2023/10/17

前回までのあらすじ

足の親指の化膿は、抗がん剤服用で免疫力低下が原因だった。抗生剤を飲んだので、抗がん剤サイクル5、6は減薬し、副作用も軽く済んだ。40歳の誕生日は友人を招待し盛大にお祝い。39歳で大腸がんになったことはショックだったが、ここまで治療をしてきて良い経験になっていると思えるようになった。


抗がん剤サイクル5から減薬され、体調も万全だった6週間。夏休みに企画した1か月半のヨーロッパ+日本の旅行を目前に、仕事も忙しくしていました。そしてひょんなことから風邪をひいてしまいます。

抗がん剤治療するにあたって最初に言われてたことを思い出しました。免疫が下がり、普段なら感染しないウイルスなどにも感染しやすくなる可能性があるとのことで、寿司などの生ものは避けるように、人混みを避けるようにと。

思ってたよりも風邪をひかないなあ、と安心しきっていた矢先、喉がものすごく痛くなり、普段ならレモンとショウガを煮込んだ汁を飲めば治るのに、なかなか治りませんでした。そしてやっと治ったと思ったら、そこからずっと体調がなんだか優れないのです。ちょっとの階段でもいつも以上にゼイゼイする。夕方からの疲労感が半端なく、犬の散歩に行くのもやっと。もうすぐ旅行なのに、大丈夫だろうか。

そうこうしてるうちに2週間に一回のクリニックの日。旅行のちょうど5日前の受診でした。まず血液を採取して、検査結果が出るまで40分ほど待ってからドクターの診察を受けます。もう通い始めて数か月たつので、白血球の値を見ればだいたい体の状態がわかるのですが、この日の結果を見て、ああ、だから毎日ダルいんだ!と納得がいきました。

4.0以上じゃないと正常じゃない白血球の値が初めて2.0まで下がっていたのです。これはかなりひどい状態。ドクターの診察を受け、体調が優れなかったことを伝えると、間違いなくこの白血球の値が原因で、数週間前にこじらせた風邪のせいだとのこと。数日後にヨーロッパに旅行すると伝えてあったので、またあの白血球増発剤の注射を打つことになりました。まさかこれが次の悪夢の始まりになるとは・・・。

まず、前回も保険がきかなかったこの注射。今回は前回の10倍の値段を請求され(日本円で約17万円)、驚きながらも払いました。そして副作用のお話。ドクターはさらっと、この注射の副作用は関節、骨が痛くなることがある、とだけ言いました。ところが・・・、この注射を打った日の夕方から、全く体に力が入らないほどものすごい疲労感を感じ、ソファから動けなくなってしまいました。頭痛がして、熱をはかると発熱もしていました。会いにいくはずだったパートナーがかわりに来てくれ、テイクアウトの夕飯をもってきてくれました。

次の日、なんとなく体調が改善されてたのと、仕事が入ってたこともあり、少し無理をして仕事へ行き、夕方家へ帰ると、また38度の熱が出ていました。おかしいと思って、白血球増発剤の名前をググると、副作用に発熱、倦怠感、頭痛、関節痛と書いてありました。おいおい、ドクター情報伝達うすっぺらいな! 副作用全部出てました。

さすがに次の日は仕事を休み安静にすることに。そして値段のことも副作用のことも気になったので、クリニックに電話をして、クレームを言うことにしました。まず、副作用がひどかったこと、そしてなにより保険が効かないのに普段の10倍もする値段の注射をしたことについて、する前に値段の説明をするべきだったのではないかと。

ドクターは謝ってくれて、なんとか割引ができないか問い合わせてくれるとのことでした。ドクター曰く、今回は長期の旅行中に体調を崩さないように、効果が長く持続する注射を使ったとのこと。だから高額だったのか・・・それにしても高すぎるでしょう!

副作用はヨーロッパへ出発する前日に何とかおさまり、待ちに待った夏休みのスタートとなりました。1か月過ごしたヨーロッパでもいろんな体調の変化が起きました。前半は抗がん剤最後の8サイクルの始まりだし、お酒も一切飲まず、足の裏の痛みと手の赤みだけが辛かったのですが、南フランスで子どもたちときれいな海に行くためのハイキングをしなければならない日があり・・・これが夏休みで一番辛い日となってしまいました。砂利道で下りも上りも多い片道2時間もかかる道のり。一歩歩くたびに足の裏がひりひり・・・本当に修行のような1日を過ごしました。1日の終わりに足の写真を撮ったのですが、まるで死人のような足でした。

そしてサイクル8も終わり、せっかくフランスにいるし、まわりがロゼワインを毎晩飲むので、抗がん剤が終わった記念に、と毎晩わたしもロゼワインを飲み始めちゃったんです。そして5日後、突然体調に変化が訪れます。なんと朝起きたら、顔が真っ赤に腫れ、頬や、腕、太ももがかゆくてたまらなくなりました。それに加えて手の指がむくんで、指輪が一切動かせないほどになってしまったのです。

怖くて怖くてすぐに抗がん剤クリニックのドクターへメールをすると、何かのアレルギー反応の可能性があるのですぐ現地のクリニックへ行くようにとのこと。心当たりといえば、お酒しかなかったのでとりあえずクリニックには行かずに、お酒をやめて様子を見ることにしました。

つづく


福山さき

2012年、東京から香港に移住。フリーランスインストラクター。小学生、中学生のママ。趣味は、料理とピアノ。


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