2020/07/15

~わたしたちのカラダは食べたものでできています~

本物の食材を求めて。日本の伝統調味料をお伝えするコラム今回は前回に引き続き、甘味について。

茶色い甘さ メープルシロップ・米飴② 
「おいしいだけじゃない!すごいメープルシロップ」です。

 

お子様にも人気のメープルシロップ!今回は栄養と自然環境とのかかわりについて考えてみましょう。
メープルシロップの原料はサトウカエデの樹液(メープルウォーターとよばれます)です。寒暖差が大きくなる季節、樹木は夜間にたっぷりの水を大地から吸い上げ、糖分を含んだ樹液を流し出すという現象を起こします。糖分を含んだサトウカエデの樹液はわずかに甘く、それを採取して煮詰めたものがメープルシロップです。

なぜ樹液が甘いと思いますか?これは冬のお野菜が甘い理由と同じ、夏の間に光合成により樹木が蓄えたでんぷんを糖分に変えるから。サトウカエデは水分中の糖度を濃くして、冬の寒さで凍らないようにするために、自然が生み出す天然の甘味なのです。

大地、太陽の光、雪解け水など、様々な地球のエネルギーを吸収し、樹液はつくられます。まさに自然の恵みそのもの。自然の、植物の仕組みって本当にすごいですね。
メープルシロップは、栄養価が高いのも特徴です。1500年以前から、身体が元気になる貴重な栄養源として、カナダの先住民たちはこの樹液を飲んでいました。

メープルシロップはミネラルがとても豊富。そのため味わいにも深みやコクがあります。
蜂蜜とよく比較されますが、はちみつよりカロリーも低め。カルシウムは約75倍、カリウムは約12倍、マグネシウムは約18倍、マンガンや亜鉛などの微量元素も含んでいます。ビタミン、タンパク質、65種類ものポリフェノールを含んでいるとの研究結果もあります。
樹木から採取する樹液なので、100%天然素材!農薬の影響がなく、煮詰めることで加熱されるので、お子様が摂取しても安心です。

このように本来、自然の恵みまるごとつまったメープルシロップですが、純粋なメープルシロップではないものも多くあります。これはガムシロップやブドウ糖、水あめを原料とした栄養価のない甘いだけのメープルシロップもどきです。1Lのメープルシロップを作るには、その何十倍もの樹液が必要になるためとっても高価。安価で売っているメープルシロップは、裏面をチェックしてから購入してくださいね。

地球環境からもみてみましょう。
このサトウカエデは、北米の一部地域に自然原生林として自生していて、我々の生活など地球から排出される二酸化炭素を吸収し、酸素をつくってくれます。カナダのメープルシロップ産業を代表するケベック・メープルシロップ生産者協会の調査において、メープル樹林の存在が、地球生態系への公益的機能価値もあることもわかっています。ケベック州のメープル樹林は、年間29万台もの乗用車が輩出する炭素を自然に戻しており、気候へもいい影響を与えているのです。
また、公認されたオーガニックメープルシロップは、品質だけではなく、製造過程で使用する容器の洗浄剤や消毒剤などにも厳しい基準を設けられています。地球環境保全ができているかどうかの視点も大切です。

まさに身体にも安心で、地球の環境も考えられたメープルシロップ。
甘いものの摂りすぎはよくないですが、栄養価の無い精製された白い甘味をとるのなら、栄養価もあり地球のためになるものを。未来のこどもたちのためにも、自然環境を守り、地球の循環の中にあるものを選びましょうね。

砂糖を使わず、野菜そのものの味、甘味を活かす調理法で、身体と味覚を整えていきましょう。お砂糖なしのお料理は、お子さんの心と身体、味覚形成にもおすすめです。まずは、毎日のごはんから、砂糖を控えて、食材の味を活かしてみませんか?
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~毎日のごはんで身体を調える~ 自然食療法家・国際薬膳師・マクロビオティック講師KYOKO
毎日のごはんが、明日の自分をつくる。薬膳マクロビオティック教室では「料理+考える力」を大切にしています。多角的視点で、体調・体質・季節にあわせた食材の選び方や調理法を学びます。生徒さんの様々な体調の質問を皆で読み解き、身体の声が聞こえるようになることが目標です。

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