2025/03/13
写真は2024年のアートバーゼルの模様
アートバーゼル香港 2025年が3月28日から30日まで香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)で行われます。今回は特にアジア太平洋地域のアートシーンに焦点を当て、42の国と地域から240の出展者が参加し、そのうち23のギャラリーが初出展です。
今回のバーゼルのダイジェストはー
- ▪️エンカウンターズ部門:
- 18点の大型インスタレーションを展示。
- 半数以上の作品が特別制作され、特にモンスター・チェットウィンドの《Lanternfly Ballet》が注目。
- ▪️キャビネット部門:
- 過去最多の36プロジェクトが発表され、アジア太平洋地域のアーティストに焦点を当てた個展形式。
- ▪️MGMディスカバリーズ・アート・プライズ:
- 新進アーティストを支援する賞の最終候補者が発表され、受賞者はフェア期間中に発表。
- ▪️充実したパブリックプログラム:
- フィルム・プログラムやカンバセーションズ・プログラムが一般無料公開。
- ▪️日本からは7つのギャラリーがインサイト部門に参加。
写真は2024年のアートバーゼルの模様
特別展示部門「エンカウンターズ」
「エンカウンターズ」部門は、大型の彫刻、インスタレーション、パフォーマンス作品に特化したキュレーションプログラムで、今年はデジタルアートやデザイン、テキスタイル、自然、人間関係に関連する18点の卓越したインスタレーションが展示されます。半数以上の作品は本フェアのために特別に制作されたもので、特に注目されるインスタレーションとして、スワイヤ・プロパティーズの後援によるモンスター・チェットウィンドの《Lanternfly Ballet》があります。パフォーマンスは3回、金鐘のパシフィックプレイスで無料で行われます。
- ▪️「Passage」: 故パシタ・アバドによるモニュメンタルな絵画3点。
- ▪️「Alteration」: クリストファー・K・ホーによる30点の真鍮彫刻。
- ▪️「Charge」: ルー・ヤンの新作とフランク・ワン・イーフェンによるインスタレーション。
- ▪️「The Return」: ヴァジコ・チャッキアーニによるプロジェクト。
その他、日本人ではミサコ&ローゼン(ザ・ボックスとのコラボレーション)によって紹介される廣直高が、今年の「エンカウンターズ」部門に参加します。今回は、彼が制作したキャンバス作品の中で最も長い作品で、約7.6メートルのキャンバス絵画「The Swimmer」を発表します。この作品は、身体がキャンバス、ロープ、染料、絵具、オイルスティックなどに包まれたり、接着されたりしているそうです。
Berry Campbell | Janice Biala, Les Deux Jeunes Filles |1951 |Courtesy Berry Campbell, New York
「キャビネット」部門
「キャビネット」部門では、参加ギャラリーがテーマごとに展示を行い、過去最多の36プロジェクトが発表されます。アジアの歴史的作品や現代アートに重点を置き、アジア太平洋地域から21名、その他の地域から15名のアーティストの作品が個展形式で紹介されます。
galerie nichido・Katsuzo Satomi (里見勝蔵), “Yatsugatake”, C.1943・Courtesy of galerie nichido
MGMディスカバリーズ・アート・プライズ
新進アーティストの支援を目的として設立されたMGMディスカバリーズ・アート・プライズの最終候補者と国際的な専門家による審査団が発表されました。受賞者はフェア期間中にMGMラウンジで発表され、賞金5万米ドルとマカオでの作品発表の機会が授与されます。
充実したパブリックプログラム
アートバーゼル香港では、フィルム・プログラムやカンバセーションズ・プログラム、エクスチェンジサークルなど、多彩なパブリックプログラムが展開されます。すべてのプログラムは一般無料公開され、特にフィルム・プログラムでは香港の独立芸術機関パラサイトが初めてキュレーションを担当し、30名のアーティストの作品を紹介します。
フィルム
香港の独立芸術機関パラサイトが、2025年度のアートバーゼル香港フィルム・プログラムの企画を担当します。「In Space, It’s Always Night」(宇宙はいつでも夜)と題された今年のプログラムは、イザドラ・ネヴェス・マルケス監督作品の映画『Vampires in Space』(2022年)で扱われたテーマから着想を得ており、同作品は特別上映されます。 フィルム部門は一般無料公開されます。全参加アーティストおよびギャラリーはartbasel.com/hongkong/filmでご覧ください。
フィルム・プログラムでは、30名のアーティストによる作品を集めた7つの上映会を開催します。主な上映作品は以下の通りです。
▪️『Phantom Sugar』(2023年)
香格納画廊(ShanghART Gallery)より、中国人アーティスト、ツァオ・シュウの作品を上映。AI制御による垂直農法を題材に、植物の呼吸が予測可能となる思索的な未来を描き出した作品です。
▪️『Vampires in Space』(2022年)
ウンベルト・ディ・マリーノより、イザドラ・ネヴェス・マルケスの作品を特別上映。地球に似た太陽系外惑星を旅する吸血鬼の一家を描き、ポルトガル出身であるネヴェス・マルケスのクィアとしてのアイデンティティと家族構造への関心を映し出した作品です。
▪️『ANG48』(2022年)
バンコク・シティシティ・ギャラリーより、タイ人アーティスト、チュラヤーンノン・シリポンの作品を上映。アジア映画史のアーカイブ映像を織り交ぜ、人間と金色のカタツムリを融合させた姿をとる知的なオペレーティングシステムを創造した作品です。(Short Film Program | Resilient Echoesの中の1本になります)
▪️『Corpo Fechado—The Devil’s Work』(2018年)
モア・シャルポンティエより、コロンビア人アーティスト、カルロス・モッタの作品を上映。18世紀に西アフリカから奴隷として連れてこられたホセ・フランシスコ・ペレイラが、複数の宗教を融合させた新たな信仰を生み出し、魔術の罪で裁かれるまでの物語を辿ります。
▪️『Memory Dispute』(2017年)
エマリンより、ドイツのアーティスト、スン・テウの作品を上映。ナパーム弾がベトナムの環境と人々に及ぼした影響や、肌の漂白(スキンブリーチング)など、暴力的な改変のかたちを照らし出す短編映画です。
▪️『Good Society』(2024年)
