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2025/09/09

香港藝術館(HKMoA)の「古きを鑑(かんが)み今を識る──敏求精舎65周年(鑑古識今──敏求精舍六十五周年)」展。香港で重要かつ歴史ある蒐集家団体「敏求精舍(Min Chiu Society)」は、富豪の香港人で結成され、1960年の設立以来「好古、敏而求知(古きを敬い、知を求める)」という精神のもと、古物の蒐集に尽力し、芸術の研究に励んできました。香港藝術館では5年ごとに彼らの蒐集品の一部を展示するプログラムを開催してきましたが、今年は設立65周年を迎えることで、大規模な展示となります。メンバーのコレクションから400点以上の中国の芸術的な宝物を厳選。書画、陶磁器、青銅器、漆器、翡翠、竹細工、家具、ガウン、鼻煙壺などが含まれ、貴重な秘宝を一般の人々と共に楽しむことができます。

今回の展示で使われている文字「鑑」は、銅盆に映る自分の姿を見つめるという意味を持ち、この字は後に人の心を見つめることへと延伸されました。器物が単なる実用に囚われてしまうと、それは結局ただの凡物に過ぎません。しかし、もし精巧に作られ、実用性と深い意義が兼ね備わっていれば、それこそがただの器以上の意味合いを持つようになります(1)。古代の物の形や模様は、すべて先祖たちの天地への敬意や秩序の追求を表し、文明が発展して行く中での無言の交流の記録でもあります。その形を観察することで宇宙を垣間見ることができ、模様を観察することで万物の理を悟ることができます。一つ一つの器や物は、古人の精神世界への鍵であり、そこから源を辿ることで、古きを鑑みて今を識ることができるのです。

(1)この意味を中国語で「器以載道」と表現します。中国の古典的な思想に基づくもので、以下のような意味を持ちます。
「器」:器物や道具を指し、物質的なものを意味します。「道」:道理や理念、特に道徳や哲学的な真理を指します。この表現は、物や器が単なる実用性を超えて、深い意義や思想を持つべきであるという考え方を示しています。つまり、器はその形や機能だけでなく、その背景にある思想や価値観を「載せる」ことが重要であるという意味です。これにより、物質的な存在が文化や精神を反映し、より豊かな意味を持つようになるのです。

個人のコレクターが価値を見出し蒐集した作品が一堂に会するまたとない機会です。ぜひ香港の人々の熱い思いも受け取りに来てみてはいかがでしょうか?

「古きを鑑(かんが)み今をる──敏求精舎65周年(鑑古識今──敏求精舍六十五周年)」
香港藝術館 (Hong Kong Museum of Art)

入場料:HK$30 (大人)
HK$21 (団体)
HK$15 (学生・シニア)
Museum Passのお持ちの方は無料
ミュージアムパスについてはこちらをご覧ください。
2026年1月14日まで

蟹を模った入れ物。内側に金箔が貼られている。

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