週末は料理が趣味だった父の手料理を食べて過ごす。オーストラリアへ移住を経て、結婚を機に日本へ移り20年以上。中国国際薬膳師、発酵食品ソムリエ、発酵ライフアドバイザーの資格を持ち、中華圏および日本の食文化への造詣も深い。現在は、日本の人々に香港料理を伝えるべく東京で活動中。
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