2024/07/10

今月の特集は、香港スイーツが大好きなHong Kong LEI 編集者がお届けする、題して「ほっとする伝統の香港スイーツ三昧」。伝統的な香港スイーツは、いわゆる洋菓子のような焼き菓子ではなくて、あえて言えば煮たり固めたりして作った、いわばご飯とお菓子の間のようなデザート。豆類や海藻、フルーツなどをふんだんに使っているので、結構お腹も膨れるし、甘さも控えめです。昨今では、昔ながらの門構えで香港デザート(甜品)の糖水(甘いスープ)を出すお店がどんどん減ってしまっていますが、読者の皆さんには、今回の特集を読んで、食材の性質も考えながら作られ食されてきたこの素晴らしい香港スイーツをぜひ試していただきたいと思います。最近は台湾系のものもメニューに組み込まれていたりしますので、それも含めてご紹介します!


目次

1ページ
香港スイーツの老舗
佳佳甜品(佐敦)
浩記甜品(土瓜灣)
松記糖水店(佐敦)
合成糖水(九龍城)

2ページ
気軽においしく
小方糖甜品(寶琳)
地茂館甜品(将軍澳)
和大人(将軍澳)
芋仙森(葵涌)

3ページ
おまけ
豆花
口直しスナック


最初にご紹介するのは、香港で親子代々引き継がれてきた老舗をご紹介します。

佳佳甜品
佐敦寧波街29號地舖
12:00-01:00
instagram @kaikai_dessert

1979年創業の佳佳甜品は、8年連続でミシュランのストリートフード部門で星を獲得していることでも有名な甜品店。ガイドブックでも紹介されているので、観光客にも人気のお店です。並ぶのを覚悟で行ったほうが良いでしょう。人数が揃わないと入れてくれません。

(紫色に見えるのはお店の照明が紫色だったのが反射しています。)

香港スイーツでよく使われるフルーツといえばマンゴー。特に亜熱帯の香港では、暑くムシムシする時期が長いので、マンゴーを冷たくして食べるデザートはリフレッシュにおすすめです。

まずは不動の人気の一品。定番のマンゴーと西米露(サゴ)とポメロ(ザボン)のほぐした実が乗った楊枝甘露。マンゴーのトロトロした口あたりと甘みと、ポメロの少し酸っぱくサクサクした歯触りが絶妙な組み合わせなのです。冷やされた器に喉越しの良い滑らかなマンゴージュレは、特に熱い日にはおいしくいただけます。西米露と角切りマンゴーもちゃんと入っていて食べ応えがあります。おいしすぎて一瞬で食べてしまわないようにマインドフルに食べていただきたいです(笑)。

そして黒いデザートが香港甜品の代表格、芝麻糊湯圓、黒胡麻ペーストをスープにしたものです。今回は胡麻ペーストが入った湯圓という団子を追加で入れてもらいました。胡麻の香ばしい香りと、コクはありつつも甘さが控えめで、むしろさっぱり軽い食感は、スルスルと入ってしまいます。胸焼けになることなく最後までおいしくいただけました。これも今回冷たいのをいただきましたが、熱いものもとってもおいしいのでおすすめです。ちなみにお土産には、芝麻糊は、スーパーでもレトルトパックになっていたり、粉状のものでお湯を入れて混ぜるだけのものを買うこともできます。香港在住の方は、湯圓は冷凍で購入できます。小豆やピーナッツ、蓮の実など自分好みの中身を選んで砂糖生姜湯で煮るだけで、すぐに手軽な香港スイーツを自宅でも食べられますよ!

そして、一見、これが甜品? と思うような蛋花馬蹄西米露。温かいものをいただきましたが、こちら日本の片栗粉の溶き卵スープを連想させますね。片栗粉の代わりに馬蹄粉という黒クワイの粉を使った糖水です。黒クワイ粉は片栗粉よりも弾力が強いため、腸粉などの皮の繋ぎとしてもちもち感をつけたい時や、とろみをつけたい時に使われることがあります。日本の溶き卵スープを思い出すと、ちょっと違和感が生じますが(笑)、トロトロとした口当たりと、ほんのり甘く優しい味でおいしく食べられました。ちなみに、馬蹄の黒クワイは、日本のクワイとは違います。点心で食べられる透き通ったお餅のような馬蹄糕は、わらび餅とういろうの間のような飲茶の定番デザートですので、ぜひこちらも試してみてくださいね。


 

浩記甜品
土瓜灣土瓜灣道237A號益豐大廈地下111 & 122號舖
10:30 – 00:30
instagram
@hokeedessert

以前Hong Kong LEI のCover Storyでもご登場いただいたフードアドバイザーのかなちんさんに教えてもらったお店、創業から35年の歴史がある浩記甜品 。香港メディアにも多数取り上げられる、香港人から愛される老舗です。昔から変わらない材料を使い、素材にこだわり、素朴に調理し、また、のどを乾燥させるグラニュー糖を使わず、黒砂糖と氷砂糖のみを使用し、自然な甘さに仕上げているのだそう。

