香港の「楽しい」をいっぱい詰め込んだ情報サイト

2026/10/06

Dunhuang: In Search of Lightのビジュアルイメージ、ダンサー:関剛多 ©️Hong Kong Ballet

かつてこんなに現代のわたしたちに寄り添った、心の内面を探求したバレエ作品があったでしょうか?

これほどまでに敦煌の壁画や仏教美術をベースにした古典の美や幻想的な世界観を纏いながらも、宗教的ではなく「現代を生きる私たちの等身大の悩みや孤独」に深く寄り添った作品はとても珍しいと言えます。

一般的なクラシック・バレエ作品の多くは、おとぎ話の王子様とお姫様だったり、運命の悲恋や善悪の対立といったドラマチックな筋書きを魅せるものが中心です。しかし、今回は、またもや香港バレエ団だからこそ発表できる革新的な作品です。

作品『Dunhuang: In Search of Light ( 敦煌: 本当の自分を探して)』が描いているのは、「完璧になれない私たちが、いかに傷や喪失と向き合い、ありのままの自分を受け入れて生きていくか」という、誰もが人生で直面するテーマなのです。


Dunhuang: In Search of Lightのビジュアルイメージ©️Hong Kong Ballet

あらすじ

物語の主人公は、「本当の自分」と「生きる意味(光)」を探し求める一人の若者。

繁栄を極めるシルクロードを旅する中で、彼は華やかな世の歓楽に触れ、欲望の誘惑や愛の喜びを知り、やがて愛する者との別れや強い喪失感という痛みを経験していきます。幾度も挫折し、孤独と絶望の暗闇に突き落とされても、彼は決して世界から目を背けることはしませんでした。勇気と愛を抱き、目の前の現実をしっかりと受け入れて生きていこうとします。

そんな彼の険しい道中を静かに照らすのは、舞い降りる飛天(天女)や九色鹿(くしきろく)、水月観音(すいげつかんのん)といった神聖な存在たち。彼女たちは温かな慈悲の心で、若者を優しく導いていきます。

喜びも哀しみも受け入れ、「完璧ではないありのままの自分」を愛せたとき、若者は知るのです。暗闇に怯えるのではなく、「暗闇の中でこそ自ら光を放つ術」を。激しい試練の果てに、彼がたどり着いた答え。それは、彼自身の心の中にずっと眠っていた、永遠に輝く「内なる光(本当の自分)」との出会いでした。


香港バレエ団のレジデント振付家、リッキー・フー(胡頌威)さんと

共同振付・脚本担当のマイ・ジンウェン(麦静雯)さんに制作秘話を聞く。2へ


主役の加藤凌さんと関剛多(ゴウタ)さんのインタビューは3へ


写真)レジデント振付家、リッキー・フー(胡頌威)右と、共同振付・脚本担当のマイ・ジンウェン(麦静雯)左 ©️Hong Kong Ballet

本作は、ヘルマン・ヘッセの不朽の名作『シッダールタ』と、古代シルクロードの交差点として栄えた敦煌の壁画世界に着想を得ています。

演出・振付は、香港バレエ団のレジデント振付家で演出家の、リッキー・フー(胡頌威)さんと共同振付・脚本担当のマイ・ジンウェン(麦静雯)さん。昨年、彼らが手掛けた大型ヒット作『The Butterfly Lovers(梁山伯と祝英台)』に続く第2弾となります。『The Butterfly Lovers』は大きな反響を呼び、2025年の第26回香港ダンスアワード(Hong Kong Dance Awards)にて「最優秀振付賞(Outstanding Choreography)」を含む6部門を受賞しています。

リッキー・フーさんは作品について以下のように語りました。

「(この作品は)敦煌という言語を通して、ありのままの本当の自分を探す旅でなのです。作品の主人公は、世の中の誘惑や愛、そして失意や傷を経験した末に、何か特別な神や仏になるのではなく、「不完全な自分をも丸ごと愛し、受け入れること」にたどり着きます。つまり、この作品のタイトル『In Search of Light 』の「光(Light)」とは、外にある何者かを目指す「悟り」や大層な「人生の目的」というよりも、「あらゆる葛藤をくぐり抜けた先で見つける、ありのままの本当の自分(真我)」そのものを指していると言えます。」

誰もが一度は考えたことがあるであろう「本当の自分」。これをテーマとした作品を制作した、リッキー・フーさんとマイ・ジンウェンさんのお二人に制作秘話をお伺いしました。とても興味深いお話をたくさん教えていただきましたので、ぜひインタビューをこちらよりお読みください。


Dunhuang: In Search of Lightのビジュアルイメージ、ダンサー:関剛多 ©️Hong Kong Ballet

そして今回は主役がトリプルキャストで上演されます。そのうちの二人が日本人。プリンシパルダンサーの加藤凌さん、そして今シーズンからソリストに昇格した関剛多(ゴウタ)さんです。今回リハーサルの合間を縫ってお話を伺わせていただきました。

リハーサル風景 演出家のリッキーさん(中央)から指導を受ける剛多さん(右)、凌さん (左)、©️Hong Kong LEI

今回はワールドプレミアとのことですが、プリンシパルとしてどのような心構えで舞台に臨まれますか?(敬称略)

凌:僕はプリンシパルとしての責任感というよりも、観に来てくださるお客様が何かを感じ取って帰っていただけたらいいな、と思いながら踊っています。バレエの公演は夜に行われることが多いので、お客様の1日の終わりにふさわしい素敵な舞台になれば嬉しいですね。今回の演目は特に『人間の生き方』をテーマにした深いストーリーですので、皆さんに心から楽しんでいただけるのではないかと思っています。

リハーサル風景 演出家のリッキーさん(右から2番目)から指導を受ける剛多さん(中央)、凌さん (左)、©️Hong Kong LEI

剛多さん、ソリスト昇格おめでとうございます。お気持ちをお伺いできますか?

剛多:ありがとうございます。僕は香港バレエ団がプロとして初めてのバレエ団で、今年で7年目になります。なので昇格は全く予想もしていなかったのでとても驚きました。これまで全力で、自分ができることをやってきたのが繋がったのであれば、すごく嬉しいです。

お二人には今作で演じる役柄への思い、クリエイティブな制作の舞台裏、そして表現者としての挑戦についてもたっぷりとお話を伺いました。続きはこちらをお読みください。

香港バレエ団のレジデント振付家、リッキー・フー(胡頌威)さんと共同振付・脚本担当のマイ・ジンウェン(麦静雯)さんに制作秘話を聞く。2へ
主役の加藤凌さんと関剛多(ゴウタ)さんのインタビューは3へ

1ー2ー3


Hong Kong Ballet
Dunhuang: In Search of Light
(敦煌: 本当の自分を探して)

公演日程:
2026年10月16日(金)19:30
2026年10月17日(土)14:30 / 19:30
2026年10月18日(日)14:30 / 19:30

会場:香港文化中心(Hong Kong Cultural Centre)グランドシアター(大劇院)
チケット:こちら
HK$1,380 ( VIP tickets), HK$1,100, HK$880, HK$680, HK$480, HK$280

ローカルの学生、シニアは半額
6歳以上推奨
公演は1時間50分(1回休憩含む)


合わせてこちらもお読みください。

香港のカルチャーシーンに新時代到来!2027年開館の「西九龍パフォーマンス・アート・センター」が香港バレエ団の拠点へ〜両者が開く新たな可能性〜

Hong Kong LEI (ホンコン・レイ) は、香港の生活をもっと楽しくする女性や家族向けライフスタイルマガジンです。

Translate »