2019/06/22


皆さん、こんにちは。旬のニュースを取り上げる「楢橋里彩の1min 時事トーク」、
2回目は、先月海外でも大きな話題となった『「逃亡犯条例」改正反対デモ』について取り上げます。

「逃亡犯条例」とは域外(他の司法管轄区)で犯罪を犯した刑事事件の容疑者を域外へ引き渡すことに関する条例のことを言います。香港と台湾・マカオ・中国本土の間には現在、犯罪人引き渡し協定がありません。このため、台湾・マカオ・中国本土で犯罪を犯した容疑者が香港に逃亡し、香港で逮捕されたとしても、犯罪を犯した地域に引き渡して法の裁きを受けさせることはできません。

「逃亡犯条例」の改正に着手することとなった発端は、昨年台湾で起きた香港市民の男が交際相手の香港女性を殺害した事件に遡ります。男は殺害した後、香港へ逃げ戻ったところをマネーロンダリング容疑で逮捕されました。本来ですと台湾にすぐに引き渡すべきですが、現在の条例内容では中国の他の地域への引き渡しは認められないため、政府が条例改正を提案しました。

刑事事件の容疑者を台湾へ引き渡すことを可能にする「逃亡犯条例」改正案を政府が立法会(議会)に提出して数カ月が過ぎましたが、審議は進みませんでした。この男は10月には釈放される予定のため、立法会が7月半ばから10月までの休会に入る前に政府は改正を可決させる構えです。今回の改正が成功しなければ台湾の殺人犯が10月に釈放されることになります。

今回の改正案は、長期的な引き渡し協定を交わしていない地域について案件ごとに引き渡しを検討するのを可能にするものです。しかし台湾は、改正が成立すれば台湾市民が中国本土へ引き渡される事態にも繋がるとして、改正されても懸念が払拭されるまでは引き渡し請求はしないとの立場を示しています。また改正されれば、民主活動家、ジャーナリスト、中国側とのコンフリクトが生じている企業関係者らも引き渡しの対象になる可能性があるとして、デモには在住外国人などの参加者も見られました。

取材中の楢橋記者 (右)

こうしたなか、9日、16日には大規模な「逃亡犯条例」の改正反対デモが行われました。主催者発表によると、9日はおよそ103万人、16日にはおよそ200万人が集まりました。こうした大規模な反対デモはなぜ行われたのでしょうか。『りんご日報』などで報じられているのは、「条例が改正されれば、香港市民の誰もが中国本土に犯罪者として引き渡される恐れがあるため、政府に撤回させないと今後6・4集会や7・1デモに参加しただけで逮捕されて本土に引き渡される。改正されたら、今後はデモができなくなる」といわれ、“最後の機会”として多くの市民がデモに参加しました。これが大規模になった要因です。

香港特区政府が立法会に改正案を提出した4月3日以降大きな話題となり、これまでも何度もデモ行進は行われてきましたが、とりわけ6月9日と16日のデモは多くの人が集まりました。連日気温30度を超える猛暑のなか、多くの人々が金鐘にある立法会議事堂前まで行進し、議事堂を包囲し、幹線道路を占拠しました。人々の手には「反送中(中国本土への犯罪者引き渡し反対)」と書かれたプラカードを持っている人が多く見られました。

現場取材をしていると「お水はいかがですか」と声をかけてくれた、香港科技大学でエンジニアを学ぶ学生たち。

マスクをしてなら話せるよ、とベンさん。家族にも友人にも心配されているということで、顔は見られたくないとのことでした。「政府は信じない。未来は僕たちが作る。2014年の雨傘革命の時に果たせなかった我々の思いが今度こそ報われる時がきた」と、参加の思いを語りました。

9日のデモでは湾仔ではヘネシーロードの全車線を開放しても追いつかないためロックハートロードも片側車線を開放。12日には金鐘でデモ隊と警察の衝突も発生し、警察は催涙スプレーのほか、催涙弾を150発放射しました。この日は、金鐘道からデモ隊排除を開始するため警官隊は午後9時ころから、灣仔と金鐘方面に進みながら催涙弾を放ち、多くのデモ隊が金鐘道から撤退。金鐘一帯で発生した警民衝突により、午後10時までに72人が負傷。年齡は15〜66歲、うち2人は重体となりました。香港特区政府の改正案に対する反対デモはこれまで何度も行われていますが、6月16 日のデモ参加者数の主催者発表は1989年の天安門事件の際のデモを超える人数を記録しました。

こうした市民の反対の声により、政府は改正を棚上げすると発表、さらに林鄭月娥・行政長官は反対派、賛成派、政府職員など全市民に対して謝罪を表明しました。しかし一部反対派はこれを受け入れず依然として攻撃姿勢を見せています。

写真撮影 楢橋里彩


楢橋里彩
福岡県出身。学生時代よりNHK番組にてバイリンガル学生リポ―ターに。NHK宇都宮局キャスター、ディレクターとして携わった後、2007年より中国・大連にある大連電視台(国営テレビ局)にて日本人アナウンサーとして2年間勤務。2009年より香港へ移住。現在は、香港から香港・中国のニュースを毎日発信している「日刊香港メールニュース」の記者として日々のニュースを追いながら、企業トップインタビュー、司会、講演など幅広く活動中。
ブログ http://nararisa.blog.jp/
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WRITER書いた人

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