2018/11/14
本物の食材を求めて。日本の伝統調味料をお伝えするコラム
『本物のお酢って?』
前回のコラムでは、お酢の身体への働きについてお話しました。身体に有用な成分が多いお酢。だからこそ、安心安全なきちんとつくられているお酢を選んでほしいです。
お酢を選ぶとき、みなさんは何を基準に選びますか?スーパーに買いに行くと、30ドル~100ドル以上と、値段の差が大きいなと思われるのではないでしょうか?
今回と次回、2回にわけてお酢を選ぶ時の見分け方。本物のお酢とお酢もどき?について考えてみましょう。
『本物のお酢って?』
お酢と言えばすっぱい!という酸味と鼻をつく匂い。発酵調味料であるお酢は、微生物によって醸し出された味と匂いがあります。時間をかけてじっくりと発酵しているお酢は、酸っぱいけどきつくない。速醸で発酵度が低いもの、もしくは発酵させていないようなお酢もどきのものは、鼻をつく、顔をそむけるようなきつい匂いです。教室でも数種類のお酢を味わいますが、おいしいお酢はまるい酸っぱさで味も匂いもやさしい。機会があれば色々な種類のお酢を比べてみてください。五感でいいものがわかると思います。
『高いものには意味がある①原料』
まずは原料の質が大きく違います。
例えば米酢の場合。安価で作ろうと思ったら輸入米や古米、古古米、くず米、米ぬかなどで仕込むことが多くあります。お米のまずさを隠せる、見えない調味料に、質の悪いお米が使われるのです。伝統製法などにこだわった生産者さんのお酢は、水や土地にこだわった新米を原料に仕込んでいます。
お酢を仕込むのにも基準があり、JAS規格では米酢と表示できる基準は1Lにつきお米の使用量が40gとなっていますが、こだわりの生産者さんのお酢は、5倍の200gを使って仕込んでいるものも(香港の某スーパーにありました!)
実はこのJAS規格の40gという基準では、本来のお酢はつくることができません。そのために醸造用アルコールが添加されています。ちなみに、この醸造用アルコールは酒精という表示のこともあります。生徒さんに話をすると、酒粕と思っていたという方も。日本語で書くと添加物のように感じませんが、これはエタノールのことです。トウモロコシやさとうきび由来などですが、現在は遺伝子組み換えの問題もでてきています。遺伝子組み換えについては、また次の機会にお話しします。
純米酢というものをスーパーでもよく見かけます。少しお値段は上がります。これは純粋にお米だけでつくっているから。お酢をつくることができる最低基準は1Lにつき120gのお米が必要。これでやっとお米と水だけでお酢をつくることができます。
少し値段は高くなりますが、表示をよく見て、原料がシンプルなものを選ぶことが大切ですね。
『高いものには意味がある②製造手法』
製造手法、時間、場所も大きく関わってきます。これはお酢だけではなく、お醤油やお味噌などの伝統発酵調味料にも言えることですが、熟成させる過程が、木桶かステンレスタンクかにより大きな違いがでます。
木桶で熟成させている蔵は、気候、温度などにあわせて熟練の職人さんにより時間をかけて製造されています。ステンレスタンクは温度管理ができるので、常に安定した味、大量生産が可能です。木桶は歩留まりが悪いので(漏れたりしてロスが発生する)、生産者さんからしたら、ステンレスタンクの方が管理しやすいですね。ステンレスタンクは速醸ができるお酢のため、コストもかからず、どんどん市場に出せますが、100日以上ねかす木桶のお酢は、そこに手間暇・時間をかけています。そして素材の質などを考えたら、値段に差はでるのは当たり前ですね。
次回も続きとして、製造の流れ、身体によくないお酢などをみていきたいと思います。
~毎日のごはんが、未来の自分をつくる~
薬膳マクロビオティック教室 野菜の健康料理人 KYOKO Shindai
教室では料理+考える力も大切にしています。薬膳、マクロビオティック、栄養学、生理学、腸内環境、ローフードなど多角的視点で、体調・体質・季節にあわせた食材の選び方や調理法を学びます。
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