2022/12/17

もう12月ですか! 2022年、振り返ってみました。いやー前半は辛かった! 年明けから子ども達の学校閉まりましたからね! 3月には感染者数が爆発的に増え暗いニュースばかり。でも後半になってからは規制も緩和し始め、数年ぶりに遠方にいる家族と再開できた方も多かったと思います。公立小学校もこの12月からついに全日授業再開となりました。

 

まだ規制が厳しかった昨年のクリスマスはステイケーションに決めた我が家。せめて雰囲気だけでも海外に行った気分に浸りたいなぁ、と思ったわたしがインターネットで見つけて予約したのは、白い砂浜に真っ青な海を背景に建つ『ゴールドコーストホテル』なるものでした。雰囲気も名前もまるでオーストラリアのよう!

 

さて、当日。タクシーで日が暮れた街並みを通り、もうすぐ到着というところで夫が窓の外をさして言いました。「お、見えてきた。あれがホテルじゃない?」と。彼の指差す方を見ると……

 

 

『黄金海岸酒店』

 

がーん!!

ちょっと全然オーストラリアじゃないじゃないですか!! 黄金海岸と書いてゴールドコーストって、確かにそうですけれど、でもイメージが全然違います! クリスマスだし、デザートにはケーキとか食べたかったのに、これじゃ月餅とかあんまんとかが出てくる感じがします! しかも『酒店』って、酒豪の親父が飲めや歌えやの大宴会とかしていそうじゃないですか!

 

……と、とても焦ったわたしでしたが、中は子ども用施設も充実しているとても素敵な、そして案外洋風なホテルでした。

 

さて香港ではホテルのことを『酒店』と表記します。例を挙げますと世界各国に展開しているザ・ペニンシュラ。歴史ある第一号店は今から100年近く前の12月に九龍半島(半島=ペニンシュラ)で開業したわけですが、香港では『半島酒店』と表記します。ペニンシュラホテルと言えば送迎はロールス・ロイス、客室は一泊7万円以上する超高級ホテルなのに、『半島酒店』と書いてしまうと……日本人のわたしにはなんとなく『九州の酒屋』と大差なく聞こえてしまうのでした。

 

 

話を黄金海岸酒店に戻しましょう。

クリスマスの時期でしたので、ホテル内では子ども達が参加できる様々なワークショップが開催されていました。

 

 

 

『聖誕曲奇』と『薑餅人小屋』

 

英語に照らし合わせながら見ると、『聖誕』がクリスマスで『曲奇』がクッキーということがわかりますね。

『曲奇』はこの季節、日本に帰国する際のお土産にもってこいですが、ご購入の際は香港の歴史ある『奇華餅店』に行ってみるといいかもしれません。空港や町中にチェーンを展開するこのお店は、上述のペニンシュラホテルと同じく、始まりは九龍半島でした。お土産を渡す際に「香港の老舗、奇華餅店の曲奇(クッキー)だよ」とメモを添えれば香港と広東語をよりよく知ってもらえるという優れもの! また曲奇を一緒につまみながら「『曲奇怪獣』ってなんのことか知ってる?ゴジラの仲間じゃないんだよ、セサミストリートのクッキーモンスターのことなんだよ!」なんて話をすると、きっと場が盛り上がることでしょう!

 

そして『薑餅人小屋』。日本語では『薑』は『はじかみ』と読み、焼き魚などに添えられている先がピンク色の細い生姜のことを指しますが、ここ香港では『薑』は生姜一般を指します。

さて英語表記が付いていますが、わたしの解釈では『薑餅人』はジンジャーブレッドマンで、『薑餅小屋』はヘンゼルとグレーテルのお菓子の家のようなジンジャーブレッドハウスですね。

『薑餅人』と書いてジンジャーブレッドマン。日本人的には「それは餅なのか、パンなのか? どちらなんだ?」と問いたくなるところですが、人の形をした生姜味のクッキーで、欧州のクリスマスシーンではよく見かけます。この『餅』という漢字ですが、香港での『餅』は、日本のわたしたちが想像する、ビヨーンとのびる『餅』と違うようなので注意です。前述の『奇華餅店』に餅は売っていませんし、『月餅』も餅というより饅頭です。またコラム第7回でご紹介した老婆餅は、餅ではなくパイの様なお菓子です。ここ香港では『餅』とは小麦粉などを練って作った食べ物を指す様です。

 

さて今年のクリスマス。パシフィックプレイス内に設置された『聖誕老人屋』で『聖誕老人』と一緒に写真をとるチケットは残念ながらもう完売でした。仕方がないので、我が家はセントラルのIFCに登場した『聖誕老人村』に子ども達を連れて行こうと思っています。え? どこの老人ホームの話かって? 違いますよ、『聖誕老人』とは香港ではサンタクロースのことを言うのですよ! 日本的に考えると、なんだか失礼な呼び方の様な気もしますけれどね。

皆様も素敵な『酒店』で美味しいディナーを食べたり、『薑餅人』という名の『曲奇』を子ども達と作ったり、『聖誕老人』に変装してプレゼントを配ったりと楽しいクリスマスをお過ごしくださいね!BGMには是非、松任谷由実の『恋人がサンタクロース』を!

ではまた来年!

 


小林杏 (Anne Kobayashi)


東京都出身、青山学院大学仏文科卒。ニュージーランド、日本、フランス、英国での就業経験あり。ロンドンでの出産子育てを経て、2020年に来港。今まで住んできた土地のように、香港も愛おしい場所となりつつある今日この頃。趣味は読書、舞台芸術鑑賞とカンフー映画鑑賞。


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