2019/12/11
これまでのいきさつはこちら
しばらくしてジョッシュから「君たちの出番だよ!」と連絡がありました。これまでは大きな機械を使って切ったり貼ったりする作業が多かったので、安全上の理由から、机の形になって、そこまで難しくない仕上げの段階に入り、素人のわたしたちも子どもと一緒に手伝わせてもらいました。特に日常で使うものを、子どもと一緒に作れる体験に胸を膨らませました。
お手伝い当日。ドキドキしながら懐かしい木の香りが立ち込める工房に足を踏み入れ、自分たちのテーブルに出会えた瞬間は、まるで待ち焦がれた子犬と面会するような高揚感がありました。娘の顔がパッと明るくなって「すご〜い」と声をあげて早速机に手を這わせました。「今から何するの?」とほぼ出来上がっている机をなでなでしながら聞いてきました。わたしも触ってみると、なんとも心地より本物の木のザラザラした感触が伝わってきました。色も形も大きさも高さも、すべて思い通りです。完璧!っと心のなかでガッツポーズしたのは言うまでもありません。(笑)
テーブル板の部分を実際の足に乗せてみると、完成形です。
ジョッシュが今から何をするかを娘を中心に説明してくれました。
「この機械はなんだと思う?そうサンディングさ。目の荒さの違うサンドペーパーをこうやって機械につけて使うんだよ。やってごらん!」と。覗き込んで見ている娘の顔がみるみるやる気満々の真剣な面持ちになってきて、率先して重いマシーンを1人で持って作業を初めました。
普段忙しい夫はなかなかこのような家族イベントに出席することができずにいたのですが、娘にお手本を見せたり、一緒に削ってみたり、ちょっと頼もしくもかっこいいお父さんってところを見せられて嬉しそう。
この工程の醍醐味は、なんといっても家族一緒に何かを作り上げていく楽しさ。でもそればかりではなく「木」という自然の素材に触れながら「あれ?どうしてまだボコボコしてるのかな?」なんて木と対話しながら作業するのがまた素晴らしく楽しい。個々に黙々と作業する時間でも、それぞれがウキウキしているのでした。
娘にとっては、少しでも作る工程に参加することで、机への愛着が増し、大事にしようという思いが強くなるようです。
サンディングを3行程ほどした後は、今度はオイルを表面に満遍なく塗っていきます。オイルを塗ると、それまで白っぽかった表面が、あっという間に血の通ったような明るいブラウンに変化しました。ジョッシュは「今は明るいブラウンだけど、時間が経つと飴色になっていくよ」と。私も長い年月を経て、この机がどんな風に成長していくのかに思いを馳せながら、ムラにならないように気をつけて塗って行きました。作業はおよそ3時間ほどで終了。みんな体全体がダストで真っ白。髪の毛までボサボサ。お互いの形相に大笑いしながら、工房を後にしました。
その後、オイルを乾燥させて塗るという作業を何度か繰り返して、1週間後しっかり乾いたところで、机が家に運ばれてきました。私たちのリビングルームは今までの雰囲気から一変しました。明るい雰囲気になったことはもちろん、今もって自分がデザインした机が目の前にあることが信じられないような。「好き」に囲まれて過ごす心の平穏は何にも言い難い幸せを感じています。娘は熱い飲み物には必ずコースターを使うようになり、夫にも厳しく指導しています。(笑)昔から使っていた机は?というと、捨てるには忍びなく、セカンドハンドにするには少し痛みがあるので、そのまま娘の心おきなく汚せるアート専用の制作デスクとなりました。
新しいダイニングテーブルには、あまり神経質にならないようにしようと思っています。小さな傷やシミなどは、人間が年を重ねてシワやシミがでるように、これもひとつの歴史。全てを含めて楽しんで行こうと思います。
と、言いながら、あ、もうすでに一筋の傷が!怒らない、怒らない。
第1回
https://hongkonglei.com/diymydiningtable/
第2回
https://hongkonglei.com/diymydiningtable2/
カスタムデザインの家具を制作する場合、デザインから完成まで8週間から10週間かかります。Sprueのカタログから選ぶ場合は4週間で納品となります。ご興味のある方はまずは相談してみることをおすすめします。
今回ダイニングテーブルの制作をお願いしたのはSprueのチームの皆さんです!
カナダ人のジョッシュ・マニングさん率いるメンバー
Hong Kong LEI (ホンコン・レイ) は、香港の生活をもっと楽しくする女性や家族向けライフスタイルマガジンです。
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