2024/12/14

「香港でお茶会をします!」と日本の中国茶人堀口一子さんから嬉しいメッセージが届きました。PMQにあるGallery teteで陶芸家の田中直純さんの個展があり、オープニングイベントとして、港の茶人によるお茶会があるということでした。 

堀口さんとNanaさんのコラボ茶会 

滋賀を拠点にしている堀口さんは「茶絲道(チャースールー)」として、ギャラリーなどをはじめ、自然の中やお寺などで中国茶の教室やお茶会を主催するほか、自然茶研究とお茶作りなどもしています 

Nanaさんは、香港大学駅近くにあるplantation tea bar」のオーナー&茶人自然製法の茶葉を厳選し、伝統的な中国茶以外にも、モダンでユニークなお茶の楽しみ方を提案しています。 

初日のお茶会short tea time」では、このお二人が田中さんの茶器を使って三種のお茶を淹れてくれました 

茶人も参加者も立ってテーブルを囲み、目の前でお茶を淹れてもらえる中、堀口さんの柔らかい笑顔とゆったりとした美しい所作、お湯が注がれる音に、だんだん心が落ち着いてきます。 

中国茶器がたくさん!

一煎目は堀口さんが得度もした三井寺(滋賀県大津市)にある、樹齢200~300年ともいう茶の古樹か彼女が作った「白茶」。まろやかな甘さが口に広がり、思わず「甘い!」と声が出てしまいました。 

二煎目はNanaさんが淹れる、希少な「黄茶」(茶葉生産量の0.%ほど)このお茶は安徽省生産で、焙煎の香り、水色も濃いものでした。茶葉も大きめなので、黄茶の中の黄大茶なのでしょうか。香港の参加者の人は「日本の炒り番茶のような香り」と言っていました。 

(左)堀口さん、(右)Nanaさん

三煎目は、堀口さん武夷山(福建省)で出会ったスモーキーな「正山小種」少し漢方ぽいと表現される燻製の香りわたしは少し苦手だと思っていたのですが、このお茶はいい香りで、後口は甘く、とてもおいしいと思いました 

可愛らしいお茶請け

香りをみるために急須、茶則手に取らせてもらえます。様々な柔らかい表情の白で、口当たり優しい茶杯たち。脚付の小さな茶杯は、堀口さんが田中さんの通常サイズのゴブレットを見て、小さければ茶杯になるねというところから生まれたそうです。こんな茶器を作った田中さんに色々話を聞いてみたくなりました。 

茶杯二種

陶芸家田中直純さん 

岐阜県中津川市の古民家で作陶する田中さん。自然豊かな環境は、制作の重要な要素であり、特にそこで湧き出る水の成分は、土に独特の表情を与えてくれるそうです。ご自身も、制作の合間にお茶を淹れられる中国茶愛好家。堀口さんの中国茶のクラスに参加されて、お茶の世界に魅了されたそうですが、最初は珍しいお茶菓子に興味があって参加したのがきっかけだったとのこと。口当たり、手の中の収まり感や注ぎのキレなど、淹れる方としての視点が作品に取り入れられています。 

「型を使っているんですが、指で土を型に押し込んでいるので、時間がかかり、できる数がすごく限られるんですよ」と田中さん。機械的な感じのする流し込みではなく、土を手で感じながらのその作業はとても楽しいものなんだそうです。 

そのように一つ一つ丁寧に作られた器はシンプルですが表情豊かでした。柔らかい白、黒、優しい輝きの銀彩、またどんぐりで貫入部分を染めたそ渋色ちなみにこの技法は400年程前中国で行われていたそうです)。どれも穏やかにまっすぐに作陶への思いを話す田中さんのような作品でした。 

(左)黄茶、(右)茶会の締めに澄んだ音を奏でる水晶と音叉

「いろんな文化や人の交差する場所としての香港」で 

お茶会が終わったあとも、いろんな人と話が尽きず、すっかり長居をしてしまいました。 

個展、お茶会の場となったGallery teteのオーナーは香港人のCarolさんと東京在住の永田さんのお二人。 

とても温かい人柄で日本語も流暢なCarolさんと各国を行き来し、いろんな企画をしている永田さん。お二人の強い想いを伝える場として、今年6月に香港にGallery teteをオープンしたそうです。

茶人、作る人使う人、それをつなぐ人・・・さまざまな人が交流し、おいしいお茶とともに、清らかな水が体と心を流れていったような、心の満たされる素晴らしいお茶会でした。 

 

田中直純さん個展「一切從水/水からはじまる」2024年12月7日〜12月22日

Gallery tete @gallerytete_hk
田中直純さん@zumii85
堀口一子さん@ichikohoriguchi
Nanaさん@plantation_hk

 


Chikako

トロント、NY、シンガポール、今は香港に在住。
各地のライフスタイルや食文化にインスパイアされた器を製作してきた。
香港では中国茶器を楽しくコツコツ製作。
お茶のワークショップも不定期に活動中。

IG : cnycstudio
お茶のワークショップIG : sound_and_tea_room

 

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