2024/07/05

 

5回に渡り、香港の老舗の歴史にまつわるお話を香港老舖記錄冊 Hong Kong Historical Shopsさんとのコラボでご紹介したいと思います。香港老舖記錄冊さんは、Facebookなどで香港の歴史的なお店を独自で取材して発信しています。香港文化の象徴として老舗の存在は欠かせない、老舗が存続していくことが香港の文化を盛り立てることだと言います。香港を愛するHong Kong LEI編集部のわたしたちもまた、昔から愛され続けている香港で誕生した商品が、どんな会社によって作られ、どんな背景で誕生したのか、また、どんなところで、どんなふうに作られていたのかなどを垣間見たくなりました。題して「香港オタクのための愛すべき香港老舗の歴史をたどる」です。でも長いのではしょりまして(笑)「香港老舗の歴史をたどる」と命名いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。


さて、今回ご紹介するのは大安茶冰廳です。昔ながらのお店の雰囲気はそのままに、メニューを一新してリニューアルオープンしたのは2022年。今では若者に人気の茶餐廳カフェとなりました。この記事は、リニューアルする前の物語です。(原文が長文のため省略した部分があります)


大安茶冰廳–油麻地
創於: 1969年
經營: 茶餐廳/咖啡廳
地址: 油麻地廣東道 830 號地下
撰文: Ian
攝影: @tay.wong_

(2022.3.18の投稿文)

大安茶冰廳の最近の再開は、噂されていたような閉店ではなく、新しいカフェへの転換でした。大安を経営するチャン(陳)一家は移住を計画しており、事業を売却し、経営を引き継ぐ買い手を見つけるつもりでした。 しかし、免許の譲渡を申請するためには、新しい要件を満たすように事業の一部を変更する必要がありました。 また、大安の内装は老朽化しており、改修が必要なため、プロジェクトのために一時的に営業を停止しただけでした。リニューアルした店の内部を観察してみると、改装によって装飾が取り払われたわけではなく、店の外の看板もそのまま残っており、昔を懐かしむ気持ちが伝わってきます。

大安冰室は1969年、潮州出身の父と陳光耀氏によってオープンしました。 冰室の経営を選んだ理由は、小資本で事業が始められるから。しかし、店を見つけるのは容易なことではありませんでした。親子は九龍中を旅し、深水埗、尖沙咀、九龍城など多くの地区を訪れました。その後、陳光耀氏の生まれた場所で深い帰属意識を抱いていた油麻地に範囲を絞りました。当初、陸炳記銅器(1920年代)の敷地を気に入っていましたが、現在の冰室の場所を通りかかったとき、店が広々としていることに気づき、広東道830番地を購入。そこで商売を始めました。

創業当初、大安は広東路828号と830号の2つの店舗スペースにまたがっており、前者は賃貸、後者は自営でした。2つの店舗は連結されており、複合経営が可能でした。当時としては珍しく大きな店舗で、陳光耀氏は「こんなに大きな冰室がどこにある? 茶館みたいだと言われたんですよ」と笑った。隣接する店の経営者となる人は、偶然にも潮州の同じ先祖の家系の人と判明しました。彼は、香港に身寄りがなく、住む場所に困っていたそうです。そんな彼を見かねて陳父子は、彼に828番の店を買った後、わたしたちに貸してくれないかと提案し、彼はそれに合意しました。そういった経緯で開業時にはすでに2店舗体制になっていました。

しかし、隣の男性は1981年に店を売却することを決めました。陳光耀氏は店の値段が非常に高いと考え、借家契約に縛られることを望まなかったため、最終的に自己所有の店を残し、商売を続けることを選びました。こうして一店舗だけとなりました。また、改装したことで開店当初の内装は見ることができなくなりました。

新しいオーナーが引き継いだ後、店内のあちこちが改築・改装されました。元の装飾スタイルを維持するため、新旧の壁紙のスタイルの差が大きすぎないよう、新オーナーは改修前にボードの一部を取り外してデザイナーに渡し、模様の模写と色の調合を依頼しました。デザイナーに少しずつ色を変えたサンプルをいくつも作ってもらい、それを大安に持ち帰って壁の元の色と比較し、最も似ているものを選びました。中2階はパン工房になり、焼きたてパンが提供されます。トイレとその周辺も改装され、従来の店よりも清潔になりました。改装が終わりに近づいた頃、陳光耀氏は店の状態を見るために再訪。満足の意を表しました。

大安は現在(2022.3)、コーヒーに加えてデザートを提供する試験的な営業を行っており、今後カフェの要素を取り入れた飲食店にする予定です。ビジネスと文化保存の両立は店主次第です。

 

☆ 大安茶冰廳について書かれているakiramujinaさんのコラムも併せてご覧ください。

茶餐廳愛好家akiramujinaの毎日が茶餐廳 第11回「店は変われど歴史は続く ― 大安茶冰廳」 – 香港で暮らす編集者が送るカルチャー、イベント情報 HONG KONG LEI

☆ 冰室については、こちらのかわいいイラストとともに記事をご覧ください。

LOOK INTO HONG KONG CULTURE ~愛しの香港第10回 Hong Kong Bing Sutt ~香港冰室~ – 香港で暮らす編集者が送るカルチャー、イベント情報 HONG KONG LEI

 

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