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2025/11/09

香港のおしゃれな雑貨店やアートな土産ショップなどで必ずと言っていいほど見かけるポストカードがあります。イラストといい、色使いといい、紙質といい、全てが申し分なく、丁寧に作られていて、ほっこりかわいいモチーフが一目見ると多くの人の心を奪います。そんな作品を発表するブランドは「ditto ditto」。香港人の若い仲良し姉妹によって作られたブランドで、ポストカードやグリーティングカード、ノートやピン、保温瓶などを観光客や香港好きに向けて展開しています。

ブランドを始めたきっかけはアメリカの大学を卒業して香港に戻ってみたら「日本のようにおしゃれで気の利いたお土産がなかった。それなら自分たちで作ろう!」ということになったそう。アート専攻で、少し人見知りな妹のニコールさんの才能をこのまま埋もれさせたくないという、姉のドナさんの妹を思う気持ちもありました。なぜポストカードかというと、日本のステーショナリーが大好きだったから。「日本のように作り方や紙の質にこだわった高品質で誰もが魅力的に感じてくれるセンスの良い商品を作りたい」と思ったのだそう。そこに彼女たちのDNAである香港愛があいまって誕生したのが、ditto dittoのポストカードなのです。

緑の路面電車(トラム)にWestern Marketや乾物屋などが並ぶ上環エリア
九龍の顔、尖沙咀(チムサーチョイ)。昔ながらのスターフェリーペニンシュラホテル香港から香港の歴史を感じることができる。

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ditto dittoポストカードの魅力

ポストカードを使ったおすすめの楽しみ方

舞台裏、工房を訪ねてー

購入場所


左上、オレンジのビル横から突き出た洗濯物や、屋上で寝転ぶ野良猫、立てかけられた自転車など、細かい描写で普段の街並みが生き生きと蘇ります。湾仔はこんなところ

ポストカードの魅力

1)なんと言っても、一度見たら脳裏に焼きつくイラスト。活版印刷されたぷっくりした凹凸感のある表面。触って気持ちの良い紙質。そしてニコールさんが作り出す色味とカラーバランス。どこをとっても全て良い! 作品です。

活版印刷なので、色のついた部分が刻印のようになる。

2)そしてよく見ると香港の洗濯物やら人々の生活風景など日常が細かく書き記されていて、「あっ!」と思わず声が出てクスッと笑ってしまいます。じっくり見れば見るどほ発見があります。香港に駐在している方が帰国の際には、ご自身が住んだ場所を、観光の方は訪れた場所を、ぜひ持ち帰っていただきたいです。

港町西貢は香港人の心の癒し。西洋人移住率も高く国際色豊かな場所。

3)香港を描いたポストカードは現在のところ全14点あります。これらはニコールさんこだわりの時間の移り変わりをさまざまな色味で表現しています。早朝から夜中までを時系列に並べると、どこかノスタルジックで情緒的な香港の一日が見えてきます。

左上の朝のThe Peak から右へ、4段目右の油麻地(Yau Ma Tei)が夜中のシーン。

ポストカードを使ったおすすめの楽しみ方

ポストカードとしてはもちろん、品質がアートレベルだからこそ、贈り物にも、アートとして飾るのもおすすめです。ここでは4つの楽しみ方をご紹介しましょう!

観光客で賑わう赤柱(スタンレー)。スタンレー周辺はこんなところ。

1)もちろんお土産に!
贈っても受け取っても嬉しい。たくさんの知り合いに配ることもできるし、お菓子などのお土産に添えるメッセージとしても利用できます。

2)1枚をフレームに入れてみたり、好きなカードを選んでコラージュにしてみると、素敵なアート作品に!
ポストカードは1枚1枚、香港の工房で丁寧に制作されています。イラスト部分は凹凸感のある作品なので、フレームに入れて飾ってみると立派なアート作品にも。時系列でコラージュするも良し、お気に入りの場所を集めてみるも良し、ポストカードだからこそ自分流に色々な楽しみ方ができるのです。

3)自分宛に、または友達に香港の切手を貼って郵送してみましょう。
昔は、旅行先からハガキを送ったりして、旅の風を届けることも旅人の楽しみの1つでした。利便性を追求した今となっては、めっきりそのようなめんどくさいことをする人が少なくなりました。でもあえて自分宛に、家族や友達に香港で制作されたハガキにメッセージを添えて、香港切手を貼って投函してみましょう。旅先から送られた素敵なハガキで、旅が楽しかった記憶が鮮やかに蘇るはず。筆者からの提案は、毎回香港に旅行に来るたびに、1枚投函して全作品を揃えて、額縁に入れて飾ること! あなただけのスペシャルな物になるはず。ぜひトライしてみて。やったらぜひ編集部に写真を送ってきてくださいね。空港の出発ロビーには郵便局がありますので、出発前に投函してみては?

4)カードと一緒に、照らし合わせながらその地域を散策してみましょう。描かれた名所やビルや乗り物、人などを見つけられるととても楽しい!
ニコールさんはカードを制作する時に、必ずそのエリアを自分の足で散策するそうです。その時に見たものや写真に撮ったものがカードに描かれています。だからこそ、ちょっと温かみのある懐かしい感じがするのですね。皆さんも、ポストカード片手にそのエリアを散策してみませんか?

右下の横断歩道とSOGOや左下のタイムズスクエアーは銅鑼湾(コーズウェイベイ)のアイコン。中央の高架線下の「打小人(ダーシゥヤン)」や、その上には競馬場も!

