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2026/01/15

何十年も香港に住んでいる筆者ですが、こんなレストランがあるとは! 今回は通な人しか知らないであろう、香港の地元っ子が集うレストランをご紹介します。

雪園壹號(Snow Garden)は、灣仔の南洋酒店(サウスパシフィックホテル)にあるレストランです。60年以上もの間、香港の本格的な上海・淮揚(わいよう)料理を提供する代表的なレストランの1つです。淮揚料理とは、江蘇省の淮安(わいあん)と揚州(ようしゅう)から生まれた料理で、食材が豊かな長江・淮河流域の恵まれた場所が発祥です。この料理は隋唐時代に始まり、明清時代に全盛期を迎え、中国四大菜系(山東料理(魯菜)、四川料理(川菜)、広東料理(粤菜)、江蘇料理(淮揚菜/蘇菜))の1つとして確立されています。

今回は期間限定メニューの「雪園跨越六十載八道傳統菜期間限定菜單」(1人HK$488)が食べられるとあって訪れてみることに。コースでは雪園壹號の60年の歴史を辿る8品の伝統料理限定メニューを味わえます。

今回の期間限定メニュー。予約は4名から可能です。本記事冒頭の写真はこちらのメニューの料理です。

実は雪園壹號は60年という歴史もあり、レストランに一歩足を踏み入れるとタイムスリップしたような感覚に。今時珍しいレトロな内装がしっくり落ち着きます。物珍しさも手伝ってキョロキョロしていると、スタッフの方が、「探検しておいで」といってくださったので、お言葉に甘えてレストラン内を見せてもらうことにしました。

このレストランの魅力は、淮揚料理だけでなく、レストランの雰囲気が醸しだす歴史と品格であることは間違いありません。入店して最初に目に入るのが、王家衛の映画にも出てきそうな感じのボックス席。このステンドグラスの色がなんとも言えません。

奥行きがあって、木目調に落ち着いた広々としたダイニングです。大小様々な円卓が並んでいます。

12人は余裕で座れる円卓。大家族の多い香港の人にとっては重宝されるサイズです。

老舗のレストランで時々みられるバーカウンター。広々として贅沢ですね。

個室は3部屋あり、このお部屋は香港でも日本人が多く居住する地域と同じ「黄埔(ワンポア)」という名前。

ゆっくりご飯を食べたり飲んだりしながら、家族や友人とのパーティーも可能。麻雀もできるお部屋もあります。麻雀牌が香港仕様。大きいですね。

雪園壹號は、淮揚料理及び上海料理を香港に根づかせたブランドとして故・揚州の名厨、余久熙氏によって1960年代に香港で創立されました。

1980年代には、余久熙氏の弟子である蔣標氏(写真左)が2代目となり、地元の食通や富裕層、演藝界の著名人に深く愛され、香港の上海料理の発展において重要な役割を担いました。

現在、湾仔の南洋ホテルにある雪園壹號は、蔣標氏の息子、蔣偉源氏(写真右)が3代目となり、60年間の精巧な技術を継承しています。彼は、「雪園」ブランドの伝統的な味を守ることに尽力すると同時に、創作スタイルも取り入れ、香港の上海・淮揚料理を時代に合わせて進化させながら、伝統的な味を啓蒙するよう努めています。

と、いうわけで、なかなか素敵な雰囲気の中、お料理への期待が高まります! やっと落ち着いて着席して待つことに。

最初に出てきたのは前菜です。

4種類の前菜の盛り合わせでは、ハンドメイドの麩に醤が染み込んだ「手撕烤夫」、パリパリに揚げた淡水魚に特製の甘辛醤を絡ませた食感が面白い「上海燻魚」。湯葉を使った「楊州素黄雀」。紹興酒の香りがする「醉香豬手」。日本では「酔っぱらい鶏」で知られる豚足バージョンのようです。コリコリもちもちして酸味がありさっぱりしています。どれも個性が際立ち、お酒に合いそうな前菜でした。

雪園のシグネチャー料理の1つが、ワゴンで運ばれてきた金華ハムスープ「火瞳鶏燉津白湯」。金華ハムと鶏肉、天津白菜のみを使って3〜4時間じっくり煮込んだ調味料の入っていない贅沢なスープです。

配膳してくれる時にはまずは出汁として使われた肉類を皿に取り出し、スープと白菜を取り分けます。肉はお好みで食べることができます。金華ハムはしょっぱいので、たくさんは食べられませんが、味わい深く香りも特別なので、ぜひ試していただきたいです。とろとろな白菜に独特のハムの香りと塩気が染み渡っていて、何杯でも飲めそうです。

