2026/06/23

香港映画で欠かせないのは、熱い「チームスピリット」 を盛り込んだ、スリル満点で手に汗握るストーリーではないでしょうか。この夏、前回の『Undercover Underworld』 に続き香港映画をテーマに、相棒たちが輝く世界を体感できる没入型、夏季特別展覧会『Better Together – Partnering Up for Hong Kong Movies : 拍住上—光影裡並肩馳騁的我們』 が、大館で幕を開けます!
会場は『Undercover Underworld』 の時と同じ、大館のデュプレックス・スタジオで、6月23日(火)から10月4日(日)まで開催されます。今回の展示の根底に流れているのは、広東語で「肩を叩き合い、力を合わせて前進する」を意味する「拍住上(パージューション)」 の精神です。映画の撮影を意味する「拍」 という文字が使われている通り、スクリーンの中で輝く主人公たちの友情だけでなく、カメラの裏側で奇跡的な瞬間を捉えてきた映画人たちの熱い職人魂にもスポットを当てています。
来館者の方は、この記事で紹介される映画を見てから訪れると楽しさが倍増しますので、予習をお忘れなく!
展覧会の説明をするサニー・チャン(陳詠燊)監督 展示室「Scene7:破壊と再生」にて。 ©︎Hong Kong LEI
本展のキュレーターを務めるのは、『Undercover Underworld』 を大ヒットに導いた映画界が注目する実力派の若手映画監督、サニー・チャン(陳詠燊)氏です。香港電影工作者総会(Federation of Hong Kong Filmmakers)の全面協力のもと、過去数十年にわたり香港映画のお馴染み「バディ(相棒)ものの名作」 から、選りすぐりの名シーンを圧倒的なスケールと没入型インスタレーションで再現。当時の貴重な小道具のレプリカや映像なども多数展示されています。
会場のエントランスはなんとトイレの入り口!
©︎Hong Kong LEI
人々を欺く秘密の入り口が、ここ、トイレです。横の窓には展示会で紹介される映画の貴重なポスターがずらりと貼られています。会場は9つエリアに分かれて、来館者を待ち受けます。
「Scene 1:パートナーシップ」
『黒薔薇(The Black Rose:黑玫瑰)』の小道具 『黒薔薇(黑玫瑰)』は、1960年代に大ヒットした、義賊(正義の泥棒)の姉妹が、悪徳富豪からお金を奪って貧しい人々を救うという正統派の侠客アクション映画。©︎Hong Kong LEI
映画『プロジェクトBB』の小道具 ジャッキー・チェンとルイス・クーの泥棒コンビが、ひょんなことから大富豪の赤ちゃんを誘拐することになり、慣れない育児に大奮闘しながら次第に家族のような絆で結ばれていく……というコミカルで温かい物語です。 ©︎Hong Kong LEI
まず、本展のメッセージの核心であり、「なぜこの映画たちが今回選ばれたのか」「どうして相棒(バディ)というテーマなのか」という最大の疑問と、答え合わせの場となるのが、旅の始まりを告げる「Scene 1:パートナーシップ」です。 ここではここで紹介される作品の単なる紹介にとどまらず、1960年代の『黒薔薇(The Black Rose:黑玫瑰)』から2020年代の『ロボ・エヌ・ロール(Rob N Roll:臨時劫案)』 まで、それぞれの時代の社会背景が映画のなかの「バディの関係性」がどう映し出されてきたのかを解説。 困難に直面したとき、香港の人々が手を携えて生き抜いてきた不屈の精神がイントロダクションで学ぶことができます。
「Scene2:ひっくり返った世界」
全てが逆さま。宙吊りになって盗みを働いたシーンを再現。主人公たちの目線に合わせて作られています。©︎Hong Kong LEI