33年間旺角で営業した後、コロナパンデミックの時期に土瓜灣に移転。それを機に新しいメニューを開発、追加しました。そのひとつが芒果蛋白燉鮮奶。 伝統的な卵白とミルク煮の糖水に、大きな角切りのマンゴーが入ったマンゴージュレを合せた二重層。見た目も豪華で美しいデザートです。


写真提供:かなちんさん

かなちんさん曰く「芒果蛋白燉鮮奶 (冷)は単品でも人気のあるデザート蛋白燉鮮奶にマンゴージュレとマンゴーが乗っている一品で、他のお店にはあまりない組み合わせの欲張りメニューです。暑い時期にはツルッといけちゃいます」

現在はアバディーンとの2店舗で営業しています。


松記糖水店
佐敦白加士街23號地舖
定休日:日曜
12:00 – 00:00
松記糖水店 ChungKee Dessert

こちらも創業1991年の老舗、松記糖水店。深水埗店が第一号店で、現在は香港内で10店舗以上展開する香港スイーツの有名店。フルーツを使ったメニューが人気なんだそうです。

ということで、ちょっとチャレンジして、香港では夏の時期よく食べられているドリアンを使った、店長おすすめの榴蓮燉蛋白芋圓をオーダー。

メニュー右上が榴蓮燉蛋白芋圓

見た目がメニューと違うことは往々にしてあるので、それは大目に見ましょう。やってきた榴蓮燉蛋白芋圓はドリアンの主張が強く、持つとずしっと重い。中には西米露やら小さな白玉のような白芋圓も入っています。まずは、ドリアンが好きという前提であることが重要な一品です(笑)。食べ方としては、あまりドリアンをココナッツミルクに混ぜすぎず、そのままのドリアンをすくって食べたほうがおいしい気がしないでもないです。日本人にはなかなか賛否が分かれるデザートですが、これは香港でないと食べられないでしょう。量もあるので、食後に一人で食べるよりは小腹が空いたぐらいの時が良いです。もちろん、松記糖水店も他のお店同様定番メニューもあるので、無難にそちらを選んでもGOODです!


潮州合成糖水
九龍城龍崗道9號地舖
定休日:月曜
15:00 – 00:00
潮州合成甜品(Chiu Chow Hop Shing Dessert) | Hong Kong Tourism Board (discoverhongkong.com)

50年の歴史をもつ合成糖水は、香港では珍しい潮州の糖水店として知られていて、福州産の最高級の蓮の実を使用しているのだそう。蓮の実を使った糖水を三代にわたって販売してきた一族として有名で香港スイーツ界の「蓮王」とも呼ばれているそうです。本店は深水步石硤尾街にあり、そちらでは麺なども提供しています。九龍城にあるお店の方に開店早々訪れると、作ったばかりの綠豆沙と綠豆邊清心丸が粗熱を取るために店頭に並べられていました。これがある程度冷えたら冷蔵庫で冷やして、冷たいデザートとして提供されます。

早速噂の蓮の実が入った紫儒米とココナッツミルクの椰汁黑糯米をオーダー。

蓮の実がゴロゴロ入っています。蓮の実は腸内環境を整えてくれるだけでなく、「養心安神」と言って、ストレスやイライラを安定させてくれる食材として知られています。噂通り蓮の実は柔らかくておいしかったです。紫もち米のもちもちプチプチの歯ごたえがクセになります。量が多いので、二人でシェアしてもいいですね。

そしてもう一品、潮州と名のつく潮州綠豆邊清心丸をオーダー。

潮州綠豆邊清心丸は、潮州特有のレシピで、細かく砕いた緑豆がたっぷり入っています。緑豆は体のほてりや、口の乾き、体の新陳代謝を促進する効果があるそう。夏バテ防止には良さそうですね。そして蓮根パウダーで作った半透明のお餅も入っていました。蓮根は不溶性食物繊維が豊富で、風邪や咳の症状を和らげるため昔から民間療法で用いられてきました。わらび餅のような見かけで、なんだかどこかで食べたことがあるような懐かしい風味。食べるともっちりと歯応えがあるほのかに甘いお餅でした。今回店主のすすめで熱いものをいただきました。これこそが糖水の原点と思えるような素朴なデザートで、本当に体の機能を補うために食べられていたんだなとわかります。恐らく合成糖水でしか食べられないでしょう。味は、ほんのり甘い豆の砂糖水と言ったところです。

香港スイーツのお店は開店時間が遅いのが普通です。早くて正午、遅くて午後5時なんていうのは特別なことではありません。甜品は夕食後食べるものというのが香港スタイルのようです。

 

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