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2025/05/05

陝西省文化遺産局の協力のもと、香港歴史博物館(HKMH)で「天下一統—陝西省の秦・漢文明」展を開催しています。この展覧会は、陝西省からの130点以上の貴重な展示物と香港の考古学的発見を紹介します。今回の展示には、世界的に有名な秦始皇帝の兵馬俑や漢の景帝の武士像も含まれています。入場は無料で、7月7日までの開催です。

今回の展示は、「中国総合史シリーズ」の第二弾で、中国文明の発展をより包括的に学ぶことができます。このシリーズの最初の展示は、昨年開催された、「河南省の夏・商・周時代の古代文明」展。こちらは100万人以上が訪れ、うち1万人が教師や学生、そして訪問者の約20%は観光客だったそうで、今回の展示も多くの来場者が見込まれます。

秦・漢時代は歴史上初めて統一された中国を築き、2000年以上にわたる中国の歴史的発展に深い影響を与えました。展示では、秦始皇帝の陵墓サイト博物館、漢陽陵博物館、陝西省考古院(陝西考古博物館)から、厳選された100点以上の展示物が紹介されています。これらの展示物の半数以上は香港で初めて公開され、その中の4点は初めて本土外で展示される一級国宝も含まれています。


最初に見られるのが、社会的制度を見てとることができる展示物です。秦時代の一級国宝である3体の兵馬俑は、兵馬俑坑で発見された最高位の戦士である「兵馬俑将軍」(写真手前)、楽器を演奏しているとされる「膝をついた音楽家」(写真左奥)、および2000年以上前の赤色顔料の痕跡が見られる「膝をついた弓手」(写真右奥)が含まれています。これらの兵馬俑は、四方から透明なガラスケースに独立して展示されており、訪問者は全方向から鑑賞できます。

最初の展示室に足を踏み入れると、目の前に現れた大きな「兵馬俑将軍」に圧倒されるでしょう。学芸員にお話を伺うと、身長は196cmあってかなりの大男の印象ですが、制作には、実際の人物を模して作られたそうです。陶製のテラコッタで作られ、制作当時は色が塗られていたそう。彼のヘッドピースが将軍の地位を表す指標となるそうです。表情は、落ち着きと自信に満ちた思慮深い顔をしているとのことです。

この展示室には身分の違う3体が展示されています。今にも動き出しそうな「膝をついた弓手」。将軍の下で働いていたであろう民兵です。頭は長い髪をまとめてヘアバンドで括られています。彼らのような兵士は自前の鎧に身を固めて出兵したそうです。よく見ると鎧の部分に赤い染料が残っているのが見えます。実は彼は、膝をつき弓を抱える、弓手の典型的なフォーメーションを取っていることから、手には木製の弓を持っていたのでなないかと言われいます。今回の多くの出土品の中には木製のものと一緒に作られたものがあり、そういったものは朽ち果ててしまっているそうです。

そして今回3体の中で一番身分が低いとされる「膝をついた音楽家」です。頭には柔らかい帽子を被り、腰にはポーチをつけています。靴は履いていません。手には何かを持っているように見えますね。学者たちは、太鼓や鐘のような何か叩く楽器、もしくは何かの儀式をしているのではないかと考えているそうです。この部屋の奥には、兵馬俑の製造秘密を探求し、秦・漢時代の標準化された単位での中国文字や計測方法なども学べるようなインタラクティブなスクリーンもありますので、ぜひそちらも一緒に見てこれらの神秘に触れてみましょう。

そして時代は進み、こちら漢の時代に作られた陶製の人形。秦の時代に比べると平和な時代だったそうで、顔の険しい表情がなくなっているそうです。このような形になっているのは、皆、木製の馬に跨っていたからだそうです。

そして、陝西省の漢の皇帝と皇后の霊廟の漢陽陵から発掘された漢時代の一連の陶器動物像です。こちらでは当時の家畜業の繁栄を通して経済の様子を見ることができます。これらはすべて当時食べられていた動物だそうで、これらの像は故人が死後の世界を楽しむために埋葬されました。動物のサイズは当時埋葬された人物の社会的地位や豊かさに比例しているそうです。今回、初めて本土外で展示される陶器は、ヤギ、野犬、飼い犬があります。

展示を真正面から見るとまっすぐ並んでいません。これは動物たちが歩いている様子をわざわざ表したんだそうです(笑)。先頭は尻尾が上に上がっている飼い犬。その後ろに続くのが尻尾が垂れ下がっている野犬です。

豚がおいしそうに見えるのはわたしだけでしょうか(笑)。展示室は7つの部屋(写真下)に分かれており、こちらの動物像があるのが3つ目の部屋(黄土色)です。兵馬俑の像があるのが2つ目の部屋にあたるところです。

とにかく見やすいように360度見渡せるようなガラスケースに入っていたり、裏に回って見られるなど、展示方法をとても工夫しているのでじっくり鑑賞しましょう。

それでは5番目(青色)の部屋に向かってみましょう。

秦始皇帝の陵墓から発掘された青銅製の「青銅戦車1号」の1/2サイズのレプリカを見ることができます。古代の戦車の形状と構造を忠実に再現しているだけでなく、馬や戦車の劣化具合なども本物そっくりそのまま作っているそうです。小さいとはいえ、長さ225cm、高さ152cm、幅134cmもある迫力満点なレプリカなので見応えもたっぷり。

他の主な展示物には、秦時代の青銅製の野鶴(写真)、陶器の鋳型、金の円盤、歩行姿勢の裸の戦士像、彩色騎馬像、漢時代の「千秋万歳」と刻まれたタイルの端部などが含まれています。この展覧会では、秦・漢時代の香港の発展も描かれ、香港からの考古学的発見を含む20点以上の展示物が紹介されています。これには、屯門、南丫島などで発掘された漢時代の「五銖」青銅貨幣や、家の陶器モデルも含まれます。

展示会場のあちこちに、アニメーション、インタラクティブゲームを通じて時代背景や文化を紹介するゾーンも設けられていますので、ただ見て回るのではなく、楽しく学べる仕掛けもあります。こちら(写真上)は自分の身長と昔の名のある高官などとの身長を比較するというもの。

展覧会に合わせて、陝西省の専門家や香港の学者による4回の無料公開講座(普通話)や、ミニ兵馬俑や陶製の鏡を作るワークショップなど、魅力的な教育プログラムも開催します。教育キットは香港の小学校と中学校に配布され、アウトリーチプログラムや図書展示も香港公共図書館でも行われます。詳細を知りたい方は、博物館へ直接お問い合わせください。展示会は7月7日まで。

ワークショップ
ミニ兵馬俑(各回定員20名)14:30〜15:30/ 15:30~16:30
場所:メインロビー、1F インタラクティブゾーン
言語:広東語
費用:無料
申し込み:ガイドツアーサービスカウンターより、当日10時よりチケットを配布します。定員になり次第終了。6月6日、13日、20日、27日(金曜日)
6月7日、14日(土曜日)
5月4日、11日、18日、25日、7月6日(日曜日)

展覧会やワークショップ、関連活動の詳細については、Webサイトをご覧ください。

住所: 100 Chatham Road South, Tsim Sha Tsui, Kowloon, Hong Kong (香港科学博物館の隣)
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