続く「Scene 2:ひっくり返った世界」では、ジョン・ウー(呉宇森)監督の名作『狼たちの絆(Once a Thief:縱橫四海)』(1991年)の世界が出現。本作は、2人組の「バディ」というよりも、チョウ・ユンファ(周潤發)、レスリー・チャン(張國榮)、そしてチェリー・チェン(鍾楚紅)らが扮する「孤児院育ちで実の兄妹のように育った、美しくも強いトップクラスの天才怪盗3人組」という、強い絆で結ばれた最強のタッグです。ここでは彼らの美術館から名画を盗み出す名シーンが再現されています。天井から吊るされた大盗たちの視点を体感できるよう、豪華なシャンデリアが逆さまに配置された驚きの空間が広がります。
暖炉も逆さま。目がまわります。(笑)©︎Hong Kong LEI
「Scene 3:内なる葛藤」
左側の黒いロボットが『悪漢探偵2』の「冷酷な殺し屋ロボット」、そして右側の緑色のロボットが『ジェネックス・コップ2)』の「RS1」。©︎Hong Kong LEI
続く「Scene 3:内なる葛藤(同室操戈)」では、映画の垣根を越えた驚きのクロスオーバーが実現しています。『悪漢探偵2(Aces Go Places II:最佳拍檔大顯神通)』 (1983年)のサミュエル・ホイ(許冠傑)とカール・マッカ(麦嘉)のコミカルな凸凹コンビ、そして『ジェネックス・コップ2(特警新人類2)』 (2000年)のスティーヴン・フォン(馮德倫)やサム・リー(李燦森)ら若手刑事バディは、劇中でそれぞれ相棒同士の激しい意見の相違や大ゲンカをします。本エリアの面白いところは、その人間同士のギスギスした衝突をそのまま見せるのではなく、彼らが作中で死闘を繰り広げた強大な敵ロボット同士を、作られた時代の枠を超えてこの展示空間で初めて正面衝突させている点です。「人間たちのプライドのぶつかり合い」を、ド派手なロボットのバトルへユニークに置き換えることで、バディの心の内にある激しい葛藤をダイナミックに表現。大館の圧倒的なユーモアとハイセンスな演出に思わずニヤリとさせられる、ファン垂涎のエリアです。
「Scene 4:信頼の試練」
©︎Better Together – Partnering Up for Hong Kong Movies
さらに『悪漢探偵』 シリーズの第3作目をフィーチャーした「Scene 4:信頼の試練」 では、パートナーへの信頼が揺らいだ瞬間を切り取り、劇中のアイコニックな嘘発見器のシーンを再現。緊迫感に満ちた心理戦を体感できます。
「Scene 5:過去の足跡」
©︎Hong Kong LEI
1960年代の伝説的ヒロイン映画『黒薔薇』と、そのオマージュ作である『黒薔薇VS黒薔薇(92 The Legendary La Rose Noire)』の世界を融合。怪しげなからくりが仕掛けられた黒薔薇の隠れ家(からくり屋敷)が再現されています。映画のコミカルな誘拐・監禁劇とも連動するように、ここでは相棒同士の信頼関係が崩壊しかけ、お互いを疑うようになってしまった登場人物たちの危うい心理に迫ります。
「Scene6:同じ道を歩む」
©︎Hong Kong LEI
ジョニー・トー(杜琪峯)監督の傑作『盲目探偵(Blind Detective:盲探)』(2013年)をピックアップ。サミー・チェン(鄭秀文)演じる身体能力抜群だが経験の浅い若手刑事と、アンディ・ラウ(劉德華)演じる天才的な洞察力を持つ盲目の元刑事が、お互いの弱点を補い合いながら最強のバディへと成長していきます。ここでは試練を乗り越え、完全に心を通わせた二人が同じ道を歩んでいく「究極のパートナーシップ」の姿を体感できます。
「Scene7:破壊と再生」
©︎Hong Kong LEI
ジャッキー・チェンが吊るされてしまうシーンを再現 生々しい弾痕があちこちに。©︎Hong Kong LEI
そして本展のハイライトの一つとも言えるのが、「Scene7:破壊と再生」 です。ギャラリー空間が大胆に変貌し、ジャッキー・チェン(成龍)主演の『ポリス・ストーリー3(Police Story III – Super Cop:警察故事III超級警察)』 (1992年)の命がけのスタントシーンが出現。実物大のヘリコプターやバイク、そして大量の金塊のレプリカが並ぶ大迫力の空間は圧倒的です。香港の特別警察と中国本土の公安という、最初は衝突し合っていた2人が、爆発的な化学反応を経て無敵のバディになっていく過程を見事に表現しています。


