2022/06/12

こんにちは、希望（のぞみ）です。

香港は２月下旬から３月にかけて、新型コロナ感染症の第５波が起こり、気ままに街歩きというのが出来なくなりました。ロックダウンになるかも……という不安の中、日々自宅で過ごし、大切な学校行事などもオンライン開催となり、なんとも言えない閉塞感がありました。

４月、５月とコロナは落ち着きましたが、個人的には新生活に追われてあっという間に過ぎました。最近やっと、時間をとってゆっくり街を歩こうかという気になりました。

かぎ針編みの材料を買うため久しぶりに深水埗へ。コラム第８回でもご紹介しましたが、汝州街（通称ビーズ街）のよく利用するお店に行こうと思ったのですが、

閉まってる……。そして看板の下には移転先の住所が書いてありました。今考えると、開店時間前に行っただけで（香港のお店は開店が遅いことが多いです）、まだここで営業していたのかもしれません。でもこの移転先住所を見たわたしは、とりあえずその場所に行ってみようと思いました。「クエストの始まりだ」となぜか頭に浮かんできました（ゲームのやり過ぎ）。

Googleマップに新住所を入力して、その場所に行ってみましたが、そこは八百屋さんでした。ウロウロしているわたしを見かねて八百屋のチャキチャキおばちゃんは声をかけてきました。広東語ができないので上の写真を見せたのですが、小さい画面の移転先住所など見えるはずもなく、痺れを切らしたおばちゃんは、「そんなん知らないよ、邪魔だからどきな！」的な広東語（いや、実際は全然違うことを言っていたのかもしれませんが、雰囲気と顔の表情はそんな感じでした）で一蹴。そのやり取りを見ていた八百屋のお客さんと、バスを待っていたおばさまが、わたしの所に寄ってきてくれました。一生懸命目を見て話してくれるのですが、やっぱり広東語が分からない（涙）。「広東語が分からないんです」と英語で言うと、バス待ちおばさまは、こっちおいでと手招きをして違うお店の前まで行き、看板を指差して住所の見方を教えてくれました。結局、移転先のお店は発見できませんでしたが、おばさまのご厚意がただただ嬉しかったので、「希望（のぞみ）は香港人の人情に触れる」という別のクエスト完了です！

それから周辺を歩いていると、懐かしいカセットテープやCDを売っているお店の前を通りかかりました。

そういえば、あのDVD探してたんだった……とお店の中に入り店員さんに商品名を言いました。あいにくDVDは取り扱ってないそうで、お店を出ようとしたらいつの間にか看板猫が店先にいました。

人懐っこい猫で、写真を撮ろうとすると寄ってくるのでなかなか撮れなかったけど、そこがまた可愛い。店の前でわたしがしばらく猫の写真を撮ったり戯れたりしていても、店員さんは何も言わずそのままにさせてくれます。こういう所も香港の良い所だと感じています。

またぶらぶら大通りを歩いていると、前から大きな犬（スタンダードプードルでしょうか）が登場。２頭連れのお散歩のようですが、先頭の犬はリードをつけていません。

散歩というより練り歩くというイメージがぴったりで存在感抜群。ワンちゃんたちのパレードは道行く人の注目の的でした。２頭目はカメラ目線で一瞬立ち止まってくれました。雨の日だったので靴を履いていたのにもスター性を感じました（笑）。

このパレードを見送りながら、「街中にアトラクションはいっぱいだ！」と思いました。海外旅行はおろかディズニーランドにも何年も行っていません。でも、香港の街を歩けば心を動かされるアトラクションはそこかしこにあると気づくのです。

最後はオススメのこの果物、マンゴスチン。歩いていて目に留まりました。

「果物の王様はドリアンで、果物の女王はマンゴスチンなんだって。ぜひ食べてみて」と教えてもらったのを思い出し、買ってみました（チャキチャキおばちゃんの八百屋とは違う八百屋で。笑）。

さっぱりとしたヨーグルトのような味わいでとてもおいしかったです。９月頃まで旬らしいので皆さんも挑戦してみてくださいね。

マンゴスチンを選んでいる時、どれが食べ頃なのか、どのくらい買ったらいいのか分からず、まごまごしていたのですが、八百屋のおじさんは最後にサッと１つ多くマンゴスチンを袋に入れてくれました。

わたしはまた、このキラリとした一瞬を見逃さないように街を歩きたいと思います。
 

希望（のぞみ）
神奈川県出身。都内文学館で学芸員として６年勤務。出産後、大連２年、東京２年、香港６年の子育て生活を送る。大連では日本語教師、東京では司書を経験。香港ではライターとして活動中。

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