2023/09/12

マカオ:マカオは、中国大陸南岸の珠江河口に位置する旧ポルトガル海外領土で、現在はカジノとモータースポーツや世界遺産を中心とした世界的観光地として知られる(Wikipedia「マカオ」の項より抜粋)。

 

マカオを代表するカフェ「南屏雅叙」の外観

 

香港から西へわずか60kmほど、ヨーロッパ風の美しい建物やギラギラと輝くカジノ、そして美味しいポルトガル(マカオ)料理で知られるマカオ。その圧倒的な近さと独特の文化から、香港で暮らす人々にとって気軽に行ける観光地であることは言うまでもありません。

主に使われている言葉は広東語ですし、文字も繁体字、「マカオパタカ」という現地通貨はあるものの街中どこでも香港ドルが使え、香港と同じようなチェーン店が通りに並んでいるこの安心感! しかしマカオでは香港にたくさんある「あの店」を見かける機会が少ないこと、あなたはお気付きでしょうか?そう、マカオには「茶餐廳」が少ないのです!

「咖啡室」や「咖啡美食」を名乗るお店が多いマカオ

 

誤解を招かないように書いておくと、マカオにも茶餐廳を名乗るお店は(香港ほどではないものの)ありますし、茶餐廳と同じような大衆的な飲食店はたくさん存在します。しかしこれだけ近く、文化的にも類似する土地でありながら茶餐廳が少ないことに、先日三年半ぶりにマカオを訪れた「茶餐廳愛好家」のわたしは改めて驚いてしまいました。

 

香港はイギリス、マカオはポルトガルの植民地であったことは周知の事実ですが、紅茶を楽しむ文化が主流のイギリスと異なり、ポルトガルはコーヒー文化。わたしも先月、ポルトガルのリスボンやポルトに行ってきましたが、街を歩けばそこかしこにカフェがあり、本場のエッグタルト「パステル・デ・ナタ」やかわいらしいパンたちとともにコーヒーを気軽に楽しむ人たちが多いのがとても印象的でした。

ポルトガル・ポルトのカフェ

 

そんなポルトガルの影響をダイレクトに受けているからか、茶餐廳に代わって、マカオで大衆的な飲食店として多く存在するのが「咖啡室」や「咖啡美食」を名乗るお店です。香港の茶餐廳では多くが港式奶茶、香港式ミルクティーを前面に押し出すことが多い一方で、マカオではやっぱりコーヒーが主。メニューの一番上に登場するのはコーヒーで、他のお客さんたちが飲んでいるのも紅茶類よりコーヒーの方が多い印象です。

繫体中文にポルトガル語と英語が併記された南屏雅叙のメニュー

 

香港の茶餐廳と、マカオの咖啡室・咖啡美食とでは食べ物のメニューも少し異なります。ポルトガルの”Padaria”(パン店)や”Pastelaria”(菓子店)と同じようなパン類を出す「南屏雅叙」のような店がある一方で、マカオの下町、高士德界隈にある「雄興泰咖啡室」ではカレー味のメニューが多かったり、香港ほどマカロニを使用したメニューを目にしなかったり、比較的低価格で庶民的なお店という共通点がありながらも、やはりマカオの独自性が感じられるのです。

雄興泰咖啡室のメニュー

 

茶餐廳愛好家のわたしもまだまだ知らないことが多いマカオの咖啡室ですが、そんな中でも一番おすすめできるお店がマカオきっての老舗である「南屏雅叙 Café Nam Ping」。その外観はグリーンのタイルがとても印象的で、一歩店内に入れば、中二階への階段も、パンやタルトが並ぶカウンターもポルトガルのカフェに負けず劣らず魅力的です。

南屏雅叙の階段

 

ここではやはり、Café com leite, ミルクコーヒーを頼みましょう。なみなみと淹れられたコーヒーといっしょに食べたいのは、マカオならではのエッグタルトに、香港でも見られる「沙翁」と呼ばれる砂糖たっぷりの揚げドーナツ。そしてこの店のシグネチャーメニュー、たまごとハム、チャーシューが入ったボリューム満点の「南屏三文治 Nam Ping Sandwich」がテーブルにやってくれば、香港の茶餐廳も、リスボンのカフェも叶わない魅力的なコーヒータイムとなること間違いありません。香港より少しのんびりとした時間の流れるマカオだからこそ、茶餐廳とはまた違った優雅な時間を庶民的なお店でも過ごせそうですね。

南屏雅叙で過ごす、魅力的なコーヒータイム

 

香港からも、日本からも近場でヨーロッパ気分を楽しめる観光地、マカオ。そこには茶餐廳とは違った形で進化を遂げたカフェ、咖啡室があふれています。茶餐廳のようで、茶餐廳でない、マカオのかわいいカフェたちに、あなたも行ってみませんか?


akiramujina

九龍を拠点に「茶餐廳愛好家」を勝手に名乗り、ほぼ毎日茶餐廳や冰室に足を運んでいる在港日本人。
趣味は旅行と茶餐廳めぐり。コロナ禍で旅行ができない今は年100店以上の茶餐廳訪問と、年300杯以上の港式奶茶を目標にしています。
どこへでも行くフットワークの軽さが自慢ですが、どこででも食べてばかりいるせいで自身の重さが悩み。
TwitterとInstagramでも食べ物の話ばかりしています。

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