2024/01/12
オシドリ:オシドリ(鴛鴦)は、鳥綱カモ目カモ科オシドリ属に分類される鳥類。(中略)仲が良い夫婦を「おしどり夫婦」と呼ぶが、鳥類のオシドリは冬ごとに毎年パートナーを替える事が判明している。(Wikipedia「オシドリ」の項より抜粋)
鴛鴦と菠蘿油
奶茶(ミルクティー)、檸茶(レモンティー)、咖啡(コーヒー)といった定番メニューから、紅豆冰(あずきミルク)や雜果賓治(フルーツポンチ)といったスペシャルドリンクに至るまで数々のドリンクが楽しめる茶餐廳ですが、そのごちゃ混ぜ具合をよく表しているドリンクのひとつ、「鴛鴦」(「鴛鴦茶」とも)をみなさんご存知でしょうか?
なかなか見慣れないこの二文字、わたしも書けと言われると自信がありませんが、日本語では「オシドリ」と読みます。そう、「おしどり夫婦」のオシドリです。夫婦の形が様々なように、鴛鴦のスタイルも様々。今回はそんな鴛鴦の世界を覗いてみましょう。
鴛鴦は冬のおすすめドリンクのひとつでもあります
「鴛鴦」と聞いて香港人の大部分が思い浮かべるのは、ミルクティーとコーヒーのミックス。「えっ、その2つが混ざったら喧嘩しないの?」と思われる方もいるかもしれませんが、飲めば納得のカップリング。コーヒーの味わいにミルクティーの滑らかさが加わって、仲睦まじいまま舌から喉へ、胃袋へと吸い込まれていってしまいます。大抵の茶餐廳ではコーヒーもミルクティーも濃い目に淹れているので、朝から飲むと頭が冴えてくるかも?
それではこちらの画像をご覧ください。
三種類揃い踏み、「鴛鴦」はどれだ!?
茶餐廳愛好家のわたしがみなさんに叩きつける挑戦状、「鴛鴦はどれだ!」です。A、B、Cのいずれかが鴛鴦、残りは奶茶(ミルクティー)と咖啡(コーヒー)ですが、このコラムをご覧になるみなさんは正解を見つけることができるでしょうか? 正解は、この記事の最後に!
ところでこの「鴛鴦」、香港だけではなく、所変わってマレーシアでもこの組み合わせは存在していています。マレーシアではマレー語でミックス、ちゃんぽんという意味の”Campur”とコーヒー“Kopi”とを組み合わせて、「Kopi Cham」と呼ばれていますが、その味は香港の鴛鴦とはちょっと違って、紅茶の味が強め。そして香港ではエバミルクと砂糖を使うのが一般的ですが、マレーシアではコンデンスミルクが主流のため、甘さもひと味、ふた味違います。冷たいKopi Cham Aisは甘いのに飲み口があっさり、すっきりしていて、暑い南国の昼下がりにはぴったりです。
マレーシア版鴛鴦のアイス版「Kopi Cham Ais」
話を香港に戻します。この「鴛鴦」は世の大人たちだけのものではありません。「カフェインたっぷりの飲み物はちょっと・・・」というお子様向けの鴛鴦を出す茶餐廳も、数は少ないながらも香港にはあるのです。その名もずばり「児童鴛鴦(こども鴛鴦)」! またの名を「小朋友鴛鴦(ちびっこ鴛鴦)」! お店によっては「細路鴛鴦(おとうと鴛鴦)」! 名前すら多様性の宝庫です! コーヒーではなく「阿華田(オバルティン)」と「好立克(ホーリック)」という香港のスーパーや茶餐廳ではおなじみの麦芽飲料をミックスしていて、カフェインレスで優しいココア味のこども鴛鴦、大人のわたしたちも夜に飲むと安眠できそうですね。なかなか出会えないレアドリンクですが、老舗の茶餐廳を巡ると見つけられるかもしれません。
色味も少しココアっぽさがある「細路鴛鴦」
茶餐廳とは似ても似つかない素敵なティールームでも、鴛鴦の世界は広がっています。銅鑼灣Causeway Bayにある”Afternoon Tea TEAROOM”で楽しめるのは、「鴛鴦」イメージのスフレ! ふんわりとしたたまごの香りと、ぷるんぷるんのスフレが目に、鼻に、五感に訴えかけてきて思わず一気に平らげてしまいたくなりますが、香港の茶餐廳の味にインスパイアされた(のかもしれない)このスフレの目玉、鴛鴦のソースと、レモンコンフィチュールを忘れてはいけません。少しビターなコーヒーと、お紅茶の香りとがソースに凝縮されていて、スフレとの相性が抜群のこのメニュー、茶餐廳の世界観とティールームの優雅な時間とが一緒に楽しめるだなんて、二重にも三重にも「鴛鴦」なのかもしれません。
Afternoon Tea TEAROOMの鴛鴦なスフレ
おしどりも飛んで驚くかもしれないほど、多様性にあふれている香港の「鴛鴦」。鳥のオシドリがパートナーを毎年変えるように、組み合わせを変えるだけで意外な仲睦まじい組み合わせがメニューの中に眠っているかもしれません。今年は自分だけの新たな「鴛鴦」な組み合わせを探しに、茶餐廳に行ってみませんか?
「鴛鴦」の正解はAでした!Bがコーヒーで、Cが奶茶です
akiramujina
九龍を拠点に「茶餐廳愛好家」を勝手に名乗り、ほぼ毎日茶餐廳や冰室に足を運んでいる在港日本人。
趣味は旅行と茶餐廳めぐり。コロナ禍で旅行ができない今は年100店以上の茶餐廳訪問と、年300杯以上の港式奶茶を目標にしています。
どこへでも行くフットワークの軽さが自慢ですが、どこででも食べてばかりいるせいで自身の重さが悩み。
TwitterとInstagramでも食べ物の話ばかりしています。
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