ほっとする白菜に味わい深い奥行きのあるスープ。塩気も効いています。

メインディッシュは6つのお料理の中から4つ選ぶことができます。今回わたしたちは、「麻婆豬蹄筋 」「乾燒丸子明蝦球 」「師父樟茶鴨 」「外婆紅燒肉 」を選びました。

豚のアキレス腱と豆板醤を使った創作料理「麻婆豬蹄筋」です。軟骨が好きな人は、食感がなんとなく似ていてきっと好きになるはず。アキレス腱は味が比較的淡白なので、主にスープの材料として使われることが多く、主役になることはあまりありません。今回は豆板醤をしっかりと吸った茄子と一緒に調理することで、豚足の腱の弾力と、汁を吸った柔らかい茄子の二つの食感を同時に楽しむことができます。

日本人には言わずと知れたエビチリ「乾燒丸子明蝦球 」。期待通りのおいしさでした。揚げた米にソースを絡ませて食べると2度違った楽しみ方ができます! いわゆる日本人が好きそうなプリプリなエビの、外せない王道エビチリといった一品でした。

厳選された高品質の米鴨を使用した「師父樟茶鴨 」。まず、独自の塩を擦り込む方法で鴨肉の生臭さを取り除き、自家製の五香粉を均一にまぶします。その後、鴨を蒸し煮し、燻製にした後に揚げて香ばしさを引き出します。米鴨の外皮はパリッと揚がり、内部は肉汁に満ちています。香港では醬に絡めたものが多いので、こういうシンプルな鴨料理は珍しいですね。

「外婆紅燒肉 」は新鮮な豚バラ肉を厚切りにし、焦げ目がつくまで炒めます。これにより、豚肉の生臭さを取り除きます。次に、花椒、八角、香葉、桂皮、上湯、オイスターソース、氷砂糖、老抽(醤油)を混ぜ合わせたソースで豚バラ肉をじっくり煮込み、紅焼肉(豚肉の甘辛煮)に仕上げます。さらに、虎皮卵(焦げ目のついた卵)を加えて鍋で香ばしく炒めます。ご飯かお酒が進むお料理です。

ド迫力な写真になってしまいましたが、こちらは雪園の自慢料理「生煎包(焼き豚まん)」。ジューシーな肉汁がジュワッと口に広がる定番人気料理だそうです。

ここまででかなりお腹いっぱい。友人たちとも楽しくおしゃべりした後に、選んだデザートが香港ではちょっと珍しい「香煎八寶飯」。

上海エリアで人気のある餅米を使ったおこわ菓子で、様々なドライフルーツが入っています。以前Hong Kong LEIでも八寶飯(はっぽうはん)をワンジェさんのコラムでご紹介させていただきました。

八寶飯は、もち米をベースにナツメ、蓮の実、クコの実、竜眼、金柑、豆類、ナッツ類など「八種類」の縁起の良い食材を飾り付けた、甘くて豪華な上海エリアのデザートで、お祝い事や年越しに食べられます。家族の団結や幸福、繁栄を願う意味があります。かなりお腹いっぱいでしたが、なぜかスルッと食べられてしまう不思議。とても興味深い体験となりました。香港で広東料理だけではなく、歴史を感じる雰囲気の中、オーセンティックな地方の中国料理を食べてみたい方。会社の会食やパーティーなどで落ち着いた場所を探している方、ぜひ候補に入れてみるのはいかがでしょうか?

今回ご紹介したコースは4名から1人HK$488(お茶HK$20、お通しHK$20、サービスチャージ10%が別途つきます)。また、こちらのコースに加えて、雪園壹號は香港の淮揚料理界の代表格として、長年にわたり、江蘇省の陽澄湖から直送される大閘蟹(上海蟹)を厳選して使用し、全ての蟹粉はシェフが料理当日に手作業で新鮮なものを取り出しています。コースに追加する場合は別途一皿HK$88/人かかります。1月31日まで。


雪園壹號 (スノーガーデン: Snow Garden)
【南洋酒店(サウスパシフィックホテル: South Pacific Hotel)内】
住所: B1, South Pacific Hotel, 23 Morrison Hill Road, Wanchai
最寄り駅:MTR銅鑼湾駅タイムズスクエアー出口より徒歩7分程度
営業時間 : 11:00-14:30; 18:00-22:00 (月曜〜日曜)
予約: 3897 9618 

 

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