2024/03/07

香港の3月といえば、アート月間です!巷ではたくさんのアートフェアが行われていますね。色々ありすぎて大変ですが、今回は、4月11日に終わってしまう故宮文化博物館で開催中の、「Botticelli to Van Gogh: Masterpieces」のハイライトをお届けします。作品はイギリスのロンドンにある国立美術館とも呼ばれるナショナル・ギャラリー・ミュージアムからの52点です。(こちら3ページ目です!)


故宮文化博物館特別展「Botticelli to Van Gogh」ハイライト

特別展アイコンとなった1枚「レッドボーイ」

展示室の紹介
①Sacred Images (聖なるイメージ)

(2ページ目)
Mythology(神話)
DailyLife(日常)
④Portraiture(肖像画)
⑤Landscapes(風景画)

(3ページ目)
⑥Modern Times (近代)

おまけ:絵の具のお話

 

さて、次はいよいよ近代、印象派へ

 


そして最後の展示室、<Modern Times (近代)> へ移動してきました。

海の底にでもいるような落ち着いた展示室に馴染み深い印象派絵画が並んでいます。ここでは4枚をご紹介します。

© Hong Kong Palace Museum
Bowl of Fruit and Tankard before a Window /Paul Gauguin (1848–1903) //Probably 1890 /Oil on canvas/© Hong Kong Palace Museum

ポール・ゴーギャンの「窓の前の果物とタンカードボウル」は、セザンヌ(1839-1906)の《果物皿のある静物》へのオマージュです。果物、陶器、くしゃくしゃのテーブルクロスなど、セザンヌの静物画の多くのモチーフが登場しています。斜めに短い筆致と平坦な遠近法もセザンヌの作品を彷彿とさせます。ゴーギャンの黒で描かれたサイン「P Go」は左下に逆さまに入れられ、まるでテーブル板に彫り込まれたようにも見えます。

 

Long Grass with Butterflies/Vincent van Gogh (1853–1890) /1890 /Oil on canvas/© Hong Kong Palace Museum

ゴッホがこの草原を描いたのは、彼が南仏のサン・レミ村に近いサン・ポール・ド・モーソールの精神病院に入院していたとき。入院中、彼は小さな草原や下草を見下ろすようなスケッチや絵を何枚も描いています。

地平線や空は見えませんが、画面上部付近の小道が奥行きを生み出しています。道の手前に広がる空間は開放的で、キャンバスの側面や底面からはみ出そうなほど勢いがあるように見えます。ゴッホが自然を細密に描くことに興味を持ったのは、ルネサンス美術や17世紀のオランダ絵画、そして日本文化について読んだ本から培った彼の信念や、「賢く哲学的な日本人は一本の草を研究している」という発見に後押しされたのかもしれません。

 

Corner of a Café-Concert/Edouard Manet/probably 1878-80/Oil on canvas

1874年8月、マネはロシュシュアール大通りにあったレストラン、ブラッセリー・ド・ライヒスホーフェンの店内を描いた大きな絵に取りかかりました。この絵の制作中、彼は構想を根本的に変更し、絵を2つに切り分け、それぞれを別々に完成させました。今回特別展で見られるのは、その大きな絵の右半分(上の絵)である「カフェ・コンサートの片隅」です。

左半分(下の絵)には、テーブルの反対側に座る男性と2人の女性が描かれています。この作品は『オー・カフェ』として、スイス、ヴィンタートゥールのラインハルト・コレクションに所蔵されています。


Edouard Manet (1832–1883), Au Café, 1878, Öl auf Leinwand, 78 x 84 cm,©️Sammlung Oskar Reinhart «Am Römerholz», Winterthur

 

そして印象派といえば、この方、クロード・モネ。

Irises /Claude Monet/About 1914–1917 /Oil on canvas/© Hong Kong Palace Museum

花菖蒲(アイリス)はモネが好んだ花のひとつで、さまざまな品種を栽培し、彼の花壇と水庭の両方に植えていました。これは、モネが1914年から17年にかけて描いた、ユリの池のほとりを囲む花菖蒲を描いた約20点のうちの1点です。まるでわたしたちが池に架けられた太鼓橋の上に立って、花に縁取られた曲がりくねった道を見下ろしているかのようです。

この絵は素早く描かれたことが明らかで、筆致は緩く、太い紫、青、緑が大胆に、特に右下コーナーの部分はかなり粗野な筆致で描かれています。この効果は、この頃モネの白内障の視力の影響もあったのかもしれません。画家がこの絵を完成品とみなしたかどうかは定かではありません。

© Hong Kong Palace Museum

展示を全て見終わったら、ゴッホのLong Grass with Butterfliesのシーンにまるで自分が入ってしまったような没入感を体感できるトンネルを通って終了となります。

特別展の会場では他の人の邪魔にならなければ、写真撮影も可能ですよ!

 


特別展を出たところで、とても興味深い展示を発見しました。油絵の素晴らしい色がどのような顔料から作られているかを説明、展示してありました。とても面白かったです。

 

一口に青と言っても色々な青があります。深い青色を作るためにはさまざまな青色を混ぜて作っていることがわかっています。最も高価な青はラピスラズリ、古くから宝石として、また「天空を象徴する聖なる石」として珍重されていました。あまりにも高価で広範囲に使うには適さないため、一般にはアズライト(藍銅鉱)が使われていました。ヴァン・ダイクの青ズボンは、鉛の白に、アズライトとインディゴを混ぜて描いていることがわかっています。

ラピスラズリの原石(上)。

 

また自分でスタンプしてハガキを作る無料コーナーもありました。

完成したものは写真下を。この絵が何かは、1ページ目をご覧くださいね!

 

今回のような、ヨーロッパ400年の歴史を多数の名画によって一度に辿ることができる素晴らしい展示会が香港で行われるのは大変珍しいので、ぜひ本物を鑑賞しに一度は訪れてみてくださいね!2024年4月11日まで!

 

ー3


香港故宮文化博物館

The Special Exhibition “Botticelli to Van Gogh: Masterpieces from the National Gallery, London”
2024年4月11日まで
https://www.hkpm.org.hk/en/exhibition/botticelli-to-van-gogh-masterpieces-from-the-national-gallery-london

 

 

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