2021/07/04
甘麴蜜瓜西米露
(ガム グッ マッ グワー サイ マイ ロウ)
【甘麹メロンタピオカココナッツミルク】
「西米露」(サイ マイ ロウ)とは、ミニタピオカとココナッツミルクの甘い汁粉のことです。もう一つ似たような名前の香港スイーツがあります。それは「西米撈」(サイ マイ ロウ)、広東語の発音はほぼ同じですが、「西米露」の最後の漢字「露」の発音は低め、「西米撈」の最後の漢字「撈」の発音は高めで、「西米撈」の特徴は凍らせたフルーツを攪拌して(フラペチーノのようなもの)をミニタピオカとココナッツミルクの汁粉にかけるスイーツを示しています。二つとも香港の定番スイーツメニューです。
しかし、グーグルで「西米露」を検索すると、なんと検索結果は台湾スイーツとして出てくることが多く、とても驚きました。「西米露」は香港発祥のスイーツで、私が小さい頃から存在しており、その後、台湾に伝わって行ったかもしれません。
90年代、香港で大ヒットしたスイーツ・チェーン店「許留山」(ホイ ラウ サン)は一世を風靡したマンゴー尽くしのスイーツでした。香港スイーツの元祖で、フルーツをたっぷりとココナッツミルクに載せるメニューを開発した第一人者です。日本のガイドブックにも必ず書いてあったほど日本人観光客に圧倒的人気があるお店でした。
近年、「許留山」は中国企業に買収され、マネジメントが変わり、主に観光客向けのビジネスから離脱しました。地元の香港住民は他のスイーツ専門店へ足を運ぶようになり、逃亡犯条例改正案に端を発するデモやコロナの煽りを受け、苦境に陥りました。その結果、ついに最近、会社の清算手続きに入りました。
香港スイーツの第一人者の「許留山」は消えしまいましたが、フルーツココナッツ汁粉は香港定番のスイーツであることは変わりません。
香港では様々なフルーツにココナッツミルクを使用していますが、その中、実はメロンは一番扱いが難しいです。
メロン自体は苦くなる食べ物です。
1.食べ頃を過ぎて熟れ過ぎてしまって、発酵が進むことによって苦くなる。
2.メロンには元々苦味成分が含まれていて、メロンが成長する過程にその苦味成分は減って行くが、その苦味成分が減って行く前の未熟な状態で収穫してしまうと苦いこともあります。
3.メロン自体の病気が原因。具体的には「バラ色カビ病」という病気です。ククルビタシンという成分による苦味です。
4.メロンと牛乳を合わせると苦くなります。それはメロンの酵素は牛乳のタンパク質を分解して、苦味がある物を生成します。
フルーツは美味しいですが、苦味があるフルーツは、なかなか受け入れられないでしょう。
メロンは体内に溜まった熱気を逃してくれるため、高温多湿の香港では、メロンはよく食後に食べられる果物です。今、コロナの影響でなかなか香港へ行けない時期ですが、東京もだんだん蒸し暑くなってきますし、自宅でメロンタピオカココナッツミルクを作って、香港旅行をしたような気分転換はいかがでしょうか。
Tips: メロンと牛乳を混ぜ15分以上経つと苦くなり始めるので、早めに召し上がるのがコツです。 |
タピオカの増やし方と濃厚ココナッツソースの作り方
材料 (4人分)
ミニタピオカ………………………… 70g
水……………………………………… 500㏄
砂糖…………………………………….. 30g
濃厚ココナッツソース:
ココナッツミルク……………. 300㏄
塩麹…………………………………1小さじ
(無ければ塩¼ 小さじ)
*甘麹……………………………….. 100g
(無ければ砂糖全量50g)
砂糖………………………………… 10g
無糖練乳………………………… 50㏄
*甘麹は米麹:水=1:1で発酵したもの。
<作り方>
1.水を沸騰させる。タピオカを加え、半透明になったら砂糖を加えさらに5分煮る。タピオカをざる上げして、冷水に浸す。一晩浸したら、中の芯が浸水により自然になくなる。食べる直前に水を切ってから使う。
2.ココナッツミルクを鍋に入れ、中火にして沸騰したら他の材料を全て加え、再び沸騰したら、無糖練乳を加え、火から下して、冷蔵庫で冷やします。
甘麹ココナッツタピオカメロン汁粉の作り方
材料 (1人分)
メロン………………………….. 適量
[A]
タピオカ………………………. 2 大さじ
濃厚ココナッツソース…… 60g
牛乳…………………………….. 60g
トッピング用メロン………. 適量
<作り方>
1.[A] を合わせておいて、冷やして置く。
2.適量のメロンを攪拌して、細長いコップの1/4まで入れる。
3.1をメロンの上に入れて、トッピング用メロンを載せたら完成です。
雲姐(ワンジェ)
料理研究家。香港に生まれる。幼少期、平日は祖母、週末は料理が趣味だった父の手料理を食べて過ごす。オーストラリアへ移住を経て、結婚を機に日本へ移り20年以上。中国国際薬膳師、発酵食品ソムリエ、発酵ライフアドバイザーの資格を持ち、中華圏および日本の食文化への造詣も深い。現在は、日本の人々に香港料理を伝えるべく東京で活動中。
人在東京 Prime Kitchen Labo
Hong Kong LEI (ホンコン・レイ) は、香港の生活をもっと楽しくする女性や家族向けライフスタイルマガジンです。
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