2023/04/22
長らく痒いところに手が届く高層マンションの生活をしていたので、今思えば、随分甘やかされて生活してきたなと思います。便利な生活を売りにしている住居でしたので、マンション入口のドアは開けてくれるし、荷物はコンシェルジュが受け取っておいてくれるし、雨に濡れないで駅に行くことができるし、とにかく何かと便利な生活でした。あまり頭で考えることもなく、なんでもスッと出てくるような状態でしたので、もちろん、家のゴミについても同じフロアーのゴミ置き場には歩いて30歩もすれば到着しました。大きなものはさておき、日々の生活で出た生ごみは毎日夕食の片付けの後に持っていけば、スッキリしたものでした。
ところが!! 村屋には徒歩30歩圏内にゴミ捨て場がないのです!! そこはなんと徒歩3分の距離。
ゴミ捨て場。裏の方には大型のゴミも置いておける。黒いボックスに通常のゴミを。
ある意味当たり前と言ったら当たり前なのですが、村屋に引っ越してきた当初は、かなり衝撃的な事実でした。しかも、入居する前に、この件について確認するという考えさえ浮かばず、入居後に、「そういえば、ゴミをどこに捨てに行くの?」ということで発覚したという愚かさ。
結局、夕食の片付けをした後に、ゴミを捨てにいくのがためらわれる距離だったのです。
わたしは、夕食後にゴミを捨てに行くという習慣があったので、生ごみを家に一晩置いておくというのが気持ち悪く、香港人の夫に、「じゃあ外にトラッシュ缶を置いて生ごみを朝までいれておこう」と提案したら。夫は、「絶対ダメだ! 猪が食べに来る!」と真面目な顔で答えました。
まさか、猪がこの辺にいるわけないでしょう、と思いながらもあまりにも絶対にダメと言うので、解せぬ気持ちを押し込めたのですが、数日後、表通りを丸々と太った猪の親子が群れを成して颯爽と横切っているのをこの目で見て、夫の主張は正しかったのだと実感したのでした。ちなみにキッパリ申し上げると、我が家は村屋と言ってもMTRの駅まで徒歩で、およそ15分程度の『都会』(笑)なのです!
今では仕方なく、朝までキッチンに置いておいて、夫かわたしのどちらかが出かける時に、ゴミを持って出るという暗黙の了解が成立しています。また村屋でもゴミ捨て場にプラスチック、缶、瓶、カーボンと一般ごみとに分かれて捨てられるようになっている場所もあるので、分けて出すこともできます。
リサイクル用のゴミを分別して捨てます。
ある日、わたしは出かけようと家を出たところでタクシーと遭遇しました。しかしわたしの手には大きな生ごみの袋がぶら下がっていました。タクシーを取るか、ゴミ捨てを取るか、悩ましい決断を迫られ、タクシーが頻繁に来るような場所でもなかったこともあり、結局生ごみの袋をぶら下げたまま車に乗り込みました。走っている最中、このゴミをどこで捨てようかグルグル頭の中を駆け巡ったのはいうまでもありません。しかし、村屋あたりを走るタクシーの運転手さんも慣れたもの。わたしの手に持ったものがゴミであることは明らかで、「ゴミ捨ててく?」と言わんばかりに、黙ってゴミ捨て場に横付けしてくれたのです。おお〜どうもありがとう運転手さん!
まわりを見てみると、フルタイムのお手伝いさんがいる家庭が多いので、ほとんどの場合、ゴミ捨て場がどこにあろうとあまり気にならないんだろうなというのも発見でした。
そんなわけで、我が家の場合は、ゴミ捨て場が徒歩3分のところにあろうとも、なんとかアダプトできています。今となってはアパートの契約時にやっぱり知らなくて良かった。初めて聞いた時は、「ありえない!」とまで思ったゴミ捨て場所です。契約前に、距離を聞いていたら、入居に迷いが生じていたかもしれません。まあ、選択肢もないということもあり、結局はすぐに慣れてしまいましたが。。。村屋住まい希望の皆さんはこれは覚悟しておいた方が良いでしょう。
ガラス瓶、缶類、プラスチック、新聞紙などのカーボン類
こちらHong Kong LEIのコラム、「数字からみる香港の風景 Emi in HK」で、香港のリサイクルやごみの現状をリポートしてくれています。 第8回「1日あたり排出量1,470g(年間約0.5t超)」こちらもぜひあわせてお読みください。
それではまた!
村屋住まいについてのご質問を募集しています。知りたいことがありましたらコメント欄にどうぞ! 近い将来のネタにさせていただくかもしれません(笑)。
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