2026/06/14
The Twins 雙子匯(ザ・ツインズ)向かって左手に草間作品が設置されている。©︎Hong Kong LEI
今やアートの発信源として目が離せなくなりつつある啓徳ですが、SOGOなどが入る「The Twins 雙子匯(ザ・ツインズ)」の屋外オープンスペースにて、2026年6月6日、草間彌生(くさま やよい)氏の代名詞である「南瓜(パンプキン)」が公開されました。これは高さ3メートルにも及ぶ巨大彫刻作品です。
実際見てみるとかなり大きく圧巻です。©︎Hong Kong LEI
極めて希少な「墨緑色(ダークグリーン)」が放つラグジュアリーな佇まい
今回の作品が特別なものと注目を集めている理由は、その珍しいカラーリングにあります。草間氏の南瓜作品といえば、直島(香川県)にあるような鮮やかな「黄色×黒」や「赤×黒」のコントラストが広く知られています。しかし、本作は深みのある「墨緑色(ダークグリーン)」を基調としており、その上に草間氏のアイデンティティである黒い水玉模様(ドット)が緻密に配置されているのです。
この墨緑色の南瓜の原型は、なんと世界にわずか2つしか存在しません。もう1つは、フランス・パリにある世界最高峰の私立美術館「ルイ・ヴィトン財団(Fondation Louis Vuitton)」に所蔵されています。つまり、アジアにおいてこの特別なカラーリングの大型南瓜を一般公開の場で、しかも常設で見られるのは、現在のところこの香港の「The Twins」だけという、非常に高い希少価値を持っています。
さらにこのカラーリングは、単に珍しいだけでなく、見る時間や天候によって表情を大きく変えるのも魅力です。香港の眩しい太陽の下ではモダンな力強さを放ち、夕暮れ時から夜にかけては、深みのあるシックな緑が都会のライトアップと重なり合い、驚くほどエレガントで洗練されたオーラを漂わせます。まさに、感度の高い大人が集うライフスタイル空間にふさわしい、ラグジュアリーな佇まいです。
この迫力をぜひ生で体感してほしい。©︎Hong Kong LEI
草間彌生にとっての「南瓜」と「水玉」とは
草間作品を理解する上で、その背景を知ることは重要です。草間氏は幼少期から、突如として世界が水玉模様に覆われるような激しい幻覚や幻聴に苦しめられてきました。彼女にとって「水玉(ポルカドット)」を描く行為は、その恐怖から身を隠し、自分自身を宇宙の中に消滅させる(自己消滅)ための切実な自己防衛の手段でした。
そして、もう一つの象徴である「南瓜」は、彼女にとって「魂の救済」であり「精神的な拠り所」です。第二次世界大戦中、食糧難だった時期に南瓜を主食として育った草間氏は、そのユーモラスな形や、どこか人間味のあるぽっちゃりとした佇まいに強い愛着を抱くようになりました。「南瓜はわたしに語りかけてくる」と語るほど、彼女にとって南瓜は絶対的な安心感を与えてくれる存在であり、内なる恐怖や孤独を癒やすための祈りの象徴なのです。「The Twins」に佇む墨緑色の南瓜もまた、都会の喧騒の中にありながら、見る者に独特の静けさと力強い生命力を感じさせます。
観光スポットとなりつつある。©︎Hong Kong LEI
パブリック・アート常設への壮大な計画も
この「南瓜」の常設展示の開始にあたり、施設を運営・開発する「利福国際(Lifestyle International)」は、商業空間とアートの融合にかける情熱を公式声明で明らかにしました。同グループは、単なるショッピングモールを作るのではなく、世界クラスの芸術作品を公共エリアに設置し、地域の人々が自然にアートと触れ合える「文化交流のプラットフォーム」を目指していると語っています。
実際、この草間彌生氏の「南瓜」は、施設が仕掛ける壮大なアートプロジェクトの序章にすぎません。日常の買い物の導線に世界最高峰のアートが溶け込む、先進的なパブリックアート空間の構築に向けて、素晴らしい計画が2つ公式に発表されています。
まず、その1つは、2026年末、草間彌生コレクションの完成へ 今年2026年の年末までに、さらに多くの草間彌生氏の芸術作品が同エリアに登場する予定だそう。「草間彌生アートコレクション」として、最も網羅的で完全な芸術的ポートフォリオが構築されることになります。
もう1つは、国際的な巨匠たちの作品が続々と常設へ さらに、世界中の最先端を行く国際的トップアーティストの作品を街中へ導入する計画として、すでに以下の大芸術家たちの彫刻やインスタレーションの設置が確定しています。
アントニー・ゴームリー(Antony Gormley)氏の『BIG SPLICE』:人間の身體と空間の関係性を探求し続ける、イギリスを代表する世界的現代彫刻家です。
安藤泉氏の『A Tree & A Pair Of Horses(木と一対の馬)』:鍛金という伝統技法を用い、生命の躍動感を壮大に表現する日本の著名な彫刻家による作品。
これから益々、啓徳がアートで満たされ、豊かなシーンを作り出してくれるというのはとても楽しみです。この墨緑色の「南瓜」は間近でみると本当に迫力があります。ぜひ一度ご覧ください。
草間彌生作品「南瓜」 / The Twins(雙子匯)
場所:香港九龍啓徳(Kai Tak, Kowloon, Hong Kong)
アクセス:MTR屯馬線(Tuen Ma Line)「啓徳(Kai Tak)駅」(出口B1から徒歩1分)
無料(屋外公共スペースで、パブリックアートとして常設展示)
「啓徳(Kai Tak)駅」(B1出口から徒歩1分)©︎Hong Kong LEI
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