2024/08/25

今回はタイトル通り、香港から家族で東京にお引越しをしたご報告になります。Mind WorXクリニックには在籍しながら、オンラインでのカウンセリングを継続しつつ、香港に行く折には、対面でのカウンセリングをと考えております。このような決断に至った経緯としては、香港に日本人心理士がほぼいないという現実があります。誰に相談して良いか分からないとき、オンラインであっても、相談できる場所としての窓口を残せたらという思いからです。その土地の風土、人々の性格、生活様式など、日本人の感覚を持って香港で生活をしたことのある人間にしか分からない悩みや、困りごとに対応できる存在でありたいと思っております。

とはいえ、香港を去る身として、わたしがMind WorXに辿り着き、たくさんの出会いに恵まれるまでをまとめておきたいと思いました。何か香港で挑戦してみたいけれど、どう一歩を踏み出して良いか分からない、キャリアを諦めたという気持ちが拭えない、自分だけ犠牲を背負わされているような気持ちがしてしまう、そんな焦りや心配、鬱々とした気持ちを抱えている方々へ、いつかその想いが花開く日が来るように願いを込めて記したいと思います。

我が家が夫の転職に伴い香港に引っ越してきたのは、2015年の秋でした。来て早々に体調を崩し、ヘルパーさんはもちろん、夫も出張で居ない中、病院に母子で入院したのが最初の思い出です。生活も安定し、ヘルパーさんも雇い、いざ、仕事がしたい!と人材派遣会社に行っては、職歴を見て、「こうした職種の求人はありませんね。個人で何かされた方が良いと思います」と言われ、ボランティアを探しては、「広東語Must」の壁に当たり、思うように自分のやりたいことを見つけられずに悶々とした日々を送る中で出会ったのが、HKU SPACE(香港大学専業進修学院)での中医学、薬膳が学べる講座でした。豚の肺や蛙の卵管を薬膳食として調理し、頂いたのも良い思い出です。LEIのCover Storyでも書いて頂きましたが、講座終了間際、病院に間に合わず自宅で第2子出産。わたしが香港で体験した修羅場、堂々たるナンバーワンでした。

香港で生まれ育った娘

時は2019年、デモがあったり、パンデミックがあったりと、いつ香港を離れても良い心の準備をしておかなければならない状況が続きました。パンデミックの中、劇的にオンライン化が進み、心理職関係のワークショップやセミナーを香港に居ながら受けられるようになったことは、自分の中で消え入りそうな炎を再度、燃やすきっかけになったとも言えます。そんな中、第3子が誕生し、生活は著しく変化していきました。当時、香港生活も5年を迎え、そろそろ、日本に帰るタイミングかもしれないという事も常に頭の片隅にありながらも、香港で何も出来ていないのではないかという焦りがありました。「子どもを3人育てているだけでもすごいよ」、「海外に住んでいるだけで大変なんだから」と言ってくれる家族や友人はありましたが、一方で、「ヘルパーさんがいるだけ日本での子育てより恵まれているんだから幸せよ」とか、「こんな良い環境で子育て出来て幸せじゃない」などと言われる度に、贅沢な悩みだとは分かりつつ、「でもわたしの幸せはそこじゃない!」と強く思う自分もいました。

躍起になって仕事を探しても、本帰国になってすぐ辞めるのでは無責任だし、と思っていた矢先に舞い込んできたのが、現在、働いているMind WorXでの心理職でした。日本語が話せる臨床心理士を探していることを、香港人の友人から聞き、勇気を出して一歩を踏み出すことにしました。2021年の夏のことです。英語でのCVの書き方も分からないところから始まり、顔合わせで指定されたカフェの前を、相手より先にお店に入って良いのか、お店の前で待つのが正解なのか分からず、汗だくになりながら、今、来ました風を装ったことも、今では良い思い出です。医師との会話は和やかに進み、第一関門は突破かとホッと一安心も、今度は保険の壁にぶち当たりました。香港では、わたしのような医療従事者は、損害賠償保険に入らなければならず、色々と保険会社を当たってみたものの、個人で入れるものはかなり高額な保険しか見つかりませんでした。保険に加入できなければクリニックでは働けない、諦めかけたころ、日本の保険会社さんにダメ元で伺ってみたところ、前例がないながらも、手続きを請け負って下さり、3か月ほどかかってようやく保険に加入することができました。いろいろな書類を揃えて働ける状態になったのは、2021年も暮れのころでした。

お世話になったヘルパーさんと子どもたち

香港にいる日本人の皆さんに、もっと気軽に利用して頂けるよう、カウンセリングについて、心の健康や心理学についての情報を発信したいとの思いから、毎月のコラムを書き始めました。2年半の中で、たくさんのクライエントさんとの出会いがあり、わたし自身が学ばせて頂くことも多く、心底、有意義な2年半だったと感じています。全てのご縁に心から感謝しております、本当に有難うございました。

今後も、何か困ったことや心配ごとがあった時、また、自分と深く向き合わなければならない状況が訪れた時、皆さんにとって気軽に訪れられる場所、はたまた駆け込み寺のような存在になれたらと思っています。新しい試みに挑戦するときは、不安や心配は付き物ですが、自分が自分を信じている限り、時は味方に付いてくれると思い、新たな門出に向かいたいと思います。

今後も、以前と変わらず、予約はわたしのメールアドレスに直接送って頂くか、クリニックWhatsAppにご連絡頂ければ、オンラインカウンセリングのご予約が可能です。今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。



河合 まり絵

臨床心理士。日本ではスクールカウンセラーとして、不登校児童や別室登校児童、発達に偏りのある児童への心理的サポートや、精神科クリニックで、パニック障害、PTSD、うつ病、摂食障害などの個別カウンセリングを実施。リワーク外来では、精神疾患などで休職中の患者に対し集団療法を、また、復職後の企業内フォローアップ・カウンセリングを実施。刑務所内では、グループ矯正教育をするなど、教育、医療、産業、司法の分野で臨床経験を積む。香港に移住してからは、3児の子育てに追われるも、縁あって精神科クリニックに復職。

 

OT & P Healthcare/ Mind WorX Clinic
MindWorXはOT and P Healthcareが運営する精神科専門のクリニックです。
中環駅(セントラル)から徒歩2分の場所に位置しており、簡単な日本語を話せる医師と、日本人の臨床心理士が在籍しておりますので、薬の処方と共にカウンセリングを並行して受けることが可能です。投薬はしたくないけれど、カウンセリングを受けたいという方もご相談下さい。

以下のようなことでお困りの方は、是非、一度、ご相談下さい。
・夜、なかなか眠りにつけない、または、朝、早くに目が覚めてしまいすっきりしない
・不安や心配な気持ちがいつも頭を離れない
・過度に食べ過ぎてしまう、または、食欲がない
・子育てに疲れている
・コロナ禍でストレスが溜まっている
・夫や妻、パートナーや他者との関係に悩んでいる など

初回予約の際に日本語でのサポートが必要な方は、marie.kawai@otandp.comにemail を頂ければ、日本語での対応が可能です。

Mind WorX Clinic
OT&P – Internationally Accredited Medical Clinics in Hong Kong (otandp.com)
6/F Century Square, 1 D’Aguilar Street, Central, HK
中環徳己立街1號世紀廣場6樓
Tel: +852 2468 3577
Fax: +852 2111 3850
Appointment WhatsApp: +852 6339 2639


 

Hong Kong LEI ではまり絵先生の無料の質問箱を設置しています。心の不安や悩みなど、カウンセリングはしたことがないけど、カウンセリングについて知りたい方などお申込みください。詳しくは画面をクリック!

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