2026/06/10
現在、香港藝術館で東西の庭園をテーマにした特別展「園美生活──中外園林藝術(Blooming: The Art of Gardens in East and West)」が開催中です。モネや北斎作品も見れる大規模な展示会なのに、入館料は無料という素晴らしい機会なのです。2026年7月29日まで開催。
1662年から1722年までの康熙帝の時代や、1736年から1795年までの乾隆帝の時代という昔から、中国の皇帝たちは紫禁城の奥深くに、美しい庭園を築いては日々の政務の疲れを癒やしていました。いっぽう、海の向こうのフランスでも、太陽王と呼ばれたルイ14世(1643年から1715年まで)がヴェルサイユ宮殿に壮大な庭園を造り、権力と美の象徴として世界を驚かせていました。

東洋と西洋、歩んできた歴史や気候はまったく異なりますが、東西を問わず、人間はいつでも「自然の美しさに包まれて、心を平穏に保てる桃源郷」を庭園という形に託して追い求めてきたのかもしれません。そんな、世界の王族や貴族、そして偉大な芸術家たちが愛した庭園の文化が一堂に会するユニークな展覧会が、香港美術館で開催されています。
本展は、中国北京の故宮博物院、アメリカのシカゴ美術館、フランスのヴェルサイユ宮殿、そして地元の香港美術館という、名だたる4つの文化機関が協力して実現した、国際共同展覧会です。
シカゴ美術館所蔵
会場に並ぶのは、選び抜かれた106点もの貴重な絵画や工芸品の数々。展示は、美しい庭園の景観そのものを愛でるエリアから、庭園のなかで人々がどのようにお茶を楽しみ、語らい、レジャーに興じていたかという人々の営みに焦点を当てたエリア、さらには庭園文化からインスピレーションを得て生まれた芸術作品を紹介するエリアへと観客を誘います。

学校の課外授業の一環で、作品の模写をする子どもたちも大勢いました。

2枚あるうちの最初のモネの作品。やはりモネの作品の前にはたくさんの人が集まっていました。
モネの作品「睡蓮の池」シカゴ美術館所蔵
見どころは、歴史を動かした最高権力者たちの庭園だけではありません。世界中から愛される印象派の巨匠クロード・モネや、近代中国画の大家である張大千(チャン・ダーチエン)、長きにわたり明代の芸術界を引っ張った文徴明(ウェン・ジェンミン)といった、名だたるマスターアーティストたちがキャンバスや絹の上に描き出したロマンチックな庭園の姿もたっぷりと堪能できます。彼らが庭園のなかに見出した光や影、精神世界の静けさは、時代を超えて現代に生きるわたしたちの心にも深い感動を与えてくれます。
張大千の作品「Entrance of Bade Garden」香港芸術館所蔵
以下、庭園で生きる花や鳥や虫に魅せられた作品です。
葛飾北斎 シカゴ美術館所蔵
常に自然に向き合っていた葛飾北斎の作品、左から芙蓉、ポピー、ユリ、菊。
北尾重政 シカゴ美術館所蔵
江戸時代中期から後期にかけて活躍した浮世絵師、北尾重政(きたお しげまさ)の作品「3つの菊」
香港藝術館所蔵
庭園は額縁から飛び出して、急須や植木鉢、タイルの装飾での表現へと広がっていきました。どれも色鮮やかできれいですね。
故宮博物院所蔵
シカゴ美術館所蔵
じつは、ここ香港の街中にも、日々の喧騒から逃れてほっと一息つける美しい中国伝統の庭園を鑑賞できる場所があります。それは一般の人も気軽に入れる美しい蓮池や石庭でも知られる鑽石山(ダイヤモンドヒル)にある「南蓮園池(Nan Lian Garden)」です。自由に見学できるので、ぜひ訪れてみてください。
世界各国の歴史と文化が美しく交差するこの特別な空間で、東洋と西洋の庭園が織りなす「癒し空間」にそっと心を委ねながら、あなただけの理想の庭園ライフに想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
園美生活──中外園林藝術(Blooming: The Art of Gardens in East and West)
会期:2026年7月29日まで
香港藝術館(Hong Kong Museum of Art )
住所:10 Salisbury Road, Tsim Sha Tsui, Kowloon, Hong Kong(香港九龍尖沙咀梳士バ利道10号)
営業時間:10:00 – 18:00(月〜水、金) / 10:00 – 19:00(土日・祝日) ※木曜休館(祝日を除く)
混雑対策について:快適な鑑賞環境を保つため、混雑時には柔軟な入場制限や日時指定チケットによる対応がおこなわれる場合があります。
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