2023/02/08


今回ご紹介するところ

大石口天后宮(中興街天后宮)
北社天后古廟
玉虛宮(北帝廟)
南氹天后宮
西灣天后宮


LEI読者の皆様、こんにちは。香港の天后廟を巡る日本人ことやんまです。2023年の目標は立てられましたか? わたしは「香港以外の天后廟も巡ること」を一つの目標にしています。福建省はもちろん、そこから周辺諸国へと広がった天后信仰がどのようなものかを見てみたいですね。

さて、その中でも特に天后信仰が花開いた香港ですが、漁村文化と相俟って数多くの廟が生まれたことは先の記事でも紹介しました。それゆえに小さな島でも複数の廟が存在することも。今回、南丫島に続いて紹介するのは長洲島(Cheung Chau)の天后廟たちです。

今回も中環(Central)のフェリー乗り場から出発です。第五乗り場から約40分、南丫島よりぐっと小さい2.5平方キロメートルの島ながら、おしゃれなスポットやレストランが数多く軒を連ねており、夏になるとビーチ目当ての訪問客でごった返します。ホテルやホステルも充実していて、香港で気軽にバカンス気分を味わえることから、とりわけ若者に人気のスポットです。

一方で、生活資材を簡単に手に入れられる環境がしっかり整っているのも長洲島の特徴。島の住人は約2万人、そしてその生活のそばにはやはり天后信仰があります。順を追って見てみましょう。

フェリーを降りてすぐ広がる市街地の、まずは南にある天后廟です。こちらの大石口天后宮は1772年の創建、光の加減で青色にも灰色にも映る外壁がとても美しい廟です。内部もよく洗練されていて、天后像とその背後に描かれた龍の力強さに思わず息を呑むことでしょう。その目がまっすぐ見据える先には長洲島の内湾が広がっています。無事に上陸できたのはここの天后様のおかげだったのかもしれませんね。なお、目の前を横切る道が中興街と呼ばれていることから、中興街天后宮と紹介されることもあります。

市街地の北にも天后廟があります。北社天后古廟です。同じ敷地に老人ホームが併設されていて、立ち入るのに少しだけ勇気がいりますが、参拝客を追い返すようなことはないので安心して進みましょう。こちらは1767年の創建と伝えられており、先ほどの大石口天后宮とほぼ同時期に建てられました。200年以上もの間、長洲島を出入りする船を見守ってきたのかと思うと、天后様は本当にありがたい存在だと気付かされます。先ほどに増して格調のある祭壇にはやはり龍の絵が。近しい場所にある廟でこういった共通点が見つかるのも天后廟巡りの面白さかもしれませんね。

ちなみに、北社天后古廟の近くには玉虛宮という立派な廟があります。こちらにメインで祀られているのは玄天上帝(北帝)という道教の神様なのですが、祭壇の左側には観音様、そして右側には天后様が祀られています。長洲島で一番大きな廟ということもあり参拝客が絶えることはありません。華やかに装飾された内部の様子を見ていると、この島に住む人々の信仰心の厚さには本当に驚かされますが、天后廟は他の場所にもあります。

今度は島の南側に向かいましょう。小高い丘の上は閑静な住宅街になっているのですが、それを越えた先、南方に面した海を見渡す素晴らしいロケーションの天后廟があります。南氹天后宮です。この「氹(tam)」という字は水たまりの意味があるそうですが、目の前の岩場に貯まった水の様子を表しているような気がしています。そして、その岩場から眺める開放感のある海。市街地から離れた場所なので人が押し寄せることもなく、ポカポカ陽気の中でのんびり休めることでしょう。こちらの廟は20世紀初めの創建と比較的新しいようです。きれいに塗り分けられた白い壁、緑の屋根、そして赤い柱、どことなく竜宮城を思わせるような見た目に感じるのはわたしだけでしょうか。シンプルな作りなのに存在感のある素敵な廟なので、ほんの少しだけ足を伸ばして訪ねてみてください。

長洲島の天后廟巡りも最後となりました。その名前の通り、長洲島の西側に立つ西灣天后宮です。高台に上がる道すがら、今度は打って変わって朱色が眩しい小さな廟です。フェリー乗り場のある中心街から西灣までは約2km離れているのですが、海岸沿いに道が広く整備されているので、徒歩やレンタルサイクルで向かうのにちょうど良い距離と言えるでしょう。もし参拝する機会があれば、廟の右側にだけ付いている金色の魚を探してみてください。

ひたすらに天后廟を紹介してみました。長洲島には天后様を祀る場所がなんと5件もあるんです。とはいえ小さな島なので、2時間もあれば全部を巡ることができるでしょう。そうやって一遍に巡るのも良し、訪れるたびに違う天后廟を参拝するのも良し、皆様が長洲島を訪れる際には天后廟のことを思い出していただけたら嬉しいです。


やんま
2020年10月から出張で香港入り。仕事の傍らになんとなく始めた天后廟巡りにハマり、その魅力をSNSで発信するようになる。やんまは小学生時代のあだ名から。

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