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2025/10/09

「コーヒーが好きな人なら」ぜひ体験していただきたい! コーヒーの魅力と楽しみ方を新発見できる「試飲と、菓子とのペアリング」のテイスティングイベントが、10月限定、湾仔の Blue Bottle Coffee にて開催中です。「珍しく驚きのあるカップ」がテーマのひとつでもある今回のセッションは、単にコーヒーのペアリングという話だけではないことを最初にお伝えしておきましょう。「コーヒー好きの人であれば」、この90分間のセッションで、今まで体験したことがないコーヒー体験とその魅力に驚くはずです。

現在香港で5店舗を展開するBlue Bottle Coffee の創設者でクラリネット奏者から転身したジェームズ・フリーマン氏は、「良い音楽とおいしいコーヒーがある、幸せ感を体験できる場所を提供したい」という思いで、始めたのがBlue Bottle Coffee。また日本文化好きというだけあって、どことなく禅の精神を感じる無駄を排除したシンプルな店内や、お店で使用するこだわりの食器などにも和のテイストが見え隠れして、日本人にとってはとても居心地良く感じられます。

湾仔にある3階建てのビルは、1階と2階部分が誰でも楽しめるカフェエリアです。3階はワークショップをするときは貸切状態になり、普段は解放されています。カフェは飲む場所ではあるけれど、素晴らしい体験をする場所でもあるというフリーマン氏の思いを反映させ、時々こういった体験ワークショップBLUE BOTTLE STUDIOとして開催しているそうです。というわけで、参加者が3階に行ってみると、そこは贅沢にも6席のみ! しかも明るくシンプルで、湾仔の喧騒をすっかり忘れさせてくれるような静かな空間。ここで思う存分コーヒーに集中してほしいというメッセージを感じました。

今回テーブル・セッティングに置かれたお品書きには、6種類の飲み方でいただくコーヒーと3種類のお菓子が記されていました。

葉、花、実

ソリューブル

クラッカー(焼き菓子)

ロングカップ

琥珀(和菓子)

ショートカップ

オレ

菓子(焼き菓子)

食後酒

今回使用するものを見せてもらいます。上がコーヒー豆。左からベトナム産、インド産、マレーシア産。そして下が左から乾燥させたマラウイのコーヒーの葉、マレーシアのコーヒーの花と実です。今回はアジアのコーヒーの素晴らしさを参加者に知ってもらいたいとのことで、現在はまだお店には出ていないコーヒーを試飲します。

さて、読者の中で、コーヒーの葉、花、実を使って淹れたお茶を飲んだ方はいるでしょうか? 筆者にとっては生まれて初めていただくものばかりなので、胸が高鳴ります。3種類の部分を使ったお茶でそれぞれが素晴らしかったのですが、中でも花のお茶は本当に素晴らしかったです。最初にパッとフローラルな香りがします。どちらかというと桂花烏龍茶を連想させるような華やかな香りですが、それよりももっと繊細でうっとりします。また、実で淹れたお茶は、実だけでは酸っぱいので和三盆を少量混ぜています。ほんのり甘くて少し酸味があってかすかにコーヒーの香りもしました。

2つ目は、サクサクした粉末状のコーヒーらしきものが入ったグラスが出てきました。香りを嗅いでみると、黒砂糖とコーヒーの甘い香りがします。これにお湯を注いでみると、なんと! 甘い香りがゼロになり、コーヒーだけの香りに! 飲んでみても全く甘味を感じません! まるで手品のよう。

これはソリューブル と言って、インドのエクセルサを使用して作られたインスタントコーヒーで、コーヒー豆を84時間発酵させて作る、Blue Bottle Coffee自家製の新しいタイプのコーヒーなのだそうです。濃いお茶のようで飲みやすいです。

3つ目のロングカップは、その名の通り、長い時間をかけて抽出するコーヒーを言います。お湯にコーヒーの粉をサラサラと回し入れて、粒が静かに底に落ちていくのを眺めながら待ちます。横に置かれた4分砂時計。一気にメディテーションのような癒し時間になりました。これこそが、Blue Bottle Coffeeの言うコーヒーの体験なのでしょう。あー、今日はここに来れて良かったなと思った瞬間でもありました。

試飲はベトナム、インド、マレーシア、それぞれを試します。バリスタ曰く、1)ベトナム、2)インド、3)マレーシアの順で、味も香りも強く感じるとのこと。十分に抽出できたら、濾過していただきます。

