2024/11/15
香茅豬扒
(ヒョン マウ ジュー パー)
レモングラスポークチョップ
学校から帰宅し、当時のブラウン管テレビをつけると、香港政府から「不漏洞拉(バッ ラウ デオン ナイ)」というベトナム語の放送が流れていました。
このフレーズは「今日から新しい政策が始まります」という意味で、当時の香港人に強烈な印象を残しました。
今でもこのフレーズを覚えている香港人は多くいることでしょう。
1979年、香港は国際的な合意のもとで「第一収容港」としての役割を担い、ベトナムからのボートピープル(難民)を一時的に受け入れ、第三国への再定住が決まるまで保護と支援を提供しました。しかし、ベトナムからのボートピープル(難民)が急増すると、収容施設の運営負担が大きくなり、過密状態が続きました。衛生環境や健康問題も深刻化し、さらに難民たちが南北に分かれて対立し、収容所内での紛争が頻発するなど、管理はますます困難な状況に陥っていました。
このような状況の中で、香港政府は新しい政策を導入しました。
この政策では、経済難民と政治難民を区別し、政治的迫害から逃れてきた「政治難民」と認定された人々には第三国への再定住が認められました。
経済的な理由で逃れてきた「経済難民」と判断された人々は難民として認められず、一時的に収容所に送られ、最終的にはベトナムへ強制送還されることになりました。
現在でも、香港の人々は「不漏洞拉」という言葉をベトナムに関連する表現として使うことがあります。
たとえば、「今夜は不漏洞拉を食べる」と言えば、それは「今夜はベトナム料理を食べる」という意味です。
1980年代から、香港にはベトナムからのボートピープル(難民)が定住し始め、レストランを経営する人も少なくありません。
その結果、ベトナム料理は香港でも定着し、特に『香茅豬扒』レモングラスを使ったポークチョップは香港人にとって馴染みのある料理となっています。
Tips: 出来れば、肉の間に適度に脂(サシ)が入ったポークチョップを使ってください。
材料(2人分)
ポークチョップ 2枚(約300g)
<マリネ液>
砂糖: 2小さじ
醤油: 1小さじ
ナンプラー: 1小さじ
サラダ油: 大さじ1
レモングラス(みじん切り):1.5 大さじ
にんにく(みじん切り): 1/2 小さじ
赤玉ねぎ(みじん切り): 2小さじ
ヌクチャム(タレ)
砂糖:1大さじ
ナンプラー:1大さじ
水:1大さじ
ライム汁:2小さじ
にんにく:½かけ(みじん切り)
唐辛子:少々(お好みで量を調整)
下準備:
豚肉をペーパータオルで水気を拭き取ります。
マリネ液の材料をよく混ぜます。
ボウルまたは袋にマリネ液と豚肉を入れて冷蔵庫で少なくとも3時間、理想的には一晩漬け込みます。
焼き方:
オーブン: 180°Cで15〜20分焼き、魚焼き器に移し美味しそうな色まで焼きます。仕上げにはちみつを塗って照りをつけます。
ご飯、野菜と目玉焼きを付け合わせ、ヌクチャム(タレ)と一緒に出します。
雲姐(ワンジェ)
料理研究家。香港に生まれる。幼少期、平日は祖母、週末は料理が趣味だった父の手料理を食べて過ごす。オーストラリアへ移住を経て、結婚を機に日本へ移り20年以上。中国国際薬膳師、発酵食品ソムリエ、発酵ライフアドバイザーの資格を持ち、中華圏および日本の食文化への造詣も深い。現在は、日本の人々に香港料理を伝えるべく東京で活動中。
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