2023/05/20

Tasting Table Japan Premium

「Hong Kong LEI – Cover Story」は、香港でがんばる人をご紹介するシリーズ企画です。当記事は、健康と食の安全をお届けする Tasting Table Japan Premium より当企画への賛同と協賛をいただき制作しています。



「サミュエル・ホイから始まった、わたしの『香港』」

 


(目次)

〈香港でも注目されている俳優〉

〈魅惑の香港VCD世界〉

〈香港迷は、それぞれ“好きな香港”がある〉

〈伊藤修子さんに3つの質問〉


 

〈香港でも注目されている俳優〉

2018年のテレビ朝日系列ドラマ『おっさんずラブ』に出演し、「好きになっちゃいけない人なんて、いないんじゃないかしら」と、物語の核心をつくセリフを言う瀬川舞香役で一躍人気となった俳優の伊藤修子さん。TVドラマ・映画・舞台などで、主人公を引き立たせつつ、物語世界に滑稽さと奥深さを出すコメディリリーフとして活躍中だ。バラエティ番組出演時も、MCの松本人志さんから「伊藤さんは、ずっとちょっと面白いよね」と評されるなど、独特の世界観が人を惹きつけている。香港通としても有名で、『おっさんずラブ』が香港でリメイクされたことも相まって、香港メディアも注目している存在だ。そんな伊藤さんが約3年ぶり、通算11回目の香港へ来た4月、茶餐廳でお話を聞くことができた。

伊藤さんの俳優への入り口は大学のサークルだという。絵を描いたり、物を作ったりするのが好きで武蔵野美術大学へ入学。そこで「冗談のひとつでも言えるように」と演劇サークルへ。大学卒業後も劇団に所属し、演じることを続けてきた。

伊藤さんと言えば、”おしゃべり好きなアラフォー女性“がはまり役というイメージがある。若い頃に演じた「コンパで騒いでる女役」や「地味なくせにギャルぶってる役」などを経て、約10年かけて形作られたというこのイメージは、ユニークで観る者の笑いを誘う一方、「独り相撲みたいな芝居だ」、「自分だけが目立とうとしている」と言われることもあるという。

「そんなつもりないし、自分勝手にやってるわけじゃないので心外ですけどね。ただ仕事を与えられたから頑張んなきゃという責任感でやっているのに」と穏やかに語るも、「心外」という言葉に演じることへの気概が感じられた。

 

〈魅惑の香港VCD世界〉

香港好きの人を、広東語で「香港迷(香港ファン)」と呼ぶが、その香港迷の間では、伊藤さんの香港通の一面が注目されている。自身のSNSにも香港の雑貨や食器、手料理が度々登場し、日本でも「香港」を楽しんでいる様子が伺える。大好きな香港で、自身が出演したドラマがリメイク(Viu TVドラマ『大叔的愛』)されたことについて聞いてみた。

「どんな風になるかワクワクしていたのですが、いざ作品を観始めると香港のライフスタイルの方に目が行ってしまいました。登場人物が持っているお弁当が香港っぽいなとか、若い人もこういう料理を作るんだとか、家具はIKEAが多いなとか(笑)」とやはり目の付け所が香港迷だった。

伊藤さんがハマっているのは香港映画や音楽のDVD、CD集め。特に、DVDでのリリースがない古い作品はVCDで手に入れる。VHSとDVDの間に位置するVCD(Video CD)は日本ではあまり流通しなかったが、中華圏では広く普及した。日本で入手困難な作品を、昔ながらのVCD店で買ったり、掘り出し物を探したりするのが伊藤さん流香港の楽しみ方だ。2017年に初めて香港に来た理由も、サミュエル・ホイ(※)のCDを購入するためだった。

