2024/04/14
そもそも中国緑茶とは
中国茶はその製法によって、黒(プーアール)、白、紅、黄、烏龍(青)、そして緑茶の6種類+再加工茶(花茶など)に分類されます。
多くの日本人にとって、中国茶と聞いて思い浮かべるのは、烏龍茶、ジャスミン茶ではないでしょうか。
実際には中国で生産量、消費量、種類が一番多いのは緑茶です。
ちなみにジャスミン茶は、主に緑茶(烏龍茶の場合も)をジャスミンの花で香り付けした花茶になります。
貴州省「緑茶」の茶葉
中国緑茶と日本緑茶の違い
では、何が違うのかというと、製法です。熱を加え酸化酵素を失活させる方法が、日本茶は蒸すのですが、中国茶は釜炒りです。それにより日本茶は味わいを、中国茶は香りを強調しています。
日本に緑茶が伝わった頃は中国でも蒸していましたが、明時代ごろから釜炒りが一般的になっていき、日本ではそのまま蒸す方法が残ったようです。(一部中国でも蒸す緑茶もあります)
香港で緑茶は・・・
中国緑茶は多くの香港人にとってあまり馴染みがないかも知れません。香港といえば、鉄観音(烏龍茶)かプーアル茶でしょう。これらのお茶に親しんできた福建や広東系の方が多く、レストランでも必ずあるお茶です。
では香港ではどんな種類の緑茶が手に入るのでしょうか。
スーパーのお茶コーナー
スーパーのお茶コーナーは、日本の煎茶や玄米茶、香港陸羽ブランドの烏龍やプーアール、ジャスミンが並んでいます。一つ、名もなき「緑茶」ティーバッグがありました。よく見ると、「オーガニック」&品質と安全性のための「日本の最新全自動化製茶ライン導入」とあります。産地の貴州省をググると、古くは茶の名産地かつ起源の有力候補で、今また中国で一番茶産業の発展目覚ましい広大な茶畑が広がるアツい省だと出てきます。HK$33で10パック、買ってみましょう。
ティーバッグから出して、茶器で少量のお湯で抽出してみます。「青のり」のような、爽やかな旨みの香りですね。苦味や渋みは全くなく、さっぱりしています。日本の緑茶との見た目、味、香りの違いがお手軽に分かりますね。
また、あるお店で色々香港で手に入る緑茶について話を聞いていると、インパクトある大きさ、形の、ちょっと珍しい、太平猴魁(たいへいこうかい)を思いがけず試飲させてくれることがありました。
インパクトある茶葉の「太平猴魁茶」
とはいえ香港のお茶屋さんで売られている緑茶の種類は限られているようで、普段飲みの緑茶ではなく、国を代表するような、龍井(りゅうい/ロンジン)、碧螺春(へきらしゅん)が主です。
新茶の季節、ラベルの見方
中国では立春(2月4日〜)の前後から茶摘みが始まります。
日本緑茶の「八十八夜」(5月4日頃)のように、春分(3月20日頃)から清明節(4月5日頃)前に摘まれたお茶を「明前茶」といい、穀雨(4月20日頃)までを「雨前茶」といい、明前茶は最高級とされています。
「即日明前龍井上市」(明前龍井茶、今入ってますよ)の看板が年中出ている上環にある顔奇香茶荘さんへ、3月中頃新茶の様子を伺いに行ってみました。
上環の顔奇香茶荘さん
「梅家塢」や「西湖」の表記がありますね
その日は珍しく奥のテーブルにも何人か人がいて、老闆(ロウバン:お店の主人の意味)が自ら観光客の接客をしていました。
店先には50g HK$50の龍井茶の小袋が並んでいます。
棚には「西湖」のものと、「23年新茶 珍品 梅家塢明前龍井 HK$100」というのが。
23年?去年のですね。
龍井茶の伝統的な産地は浙江省「西湖(せいこ)」で、「梅家塢(ばいかう)」というのは、「西湖」周辺の「獅峯(しほう)」「虎跑(こほう)」「雲栖(うんせん)」とともに有名な産地です。
老闆に店頭のお茶と新茶について聞いてみると、
老闆「それは舊嘅(古いお茶)、新茶はまだやで、4月にならないと入荷しないよ。新茶は高いよ。100g HK$800」
とのこと。お店によっては3月末頃から先行予約が開始されたり、4月初頭から5月頃に店頭に出始めます。
香港公園や大館の中にある「樂茶軒」さんも見てみましょう。
4月6日の時点では、並んでいる明前獅峰龍井や碧螺春は23年、22年、とあります。それでも50g HK$600と高価ですね。値下げされているものは、それ以前のお茶でしょうか。新茶はまだ来月くらいということでした。
お茶の淹れ方
扁平な形の一芯一葉が特徴的な龍井茶
龍井茶の場合、目安は150cc程度のグラスなら、3gの茶葉に、沸騰させてから85〜90度程に冷ましたお湯をゆっくりとまず少量注ぎ、それから7分目程注ぎ30秒ほど蒸らし、2煎目、3煎目はそれよりも少し長く、を目安に、ご自身のお好みの淹れ方を見つけてみてください。
ちなみにわたしは蓋碗(蓋付きの茶杯)か、ガラス製ピッチャーで淹れ、茶杯へ移して飲んでいます。
今年は初めて行ったお茶屋さんから、西湖明前龍井の新茶を予約購入してみました。
茶葉はグラノーラのような香り。炒ったきな粉のような、ナッツのような、そしてちょっとフルーティーな甘さの香りです。
皆さんも機会があれば、この時期ぜひ新茶を味わってみてください!
Chikako
トロント、NY、シンガポール、今は香港に在住。
各地のライフスタイルや食文化にインスパイアされた器を製作してきた。
香港では中国茶器を楽しくコツコツ製作。
お茶のワークショップも不定期に活動中。
IG : cnycstudio
お茶のワークショップIG : sound_and_tea_room
Hong Kong LEI (ホンコン・レイ) は、香港の生活をもっと楽しくする女性や家族向けライフスタイルマガジンです。
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