私見ですが、ベトナム(左)はナッティー、インド(中)フルーティーでさっぱり、マレーシア(右)少しスパイスのような個性的な味がしました。他の参加者からはマレーシアのコーヒーはジャックフルーツのような味がするとのこと。アジアのコーヒーはロット数も多くないので、まだまだ市場には出回っていないそうです。

4つ目はショートコーヒー。じっくりと3種類のコーヒーをネルで淹れていきます。バリスタが、かなりの量のお湯を流し入れているのに、なかなかドリップしてこない不思議。ネルがだんだん染みてくるのを眺めるのもスリリングでした。今までで一番濃いコーヒーになりそうな予感がします。

コーヒーが淹れられるのを待っている間、バリスタが菓子の「琥珀」を用意してくれます。パイナップルゼリーのようなお菓子で見た目も綺麗。この上に緑のトッピングを乗せるために、柑橘系のフルーツの皮を削り取ります。するとその傍らから、通常のレモンの何倍も爽やかな香りが立ち込めてきて、嗅いだ瞬間にふわっと体が軽くなりました。花の香りにレモンが混ざったような香りです。これは台湾産の楕円形をした緑色のレモンで、その名も「香水檸檬」というのだそうです。香港では街市でも売っているので簡単に手に入るそうです。これをトッピングしていただきます。

コーヒーはやはりとっても濃かったですが、これは抹茶と和菓子を意識した組み合わせのようで、発想が面白かったです。ここで出されるお菓子も自家製だそうです。ちなみに食器は日本製で薄くてシンプルで美しい! コーヒーとお菓子のおいしさを最大限引き出してくれます。

5つ目は、先ほどのショートカップを使ってカフェオレにアレンジ。焼き菓子も一緒にいただきます。カフェオレは牛乳かオートミルクかを選べます。ここまででコーヒーを散々飲んだにも関わらず、カフェオレにするとまた全部飲めてしまいます。こんなにゆったりとコーヒーに向き合い、味わえる特別な時間を持てて、心の余裕の大切さを感じられる時間になりました。

そして締めの食後酒は、香港製造のN.I.P Rare Dry Ginを使ったコーヒーと牛乳(オートミルク)カクテル。ジンは人によっては独特な香りが苦手な人もいるかもしれませんが、これはジンなのか? と思うほど、松のようなウッディな香りというよりも、フローラルで爽やかな香りです。二層になったコーヒーとミルクが絶妙にマッチして、グラスを回しながら飲むと爽やかさとスパイスが複雑に絡み合い、濃厚で奥深い味わいを楽しめます。今回初めての冷たいドリンクで、とても新鮮で、すっきりと終了できました。

最後に松尾芭蕉の俳句が書かれたカードを手渡されました。
「見る処 花にもあらず、 思ふ所 月にもあらず」

 

五感を刺激してくれる素晴らしい体験の数々。本当に楽しかったです。今回のワークショップは2023年に京都で初めて考案され、選ばれた都市でのみ限定開催される季節の特別イベントです。Blue Bottle Coffeeが掲げる「参加者には、日常のカフェ体験を超えるコーヒーの世界に、足を踏み入れてもらいたい」が、ピッタリと当てはまる時間でした。

開催期間は10月の毎週金土日。2025年10月26日まで。
時間は予約カレンダーをご覧ください。
参加費: HK$780/人(HK$200分はBlue Bottle Coffee Hong Kong の商品に還元できます)
今回のワークショップの詳細と予約はこちら

Blue Bottle Coffee Wan Chai Cafe
15 St. Francis Street, Wan Chai
8:00am – 7:00pm (月〜金)
9:00am – 7:00pm (土日 & 祝日)


体験後記:人によって体感が違うと思いますが、筆者の場合はさまざまなコーヒーを飲んだからか、カフェイン酔いしたような感じになりました。ただ高揚感と幸福感が増し、その日はなんだかご機嫌な1日を過ごせました。セッション中は夜寝られなくなるのではと、ちょっと心配になったのですが、全然関係なく普段と変わらず熟睡できました。

さて、Blue Bottle Coffee湾仔店があるのは、小さなブティックやカフェなどが並ぶ通りを歩くだけでも楽しい、湾仔のおしゃれでかわいいエリアです。合わせてこの辺の散策もおすすめします。

 

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