アルカディア・ミッサより、ロンドンを拠点とするアーティストデュオ、ハンナ・クインランとロージー・ヘイスティングスの作品を上映。ヘイスティングスの祖母の記憶を手がかりに、ワイマール共和国期のベルリンにおけるクィアの生とその現代への反響を探る作品です。
ビデオテージによる「The Pixelated You」と題されたプログラムでは、香港を拠点とする5名のアーティスト、ジョリーン・モク、ウォン・ウィンサム・ドゥマラガン、ラム・ウィンツー、ツイ・ホウラム、ジェス・ラウの作品を紹介します。いずれも自身で記録した映像やさまざまな資料からの映像の断片、創作のプロット、再構成された素材を通して他者を探究し、想像する作品です。
ナウネス・アジアによる「Ghostly Metaphors」では、キティ・ヨン、リアル・リザルディ、ユーヤン・ワン、ドンナン・チェンの作品を通じ、過去、現在、未来をつなぐ糸として、多様なメタファーを展開していきます。
Each Modern|中平卓馬 Nakahira Takuma, Untitled|1968 – 70 2024|Courtesy of Each Modern © Gen Nakahira
インサイト部門から7つの日本のギャラリーを紹介
- ▪️Takuro Someya Contemporary Art は、山中信夫のピンホール写真と、岡﨑乾二郎による絵画や壁掛け彫刻のセレクションを展示します。
- ▪️Yutaka Kikutake Galleryは、絵画と写真の融合を探求する杉浦邦恵の混合メディア作品と、光に満ちた油絵を描く三瓶玲奈の作品を組み合わせて展示します。
- ▪️√K Contemporary は、藤松博の作品を発表します。
- ▪️Yoshiaki Inoue Galleryは、嶋本昭三の作品を展示します。
- ▪️Kosaku Kanechikaは、佐藤允の作品を発表します。
- ▪️Standing Pineは、平川祐樹の作品を展示します。
- ▪️YOD Galleryは、原口 典之の作品を発表します。
文化パートナーシップ
アートバーゼルは、香港の非営利団体ネットワークへの支援を続けており、アジアの現代アートを牽引する表現者たちを特集したブランドキャンペーンを実施します。また、香港の美術館や文化施設でも多彩なプログラムや展覧会が開催される予定です。
▪️一般公開
3月28日(金)14:00〜20:00
3月29日(土)14:00〜20:00
3月30日(日)12:00〜18:00
詳細は公式ウェブサイトで確認できます。
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香港の3月はアート月間です!
2025年度のアートバーゼル香港の開催に合わせ、香港の主要な美術館や文化施設でも素晴らしいプログラムや展覧会が展開されます。主な内容は以下の通りです。
▪️1aスペース 「1a space Art Residency」
▪️アジア・アート・アーカイブ 「In Our Own Backyard」
▪️アジア協会香港センター 「Hoo Mojong Retrospective: The Toy」
▪️CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile) 「Lining Revealed – A Journey Through Folk Wisdom and Contemporary Vision」
▪️香港アートセンター 「Collect Hong Kong 2025」
▪️香港藝術館 「The Hong Kong Jockey Club Series: Cézanne and Renoir Looking at the World-Masterpieces from the Musée de l’Orangerie and the Musée d’Orsay」 「‘Perceptual and Intellectual—Explorations into Everything and Oneself」 「Hong Kong Artist Dialogue Series: Beyond Delight」 「Shopping in Canton: China Trade Art in the 18th and 19th Centuries (Phase IV)」 「Art of Gifting: The Fuyun Xuan Collection of Chinese Snuff Bottles」
▪️香港アートギャラリー協会 ギャラリーオープニングデー セントラル・ウエスト香港:3月20日(木) サウスサイド・サタデー:3月22日(土) セントラル・ギャラリー・デー:3月24日(月)
▪️賽馬会創意芸術中心(JCCAC) 「On-site」 「Mini Collectibles」
▪️K11アート・ファンデーション 「Somewhere Near and Far Away: Contemporary Asian American Art」
▪️M+ 「Picasso for Asia: A Conversation」 Lee Mingwei: Guernica in Sand」 「Yasumasa Morimura and Cindy Sherman: Masquerades」 「Danh Vo In Situ: Akari by Noguchi」 「Making It Matters」 「Guo Pei: Fashioning Imagination」
▪️油街実現(Oi!) 「Oi! Spotlight: Adrian Wong」 「Oi! Spotlight: Phoebe Hui」 「Oi! Spotlight: Toyofuku Ryo」
▪️パラサイト 「How to be Happy Together?」 「So Wing Po: Para Site 10F Annex Commission」
▪️大館 「Alicja Kwade: Pretopia」 「Hu Xiaoyuan: Strange Tales of Exile」 「Maeve Brennan: The Goods」
▪️トゥモロー・メイビー 「Chulayarnnon Siriphol: Golden Snail」
▪️ビデオテージ 「Duo-solo Presentation: Jess Lau and Colbie Fung」
Galleria Continua・Michelangelo Pistoletto, Oltre lo specchio,2018・Courtesy of the artist and GALLERIA・CONTINUA・Photographer: Oak Taylor-Smith
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