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2025/02/10

こんにちは、沙季です。

2022年12月の第1回から20回続けてきたこのコラムも、今回でおわり。

香港を去った後も読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました!

さて、今回は、35歳、無職、シングルマザーの限界転職奮闘記の後編と、その後のおはなしです。

 

もはや現実逃避の日々

前回の転職活動編では、なかなかうまくいかず、

東京との求人数の差にがっかりしたり、

自分の実力のなさに落ち込んだり……。

将来の心配しかなくて、もはや悟りをひらいてきました。

ばぁばと孫の午後のひととき。きっと「この子、いったい将来どうするのかしら!?」という不安はあったはずなのに、何も言わずに見守ってくれた両親に感謝しかありません。

ある日、エージェントからの電話が

転職エージェントとのやりとりは続けており、1人、熱心に仕事を紹介してくださる方がいました。

彼女はとても聞き上手で、気付けば仕事のはなしを超えて、これまでどんな人生を歩んできたのかまでお話ししていました。

 

転職活動を進める中で、ここは仕事内容は良いけど、残業が多いので息子さんとの時間が取れなくなりますよ。など、本当に心のこもった仕事をしてくださる方でした。

 

ある夜、彼女から電話があり、「ぴったりの会社を見つけました! でも残念ながら希望職種での募集は現在行なっていないのですが、担当者に沙季さんのことをお話ししたらオープンポジションで面接をしてくれることになりました」と。

 

条件は、

仙台が本社の健康食品会社で正社員採用

残業なし

商品企画と広報・PR職の兼任

 

願ってもない条件だったので、早速面接を設定してもらいました。

 

いざ面接へ

いざ、面接の日。

緊張でガチガチなわたしをよそに、面接は終始柔和な雰囲気で進みました。

 

しかも、プライペートを優先するために帰国したことも理解してくれ、時短勤務をご提案いただいたのです。

「そんな、恐れ多いです。残業がないだけでもありがたいのに」

と、どうしてもこの職が欲しかったわたしは答えましたが、

「時短勤務の社員もたくさんいるし、お子さんが体調不良の際はいつでも看護休暇が取れますよ」

と優しく笑ってくれました。

 

こんな世界があるとは……

泣きそうでした。

 

おかげさまで、今は16時台に退社し、息子との時間もしっかり取れています。

それに、自然豊かな仙台にベースを置きながら、定期的に東京や海外へ出張に行くというライフスタイルも心地よく、ようやく地に足のついた生活が手に入った気がします。

東京は刺激的で楽しいけど、今のわたし達にはゆったりしたこの街が合っている。

今、地方が熱い

この会社の社員は20名程で、平均年齢は34歳。

まだ日本ではあまり一般的ではないですが、KETO(ケトジェニック)という、糖質を控え、良質な脂質とたんぱく質を摂り健康になるという、糖質制限の進化版のようなメソッドを事業の主軸とし、MCTオイルという健康油をメインに販売しています。

Webマーケティングや外注をうまく活用しているので、仙台の地で少ない社員数でも効率よく全国規模のビジネスができるのです。

この会社でのわたしの仕事は、商品の企画開発や、世の中にケトジェニックという概念を広めるためのPR活動。

どちらもチームで動いていて、みんな勉強熱心なため、良い刺激になります。

とても失礼な話ですが、地元にこんな先進的な会社があるなんて思ってもみませんでした。

 

そう。今、地方の中小企業が熱いのです。

 

仕事でよく市場分析をするのですが、マーケティングがうまいなと思って会社概要を見てみると、社員数5名の地方の会社だったりすることも多々あります。

お店に行かなくてもスマホひとつで物が買える時代になり、もはや会社がどこにあるのかはあまり関係なくなってきました。

また、情報量は急速に増え、AIが進化し、アルゴリズムによって、個人に合った広告が表示されるようになりました。

人々は商品に専門性やストーリーを求めるようになり、いわゆるニッチトップと呼ばれるような、規模が小さい隙間市場において圧倒的なシェアを誇る企業が支持されるようになってきたのです。

 

求人数は依然東京との大きな差がありますが、ちいさな会社だからこそ、理念や実力がマッチすれば柔軟に対応してくれるかもしれません。

転職活動中は、求人数が少ないことを嘆きましたが、後から思えば、どうしても入りたい会社があれば、募集がなくても問い合わせてみるという選択肢もあるなと思います。

この転職活動を経て、地方在住を悲観的に見る時代はもう終わってきているのかもと肌で感じました。

 

豊かな時代

世の中全体の価値観も変わってきたなと感じます。

特にコロナ禍以降は、他人の目より自分がどう感じるのかに重きを置く人が増えたのではないでしょうか?

生き方の選択肢はどんどん広がっています。

どこに住んでいても、どんな状況でも、やりたいことを諦めなくてもよくなりました。

豊かな時代になりましたね。

 

今回の転職活動を通じて学んだことは、

自分の価値観を知る。

勉強は力になる。

転職エージェントさんとは良好なコミュニケーションを。

会社の規模や立地に囚われなくて良い。

ということです。

この経験が誰かの選択肢を増やすことにつながったらうれしいなと思い書きました。

 

おわりに

わたしと息子の生活もひとまず安定してきました。

これからも試練はガンガンやってくるのでしょうが、その度に、昔のわたしはどんな事を考えていたかな? とこのコラムを読み返したいなと思います。

日記のようなコラムにお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

6年前のわたしたちと、今のわたしたち。35歳を超えて白髪も出てきて、どんどん丸くなり、疲れやすくなりましたが、その代わりできることも増えてきた気がします。息子も、すくすくといいやつに成長しています。これからの人生も、ふたりなら何があっても大丈夫。これからもよろしくね。

香港の皆さま、どうか自分の心と体を大切に、お元気でいてくださいね。

また、どこかでお会いできる日まで、さようなら!

 


筆者プロフィール

沙季(Saki)

東京の料理教室で講師を5年程務め、
その後独立。妊娠出産を機に湘南へ移住し、
レシピ開発やフードコーディネーターとして活動。
2022年香港に移住し、某日系F&B Companyにメニュー開発者として勤務。
息子とヘルパーさんと3人で暮らしながら仕事をしていたが、ワークライフバランスを優先し2023年末に仙台へ移住。
現在は、健康食品メーカーで広報・PRとして勤めている。

instagram https://www.instagram.com/_sakioo_

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