2023/12/10
こんにちは。沙季です。
5歳の息子と、フィリピン人ヘルパーさんと3人暮らしをしながら、日本食レストランのメニュー開発をしているワーキングマザーです。
帰国の理由
みなさま、お久しぶりです。
突然ですが、実は本帰国することに決めました。
このコラムが公開された数日後にはきっとわたしは日本にいるでしょう。
いろいろな要因が重なった結果の決断なのですが、
もっと息子と一緒に過ごしたいというのが一番の理由です。
仕事や人間関係や香港が嫌になった訳ではなくて、特にわたしを受け入れたくさんの事を経験させてくれた会社には感謝しかありません。
ここでの生活全てが大好きなので決断するのに随分時間がかかったのですが、今のわたしのライフステージに合った働き方に変えることにしました。
なぜなら、今一番しあわせな瞬間って、息子と一緒に夕方早い時間からお散歩がてら回転寿司を食べに行き、帰りに「おいしかったね〜」なんて言い合いながら手を繋いで家に向かう帰り道だったりするな。と気付いたからです。
お金を稼がなくちゃ。
キャリアを積まなくちゃ。
と何かに追われるようにがむしゃらに走ってきましたが、自分と家族の気持ちや将来にしっかりと責任を持って向き合うべき時期に来ました。
アンティの愛
さて、息子が風邪をひいたとき、よっぽどでない限りわたしは出勤しますが、
ある日たまたま時間があり、アンティと一緒に息子を病院に連れて行きました。
ドクターに「ここ数日の食欲は? 便通は? 機嫌は? 同じ症状の子は周りにいた?」
など聞かれたのですが、わたしは返答に詰まりました。
前日も前々日も帰ったのは22:00過ぎで、昼間どうやって過ごしていたのか詳しく知らなかったのです。
反対にアンティはスラスラと答えてくれ、その返答からは息子に対する深い愛と過ごした時間の長さを感じました。
実は日本時代に専業主婦もワーキングマザーも経験しているので、これがどんなにありがたいことかはつくづく感じています。
自分以外に頼りになる存在がいること。
子どもの体調不良で仕事に穴を開けなくて済むこと。
日本で子育てしていると、このふたつはとても贅沢で特別なことですよね。
わたしはアンティがいてくれるから子どもを育てながら仕事に邁進することが出来ましたし、
それが香港に来た理由の一つでもあります。
もう二度と戻ってこない貴重な時間
ですが、やっぱりこの子の成長をもっとしっかり見たい。毎日一緒に夕飯を食べたい。
息子がすごく愛しくてかわいくて。
まだ赤ちゃんみたいだと思うこともあれば、大人びて見えることも。
息子はどんどん大きくなっていきます。
でも海外だとビザの関係でなかなか自分のペースで仕事をすることは難しく、また母子2人きりの生活が正直寂しくて、帰国する決断に至りました。
お腹にいる時からの幼馴染と。
Country roads, take me home to the place I belong.
日本ではひとまず仙台の両親の家に一緒に住まわせてもらいます。
ティーンエイジャーだった頃は、出たくて堪らなかった地元。
海外に憧れ16歳でイギリスに留学し、キラキラした生活を夢見て18歳で東京へ、そして今は香港です。
ですが最近一時帰国した際の地元は昔とは違う見え方でした。
美しい自然、穏やかに流れる時間、心地よい虫の鳴き声。
何よりもみんなで囲む食卓、わたしの隣には息子。
今のわたしにはとても魅力的に感じました。
勝手にいろんなところに行って、結局戻ってくる娘を温かく迎えてくれる両親には感謝しかありません。
久々の帰国時。息子は新幹線の改札を出ると真っ先に両親のところへ走っていきギュッとハグ。久々の孫との再会に涙ぐむ母。
2年前の今頃
コロナ真っ只中の厳戒態勢の香港空港に、まだ3歳の息子を抱きしめながら降り立った時の自分の手の冷たさを今でも覚えています。
「この瞬間、きっと夢じゃない」という曲(SMAP)の、
震えだした 手を見つめ
高鳴る鼓動 指先まで
逃げたくなるくらいの不安に
そっと 一人瞳閉じた。
というフレーズを何度も心の中で反芻していました。
そこから息を止め駆け抜けたわたしと息子の香港生活。たった2年ですがとても長く感じます。
楽しいこともつらいこともたくさんありましたが、全部ひっくるめて香港は大好きです。
まだ、先のことは何も決まっていませんが、今後は今のわたし達に合った働き方ができるよう、会社には属さず仕事をしようと思っています。
できたら仙台にベースを置きながら、国内外問わずに仕事ができたらいいな。
香港生活の最後に、夢だったヘルパーさん向けの日本食レッスンもできました。今後も何かの形で同じようなことができたらいいなと思っています。
第1回目のコラムは「わたしが息子と2人、香港移住した理由」
でしたが、今回11回目のコラムで「わたしが香港を去る理由」となりました。
ヘルパーレッスンのこと、金継ぎワークショップのこと、アンティのその後、などなど、まだまだ香港について書きたいことがたくさんありますので、しばらくはこのままこちらのコラムでお世話になりますのでよろしくお願いいたします。
それでは今回も読んでいただきありがとうございました。
毎月10日に連載しておりますので、また次回もお待ちしております!
筆者プロフィール
大坪沙季(Saki Otsubo)
東京の大手料理教室で講師を5年程務め、
その後独立。妊娠出産を機に湘南へ移住し、
レシピ開発やフードコーディネーターとして活動。
2022年香港に移住。
某日系F&B Companyにメニュー開発者として所属。
趣味は料理、金継ぎ、ゴロゴロする事。
息子とヘルパーさんと3人で暮らしながら仕事をするワーキングマザー。
instagram https://www.instagram.com/_sakioo_
Hong Kong LEI (ホンコン・レイ) は、香港の生活をもっと楽しくする女性や家族向けライフスタイルマガジンです。
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