左)バイクに射撃銃。射撃銃は持つことができる。右)延べ棒の山 ©︎Hong Kong LEI
「Scene8:違いを受け入れる」
壁一面に張り巡らされた古い携帯電話や電子基板、そしてカウントダウンタイマー付きの爆弾装置 ©︎Hong Kong LEI
映画『ロボ・エヌ・ロール(Rob N Roll:臨時劫案)』 (2024年)に登場する崖っぷちの男2人と強盗の偶然の出会いを通して、全く異なる境遇からでも同じ目的に向かって進んでいける姿を描いています。アクション映画の小道具が並ぶこの空間は、本来なら結びつくはずのない相棒たちが力を合わせることで、不可能に思えることも可能に変えていく映画の魔法そのものを表現しています。
アクション映画の小道具が並ぶ ©︎Hong Kong LEI
「Scene9:人生は続く」
最後に『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』 など、映画の製作シーンのクリップを見ることができる。©︎Hong Kong LEI
展示の最後を締めくくるのは「Scene 9:人生は続く」です。数々の名作が残した名残惜しいエンディングの余韻に浸りながら、映画の登場人物たちと同じように、私たち来場者もまたそれぞれの愛おしい日常、そしてこれからの人生の旅路へと戻っていくような、静かで温かい感動に包まれる空間となっています。
展示の途中には、香港映画界の最前線を走ってきた豪華スターたちの貴重な撮り下ろしインタビュービデオも上映されます。サミュエル・ホイ(許冠傑)が語る『悪漢探偵』の秘話とあのアイコニックな主題歌の特別パフォーマンスをはじめ、アーロン・クォック(郭富城)とスタイリストのマン・リムチョン(文念中)によるスタントデザインの裏話、さらにはルイス・クー(古天樂)やサミー・チェン(鄭秀文)が振り返る長年の友情など、ここでしか聞けないエピソードが満載です!
ハリウッドをも驚かせる圧巻のカーチェイスやワイヤーアクションを生み出してきた香港映画の底力。それらを可能にしたのは、まぎれもなく香港の「拍住上(チームスピリット)」です。
なお、今回の展覧会チケットの売上の一部は香港電影工作者総会に寄付され、これからの香港映画界の発展や映画人への支援へと直接繋がります。映画を通して香港の不滅の魂に触れ、その未来を応援できるこの夏一番ホットな文化スポットへ、ぜひあなたも足を運んでみてください!
Summer Exhibition「Better Together – Partnering Up for Hong Kong Movies」
開催期間: 2026年6月23日〜10月4日
営業時間: 11:00〜19:00
場所: 大館(タイクン)
住所: Duplex Studio, LG1/F & LG2/F,
Block 01, Police Headquarters Block, Tai Kwun 10 Hollywood Rd, Central, Hong Kong
料金:
一般チケット:HK$30
割引チケット(フルタイム学生、60歳以上のシニア、障がいのある方):HK$20
4歳以下の子ども:無料
限定特典: 2026年7月1日までに大館ウェブサイト経由で一般チケット(6月23日〜7月1日の11:00〜15:00の回)を購入した「TK FAN」メンバーを対象に、1枚買うともう1枚無料(Buy-One-Get-One-Free)になるおトクなキャンペーンを実施中。
公式サイト: https://www.taikwun.hk/
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