香港の映画音楽は、大学の演劇サークルがきっかけで聴くようになった。
「その頃はジャッキー・チェンくらいしか知らなかったんです。サークルの客入れ時にアジアっぽい音楽を流したくて、ジャッキーの映画主題歌やサントラを探し回ったりしました。80年代っぽい感じが良いなと思いました」
大学卒業から15年以上経った頃、突然、他の香港映画にも興味が湧き出したという。コメディ映画『Mr.BOO!』や、今年他界した作曲家のジョセフ・クーの音楽に魅せられ、さらに香港映画や音楽にのめり込んでいった。

約3年ぶりの香港は、VCDを売る店が減っていたという。「VCD店があった廟街が様変わりして飲食店が増えていました。実店舗がCarousell(香港版メルカリ)とかに移行して少なくなっているみたい。VCDを目当てに香港に来る、わたしのような人には厳しい状況です」

しかし今回の旅行でも、健在のVCD店を巡り、貴重な作品を入手できたようだ。

(左)香港島の店 (右)映画『男たちの挽歌』の原型映画を発見!

 

〈香港迷は、それぞれに“好きな香港”がある〉

伊藤さんの話には、マニアックな香港の地名や店名、80年代の映画や歌手の名前が当たり前のように出てくる。香港迷仲間で語り合う時はさぞ盛り上がるのだろうと思いきや、意外な答えが返ってきた。

「日本で香港好きの知り合いは多くいるけど、それぞれ“好きな香港”が違うから話がかみ合わないんです。建築が好きな人や、香港が大好きでもびっくりするほど香港映画には興味ない人とかいて。映画好きな人でも好きな監督や俳優が違うから、また話がかみ合わない。オタクすぎる話は自分も疲れちゃうので(笑)、『香港の食べ物が好き』くらいの気軽に香港を楽しんでいる人の方が話しやすいのかもしれません」

俳優以外に香港映画や音楽への造詣の深さを活かした仕事を期待してしまうが、今のところノープランなのだとか。「占いで、『自分から何かをしようとすると失敗するタイプ』って言われたので、自分発信で何かをしないようにしています」と慎重だ。俳優業に関しても「どんな役をやりたいとか、そういう欲はないです。責任の重い役をやったら蕁麻疹が出ちゃうんじゃないかと……。適度にお休みがあって、こうして香港旅行ができるようなポジションがいいですね」とはにかんだ。自分らしく楽しめる香港が伊藤さんの俳優業を支えているのかもしれない。

※サミュエル・ホイ 70〜90年代の「歌神」と呼ばれた歌手。自身出演の映画『Mr.BOO!』シリーズでは、主題歌・挿入歌も手掛けた。

〈伊藤修子さんに3つの質問〉

Q1 今回の香港旅行で買ったお土産は何ですか?

多多餅店(Door Door Bakery)のヌガーやD2 PlaceにあるHOOPLAのグッズ、その他、食器や仏具まで買ってしまいました。LEIのコラム記事で紹介されていた香港限定「めぐりズム」も買いました。

伊藤さんが今回の香港滞在中に購入した品々

 

Q2 茶餐廳はお好きですか?

まだそんなに極めてはいませんが、1人でも入りやすいので好きです。アバディーンの銀都冰室(Silver Cafe)は閉店の噂があるので行きたかったのですが、今回は行けませんでした。

 

Q3 Mirrorの中で好きなメンバーはいますか?

AKは90年代スターっぽい感じがして良いし、Edanはお芝居も上手ですね。でも、わたしはサミュエル・ホイが好きなんです。今回、紅磡の香港體育館で久しぶりに開催された彼のコンサートに行きました。彼の生歌を聴くのは、これで4回目です。

 

 

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2 件の意見

  • Nozomi より:

    サミュエル・ホイさんの歌を使った音楽劇があるんですね。コメントをいただきありがとうございます!(編集部より)

  • Wingwing より:

    サミュエル・ホイの歌いいですよね。生歌は聞いた事無いですが、カレの歌を使った音楽劇は何回も見ました。

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