2018/03/08

EGLツアーという旅行会社の名前を耳にした事はありますか? EGLツアーは、香港における日本の人気の立役者ともいえる旅行会社で、実に日本を訪れる香港人の60%が、EGLツアーを使っていると言われています。

2020年の東京オリンピックに向け、ますます香港からの旅行者が増える日本、去年は、訪日外国人数が2800万人を超えましたが、そのうちの7割以上が中国、台湾、韓国、香港からの訪問者で占めています。 香港から日本を訪れる人にはリピーターも大変多く、JNTOの調査では、2014年に日本を訪れた香港人のうち、20%以上の人が「10回以上日本に行ったことがある」と回答したそうです。

そこで、香港人旅行者の動向を17年間ずっと見てきたEGLツアーの営業部スーパーバイザー末廣けいこさんに色々とお話を伺ってみました。

まず、驚くのは、EGLツアーの会議室。日本からの伝統工芸やキャラクター物などお土産やグッズが所せましと並べてあります。「すごいでしょ? この17年の間に日本からのグッズは凄い勢いで増え続けて、今では会議室から溢れ出しているんですよ」と末廣さん。

末廣さんが香港を始めて訪れたのは今から40年前、初めて行った香港で、旅行中に知り合った香港人の旦那様と電撃結婚しました。6年間香港で暮らした後、お子さんが幼稚園にあがる頃に、「もっと自然の多い場所でのびのびと子育てがしたい」と、鹿児島に移転しました。その後2001年、お子さんが巣立ったのを機会に、また香港に戻り、かねてから知り合いだったEGLツアーの袁社長の元で働き始めたのだそうです。

当時は丁度日本へ旅行に行く香港人が少しづつ増え始めていた頃。それでも訪日香港人の数はわずかに二十数万人程度でした。

その頃に比べ、2017年の香港からの訪日数は223万人と10倍に膨れ上がり、中国、韓国、台湾に続く4位。そしてこの訪日香港人数の急激なまでの増加に大きく貢献しているのがEGLツアーで、223万人の香港人観光客のうち、160万人は、何らかの形でEGLのサービスを利用し訪日していると言います。

末廣さんの主な仕事は、香港と日本の懸け橋になる事。日本から袁社長を訪ねてくる都道府県の知事や市町村の有力者、また旅行関係者の質問や疑問に答えたり、相談にのったり、アイデアを提案しています。

「日本の人たちが、これを香港の人たちに推したいと考えているものと、香港の人たちが求めているものには、ズレがある事が多くあります。香港を代表するツアー会社として、また香港を良く知る日本人として、その認識のギャップを埋め、香港人にとことん喜んでもらえる日本を提供出来るよう手助けするのが私の仕事です」と末廣さんは語ります。

例えば、新しく香港から日本の地方へ直行便が飛ぶ事になった際、飛行場に置く土産物をどうしたら良いかという相談をよく受けます。地方では、その地域の伝統的な和菓子などを推そうとする事が多いそうですが、末廣さんは、実は香港人は典型的な和菓子より、北海道の「白い恋人」のような、日本で作られる繊細な味や食感を持った洋菓子を好む事、香港人は日本のフルーツが大好物で沢山買い込んで帰国する人が多い事、また香港の空港はフルーツの持ち込みが可能な事などを伝え検討してもらいます。また、お勧めの食品については試食コーナーを設け、まずは味をみてもらう事の重要性を訴え、お土産の売り上げや、ひいてはその場所を人気の観光スポットにするために貢献してきました。

長い間ずっとEGLツアーで働き続けてきた理由を末廣さんに聞くと、間髪入れずに「袁社長を心から尊敬しているからです」と答えが返ってきました。袁社長は、これまで日本各地37カ所から観光大使として任命され、観光アドバイザーを務めているそう。「袁社長と共に日本に出張に行くと、100人以上の人が列になって袁社長と名刺交換をする事もあります」「袁社長は社会福祉にも大変熱心で、東日本大震災時には、会社から1億3千万円の寄付金をいち早く自ら持参しました」袁社長は大震災で日本への観光客がいなくなっても、日本の安全性を訴え、距離的に抵抗の少ない沖縄などに、世界で一番早く観光客を送り出したそうです。会社の利益を社員へ還元するのにも積極的で「2016年には7回もボーナスが出たんです。スタッフを心から大切にしてくれる社長です」と末廣さんは、語っていました。

「日本各地の都道府県、市町村から訪れる方々と一緒に話し合い、知恵を絞り、香港の人々にもっともっと日本の魅力について知ってもらえる為のやりがいのある仕事に携われている事が楽しくてたまらないんです」と末廣さんは言います。

最後に、今香港の人たちに人気の旅行パターンについて聞いてみました。

「今、非常に人気が高いのは体験型の旅行です。紅葉や桜のライトアップ、寿司の握り方を教えてもらえる寿司職人さん体験、そば打ち体験、伝統工芸やガラス細工などのモノづくり体験など。もちろん初心者に根強い人気なのは、大阪や東京観光ですが、今や日本に何度も訪れるリピーター香港人がどんどん増え、旅行の形態が「見る」から「やってみる」に変化してきているのだと言います。

2020年には日本を訪れる外国人訪問客が4千万人超えると言われている中、末広さんは、日本と香港の懸け橋として、益々活躍されていく事と思います。

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