2020/10/15

上海と聞けば、まず思い浮かぶのは食のこと—上海名物の小籠包かもしれません。でも、かつて香港に、絶大な人気を誇った上海スタイルの理髪店があったことはご存じですか?
第二次大戦後、中国の国共内戦を逃れて多くの上海人が香港へ移り住みました。資金と技術のある彼らが香港の街で上海式の理髪店(上海バーバー)を開いたのは1950年代のこと。従来の床屋さんと違って男女問わずウェルカム、高いシェービング技術と西洋式ヘアカットが評判でした。香港では西洋文化への憧れが高まりつつあった時代、上海バーバーはたちまち大人気に。庶民に限らず、エグゼクティブから映画スターまで、完ぺきなシェービングとヘアスタイルを求めてこぞって詰めかけたのです。
ときは流れ、理髪業は斜陽の一途。上海バーバーは香港の人びとの懐かしい思い出になりました。おしゃれなヘアサロンやお手軽なカット専門店が増え、後継者もなく高齢となった理容師さんたちは引退。今では旺角や彩虹、深水埗など、上海バーバーは古い街の片隅に数えるほど。
もし行ってみたいのなら、その細々とした営みが姿を消してしまう前に、どうぞお早めに。

WRITER書いた人

Hong Kong LEI (ホンコン・レイ) は、香港の生活をもっと楽しくする女性や家族向けライフスタイルマガジンです。

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