2024/09/14

今年は917日が中秋です 

中国では秦代より以前から、秋分には月を愛でていたそうですが、唐代に旧暦815日を秋の収穫を祝い、月を鑑賞する中秋と定めたそうです。 

中秋と言えば月餅。香港では中秋の1ヶ月前位から、引き出し式の立派な大箱や缶入りの多様な種類の月餅が店頭に並びだし、予約受付もスタートします。家族の集まりだけでなく、お世話になっている会社の人や友人にあげたりもらったりと月餅が行き交います。 

月餅の種類 

唐代の宮廷ですでに流行っていたという月餅北京や天津の京式、蘇州式、潮州式など、地域によって特徴があり、餡も多様モダン月餅としてとろけるカスタード「流心奶黄」やチョコレート「流心朱古力」、焼かれていない餅タイプ「冰皮」系、アイスの「雪系などもありますここ香港ではやはり王道は伝統的広式のもの。5種類のナッツ(アーモンド、ひまわりとメロンの種、くるみ、ゴマなど餡の「五仁」、金華ハム入り「金華火腿」、小豆と年数を寝かしたみかんの皮「陳皮豆沙」などがあります最初に一つ選ぶならアヒルの塩漬け黄卵が二つ入った蓮の実の白餡「雙黄白蓮蓉」でしょう。白餡の上品な甘さにほのかな塩気のほっこりした黄卵のコンビネーションはクセになるおいしさです。潮州系のお店では、渦巻き状のパイの潮州月餅も見かけます。 

卓越餅店の月餅 金華火腿、雙黄白蓮蓉、五仁と潮州月餅(餡は緑豆、黒タロ芋) 

老舗の地元ベーカリーの一つ「卓越餅店」特に五仁は複雑な味わいある餡がとてもおいしくて、食べ過ぎてしまいそうです。真空パックのメーカーのものとは違い一両日中のフレッシュなうちにいただくのがベストなのでお土産などには向きませんが、香港の現地でしか味わえない月餅です 

中国茶に合うお茶請けは? 

優しい味わいながら、餡がしっかりコッテリハイカロリーな月餅は、鉄観音などの烏龍茶やプーアル茶といただくとおいしいですね。 

日本の緑茶などは、程よい苦味や渋みもあり、少し甘いお菓子とも相性が良いですが、苦味がなく繊細な香りの中国茶のお茶請けには、優しい甘さのものやドライナッツやフルーツが出されることも多いと思います。 

深圳の慧心茶花园で出てきたお茶請け 

香港での伝統的な広東式スイーツといえば、糖水糖水とは、小豆や緑豆、杏仁、黒胡麻などの汁粉のようなもの、生姜湯に餡入り白玉団子、豆腐花などがありますが、甘さは控えめで、素材も健康的なのでさっぱり頂けます深圳の茶館では糖水や緑豆餅などが出てきました。 

香港のスイーツは優しい甘さのものが多く、ここでいくつかご紹介します 

芝麻餅 

上環にある老舗「陳意齊」燕窩糕(燕の巣が入ったお菓子)が有名ですが、シンプルな鶏餅(バタークッキーや甜合桃(胡桃の飴がけ)などの素朴でベーシックなお菓子も色々あり見るだけでも楽しいお店です。ここでわたしがよく買うのは、芝麻餅白胡麻で覆われた薄いクラッカーのようなもので、これ以上軽いスイーツはあまりないのではと思う食感と甘さです。 

卓越餅店(左)陳意齊(右)

杏仁條 

パンダクッキーや月餅でお馴染みの「奇華餅店」。蝴蝶酥(パルミエパイもおいしいのですが、ここでわたしがよく買うのは、スライスアーモンドの載ったスティック型のパイ、杏仁條サクサクした軽い食感でお土産にもよく買っています。 

杏仁條芝麻餅鳥結糖 

鳥結糖 

上記の奇華餅店をはじめ、いろんなお店で売っているポピュラーなスイーツが、香港のヌガー、鳥結糖です。台湾の牛軋糖が伝わり、香港でも発展したようです。ナッツをはじめ、胡麻やドライフルーツ、キンモクセイの花など、麦芽糖をよく使うせいか、やわらかい甘さで、食感もヌガーより軽いです。ちなみに台湾の牛軋糖の起源はというと、ヌガーの起源と同じ、古代アラブ菓子「ハルヴァ」だそうですシルクロードを通じて中国に伝わったのですね。 

龍髭糖 

綿菓子を丸めたような中にナッツが仕込まれている、別名「皇帝点心」という伝統菓子。以前は香港の路上でもよく実演販売をしていたそうです。初めてみた時、中東のお菓子かなと思ったのですが、起源はシルクロードルートの新疆らしく龍髭糖も起源はトルコによく似たお菓子Pişmaniye(ピシュマニエ)かもしれませんね。 

龍髭糖(左)シリア、トルコのお菓子(右) 

敍叙利亞糕點糖土耳其軟糖果 

中国から思わず中東菓子へ広がりましたが、そんな中東のスイーツを試してみたければ、九龍城にある「ALIBABA」で見つけることができます。ダマスクローズ、ピスタチオ、アーモンド、デイツやアプリコットなどを使った一口サイズの可愛らしいシリア、トルコ菓子お菓子がたどったシルクロードやその歴史に思いを馳せながら、中国紅茶と一緒にどうでしょうか。 

それでは皆様、中秋節快樂 


Chikako

トロント、NY、シンガポール、今は香港に在住。
各地のライフスタイルや食文化にインスパイアされた器を製作してきた。
香港では中国茶器を楽しくコツコツ製作。
お茶のワークショップも不定期に活動中。

IG : cnycstudio
お茶のワークショップIG : sound_and_tea_room

 

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