2023/03/01

先日、九龍の文房具屋で懐かしい発見をしました。わたしが最後にこれを見たのはいつだったか・・・。遠い少女時代に少ないお小遣いをやりくりして買求めた、それはブロマイド。香港に来てまもなく4年。アイドルのファンをしているというのに、ブロマイドを見たのはこの日が初めてでした。果たして香港でブロマイドという商売が成り立つのか。他人事ながら心配です。

というのも、ここ香港ではほとんどお金を使うことなく、様々なアイドルグッズが入手できるんです。それはなぜか。ファンが自主的にアイドルのグッズを作成し、無料で配布しているからなのです。

まずは実物をご覧ください。Mirrorに限らず、香港でのアイドル応援グッズの基本中の基本はこちら、「手幅」です。標準サイズが横45センチ、縦15センチ。小型ポスターといったところでしょうか。推しの新曲リリース時、コンサートやイベントがあった時など、任意のタイミングでファンが自主的に、自腹を切って、自由時間を使ってデザインから作成、配布までを行っているのです。

手幅は応援グッズの基本のキの字。標準サイズと小型サイズがあります。

大みそかに新曲「Loverse」をリリースしたEdan(呂爵安)を例にとると、リリースからわずか2週間後の1月14日のイベントではファンは既に準備万端。会場は新曲MVの画像を使ったグッズの無料配布ゾーンと化していました。こちらは当日配布されたグッズの一部です。

新曲発表直後のイベントでいただいたグッズの数々。新曲の画像が既に多用されています。IG: @aaiimiicc, @kyli_edan

 

常に新しい推しの姿を応援したいファンにとって、このスピード感は重要。今まで最速だったのは、1月30日に公開された写真をデザインした下記の手幅。話に聞くと、画像公開の翌日にはデザインを済ませ、翌々日に印刷屋に出し、即日納品されたとのこと。ファンの情熱と効率的な印刷屋さんとの連携プレーで、たった2日で高品質の手幅がファンに配布されたのです。どうですか、この情熱、このバイタリティー。

Kenzo のブランドアンバサダーとなったEdan
たった2日で手幅配布が開始されたんです❣️IG: @edan_map22

なぜ自ら時間とお金を犠牲にしてグッズを無料で配布するのか・・・それはひとえに推しへの愛でしかありません。カッコいい推しの写真をひとりでも多くの人に見てもらいたい、そして推しのファンをひとりでも多く増やしたい、、、そんなピュアな熱い気持ちが彼女たちの原動力となっているのです。

こうした手作りグッズはファンたちの大きな支持を得ており、ここ香港では市民権を得ているように感じます。デザインがファン視点なので、推しが一番光っている画像を使っていること。製作期間が短いので、新しいデザインが楽しめること。応援に便利なグッズや季節に応じた実用品など、日々の生活が推しで彩られるように工夫されたグッズを出してくれること、、、などなど、ファンのお手製応援グッズは魅力に満ち溢れているのです。

さて、ここで今まで私がいただいた、ファンの熱い気持ちが伝わるグッズを厳選してご紹介します!

まずは「一心同体で賞」。受賞作品はMirror隊長Lokman(楊樂文)ファン作成の応援グッズです。さて、これ↓は何でしょう?

隊長Lokman のタトゥーは鏡に映した時が、正しいサイド。シールを貼る際には要注意。IG: @llokmanncchingg

答えはタトゥーシール。Lokmanの胸にある入れ墨を模しているのです。彼と同じタトゥーを胸に刻むということは、彼と魂を共有したようなもの。これを胸にコンサートに臨めば頭巾兵團(Lokman ファンの愛称)の士気も高まり、応援にも熱が入るというものです。

「細やかな愛で賞」はこちら↓。

この繊細な花束を214個も作るなんて‼️愛の深さに感動です。@ mirror_11030725

普通のプレゼントとしてはスタンダードですが、アイドルの応援グッズとしては激レアな花束です。こちらはEdanのために開催されたバレンタインデーの イベントで配布されました。脆く壊れやすいドライフラワーを束ね、デザインされたメッセージカードを作成、さらにひとつひとつを紐で括り付け・・・制作にとてつもなく手間がかかるシロモノです。作者はこれを214個も作ったとのこと。この美しくもロマンチックなギフトを個人で作成した労力に頭が下がるばかりでなく、214個という数字を選んだ彼女のセンスにも脱帽です。

さて、最後は今までの一番のヒット、「気が利くで賞」はこちらの「よだれかけ」。

AKのよだれかけ。洗って繰り返し使えます。@the.ak.legion

AK(※)主演のボクシングドラマ「縄角」スタートに合わせて作成されたグッズです。ボクシングと言えば、鍛え抜かれたボディーを惜しげもなくさらしてくれる、嬉し恥ずかしのスポーツ。「縄角」ではドラマのための厳しいトレーニングに耐えたAKの完璧ボディーが正装です。さらにLokman とAlton(王智德)という強力ボクサーも「正装」で参戦するんです(=完璧ボディー X3)。そんな胸ときめくドラマを鑑賞するにあたって、このよだれかけがあれば洋服をクリーニングに出す手間とコストが省けます。こんなに考え抜かれた、気が利く応援グッズが他にあるでしょうか。

推しのために情熱を傾け、手間と出費を惜しまず、ユーモアのセンスに溢れている・・・。そんな鏡粉からわたしはいつも元気をもらっています。わたしはMirrorのファンですが、同時にMirrorファンのファンでもあるのです。Mirror、Mirrorファン、いつもわたしの人生を楽しくしてくれてどうもありがとう!

Edanの新曲「Loverse」は日本語字幕でもお楽しみいただけます。こちらのIG リンクからどうぞ↓
https://www.instagram.com/reel/CozqGnADFmB/?igshid=YmMyMTA2M2Y=


紅磡リンダ(ほんはむ りんだ)
夫の転勤に伴い20年にわたる英国生活、広告代理店勤務、編集者稼業に終止符を打ち、2019年に香港に移住。
香港の状況が落ち着き、次ステップを模索し始めた折にMirror 沼に沈没。沼から鏡(ミラー)越しに見える、新しい香港を発見する毎日を送る。

Instagram 紅磡リンダ【星版】qedan_qedan


 

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