舞台裏、工房を訪ねてー

素晴らしいポストカードがどんなところで制作されているのか、黄竹坑にあるditto dittoのオフィス兼工房を訪ねさせていただきました。

左が経営を担当する姉のドナさん。右がイラストを一手に引き受けるアーティストのニコールさん。

オフィスではブランドの顔となる姉妹が温かく迎えてくれました。経営担当のドナさんは、大学で心理学を学び、アーティストのニコールさんはカリフォルニア大学バークレー校でアートを学びました。大学ではたくさんのアートの手法を学びましたが、特に活版印刷について惹かれたそう。

ー筆記用品への思いや、社名について教えてください。

(ドナさん)わたしたちは、手紙を書くことで人々がゆっくりと時間を過ごし、落ち着いて周りを見渡すことができると考えています。少しスローダウンして、手紙に向き合ってもらう。これがわたしたちが最初にやりたかったことです。ブランド名「ditto ditto」のdittoは会話や文書での同意や繰り返しを表現する言葉で、「わたしも」や「同じく」のような言葉として使われます。

人生でも、もしゆっくりと周りを見渡し、2度、3度と繰り返して見直してみると驚くような何かを発見することがあります。思わず笑顔になることがあったり、何かの気づきを与えてくれるものかもしれません。これがわたしたちがやりたいことの始まりだったのです。人生とわたしたちのポストカードは、人生に大切なことが同じなのです。ビジネスとして成立させないといけないこともありますが、コアな部分で信念は持ち続けたいと思っています。

ーアートを勉強してポストカードを作るようになったのはどうして?

(ニコールさん)実は、わたしにとって話すのがあまり得意ではなくて、自分の感情をうまく言葉で表現できないのです。だから、絵を描くことで自分を表現したいし、それがわたしの唯一の才能だと思っています。そのため、その方向に進むことにしました。

わたしは大学でさまざまなメディアを学び、その中で自分を表現するのが好きです。学生の時から友人にグリーティングカードを渡すのが好きで、これが仕事になると良いなと夢見ていました。

ー立ち上げたきっかけと、その後は順調でしたか?

(ニコールさん)UCバークレーを卒業して香港に戻った後、姉が「わたしたちのステーショナリーのブランドを作ってみない?」と誘ってくれました。その時、わたしは香港でパートタイムでアート専攻の修士課程を勉強していたので、隙間時間を使ってブランドを立ち上げることにしました。手動印刷を学び、最初のカードを印刷し、カードを販売してくれる初めての書店もすんなり見つかりました。それは本当に素晴らしい経験でした。

しかし、「このデジタルな世の中、まだグリーティングカードを書きたいと思ってる人がいるのだろうか?」とも頭をよぎり、人々がどのように反応するかは不安でもありました。でも、実際には、カードを書くことを楽しむ人も一定数いて、わたしたちの商品やイラストを評価してくれる人もいることがわかりました。

わたしたちのイラストを気に入ってくれた人が、結婚式の招待状などを注文してくれて、それが自分たちのブランドを支えました。商業的な方向と、わたしたちの思いが詰まったブランド品の両方を展開することで運営していくことにしました。

ーこだわりがあれば教えてください。

(ニコールさん)実際、わたしのスタイルは現在、活版印刷にインスパイアされています。この技法には多くの制約があります。たとえば、1回に1色しか印刷できないので、色を制限しなければなりません。そのため、できるだけ少ない色を使って、わたしが人々に見せたいアイデアを表現しようとしています。

わたしの描き方は、最初に黒いインクで描いてから、それを色に変えるスタイルが好きです。この過程はとても楽しいですが、時間がかかります。異なるレイヤーを分ける作業もあるので、瞑想的でもあります。

わたしが楽しいと感じるのは、印刷を行うときです。今は他のアシスタントが印刷を手伝ってくれるので、自分で印刷することはあまりありませんが、以前は印刷もデザインも行っていました。だから、二つの間で葛藤がありました。印刷しているときは、「どうしてこのデザインを作ったんだろう、印刷するのが難しくなる」と自分に文句を言ったり、デザイナーとしては「これを試してみたい」と思ったりしていました。

新しいことに挑戦するのは難しいこともありますが、それがとても楽しいです。わたしが描くものには、さまざまなシリーズがあり、特に香港をテーマにした作品も多くあります。そのテーマは、香港の異なる時間を表現するというアイデアです。色を使って、香港の異なる時間を表現しています。

原画。ニコールさんのイラストはここから始まる。

そして、わたしはカードの中にちょっとした題材を隠すことがよくあります。なぜなら、香港にはたくさんの風景があるからです。それを見つけることで、より個人的なものにできます。それはただの風景ではなく、わたしの日常生活の中で心に響いたものだからです。だから特別感が出るのかもしれません。

ーポストカード以外にも商品はありますか?

(ドナさん)グリーティングカードや、ノート、ピンやエコバックなどがあります。水筒や保温筒などのCAMELという老舗香港ブランドがありますが、最新作の1つは、その会社とコラボした商品です。ボトルの側面にポストカードに描かれているイラストが転写されているんですよ。

1つひとつのデザインを大切に、そして姉妹で支え合い、尊敬し合い運営するditto ditto。たくさんの香港好きに愛されている理由が、今回わかったような気がしました。ぜひ香港のお土産に、記念品として手に取ってみてくださいね。


ditto dittoの商品をショップで購入したい方は、香港では以下のお店で購入可能です。ただし、全商品の取り揃えではありません。全商品が揃うのはWebサイトのみとなります。

通販ショップ:https://www.dittoditto.net

Eslite Bookstore – HK Island, Kowloon and New Territories
LOG-ON – HK Island, Kowloon and New Territories
LOUDER – HK Island, Kowloon and New Territories
G.O.D Stores – HK Island and New Territories
B’IN Select – HK Island and Kowloon
M+ Shop – West Kowloon・Airport
design gallery – Wan Chai
Kelly & Walsh – Admiralty
Tree Stationery – Causeway Bay
Rcube store – Central

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