2024/07/12

こんにちは、キリです。

7月の暑さの中、みなさんも体を大事にして水分を忘れずに補給しましょう。わたしは足を捻挫したので、今毎日うちでゆっくり休養しています。

せっかくの休みですから、ベルサイユのバラを鑑賞し始めました。50年を超える名作でずっと見たかったのでやっと時間ができて良かったです。

ベルサイユ宮殿での物語で、華やかな雰囲気あふれる作品に違いありません。アニメを見ながら、華麗な18世紀ファッションに魅力を感じてしまう方はきっと少なくないと思います。

そこで、今ならではのチャンスをご紹介します。今年は中国とフランス外交記念60周年に際して、西九文化区にある香港故宮文化博物館が「法國百年時尚──巴黎裝飾藝術博物館服飾與珠寶珍藏(フランスファッションの100年ーパリ装飾芸術博物館所蔵の服飾とジュエリー」)展を開催しています。

展示されたファッションアイテムは全てMusée des Arts Décoratifs(パリ装飾芸術美術館)から香港故宮文化博物館に展示提供され、中にはアジア初上陸のアイテムもたくさんあるとのことです。しかも、展示は男女ともに、1770-1910年代のヨーロッパファッション発展史が見られる珍しいチャンスです。プリンセスドレスを初め、日傘、バッグ、アクセサリーなども含まれ、パーフェクトなファッション展と評価されています。

入口に入ったら、ベルサイユ宮殿の行事に使われているような、紳士や貴婦人の正式な礼服が展示されています。

まさに宮殿に似合うドレスと言えるとても華やかでゴージャスな印象。薄いピンクに女性らしいデザインで胸元のウェーブはレース編みがついていて、ウェスト下からふわっとピンクの薔薇入り刺繍生地がプリンセスさを強調して、高貴の極みです。

やはり、誰でもすぐマリーアントワネットのことを思い出しますね!

隣はお金持ちのお嬢さまが大切にしていた着せ替え人形とミニお洋服。わたし、昔人形服を作るのが趣味だったので、ミニサイズの「ピンクハウス」やロリータファッションをいつも作っていました。このコレクションを見て、昔の思い出が湧いてきました。懐かしすぎます。

フランス宮殿や貴族のファッションといったら、華やかな雰囲気でしょう。男性のファッションも素敵で目が離せないです。

紳士ファッションといえば、当時の男性の間にカツラの使用は流行っていました。カツラの材料は馬の毛と木綿など色々あります。カツラを保存するのも、専用スタンドでカツラを立てて収納していました。

よいセンスを表すために、婦人服に負けないくらい紳士コートの襟にも複雑な刺繍模様が入っていました。

紳士服もサーベルや指輪は素晴らしいデザインで作っています。材質と言えば、宝石はもとより、金銀財宝も貴族たちの誇りとしてよく使われています。

ドレスがちょっと便利になったのが19世紀です。ウェストの下がまっすぐになって、前より速やかに移動ができるファッションになりました。まるでジェーン・オースティンの『高慢と偏見』、『エマ』諸作の主人公が着ている服です。

ガラスケースの中で、肩と背を覆う、袖なしのマントがイギリス帝国の誇りを語っています。これはレースケープと言います。アジアを制覇していた東インド会社が、インドから持ってきた生地で作られたケープは、上流貴婦人達を魅了した後、国内益々のデマンドに応じて、ヨーロッパでも製造を開始したとわかりました。

今までのドレスより短くて移動しやすいレディーススーツの発明も、この展覧会で詳しく説明してくれています。ジャケット、ブラウス・カットソー、スカートのセットアップは1880年頃始まりました。初めてレディーススーツを着ているのはアレクサンドラ・オブ・デンマーク(のちのエドワード7世の妃)だったそうです。ポケットがついているのが前代未聞の特徴だと言われています。

わたしはアジア人として、ある展示物がすごく気になりました。それは、中国模様の刺繍が入っている部屋着のジャケットと、アメリカ製の菊刺繍入りのシルク着物です。19世紀後半にヨーロッパで流行したアジア趣味の影響で、ファッションにも変化が見られました。

豆知識:19世紀の後半、日本の美術や工芸がヨーロッパの芸術家たちに様々な影響を与えていました。後世はこのムーブメントを「ジャポニスム(仏: Japonisme)」と認識します。例えば、ゴッホは浮世絵版画を模写して油彩画を描いたという例が挙げられます。

展示館でたくさんの歴史と芸術が交錯するデザインは、細部までこだわった繊細な傑作です。まるで18世紀のフランスの一部になったかのような気分を味わえます。

皆さんも、ぜひこの展覧会を見逃さないようにスケジュールを組んでみてくださいね。


キリ
日本語教師で旅行作家。唎酒師と観光ガイド資格。特に日本が大好きで年に10回以上は訪れる。著書に『Kiri的東瀛文化觀察手帳』(2017)、『日本一人旅』(2019)、『爐峰櫻語』(2022)がある。香港の誠品商務三聯などの書店で購入可能。
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