2023/10/15

薑汁蛋白燉鮮奶
(グォン ジャップ ダン バック ダゥン シン ナイ)
平民補品 : 庶民の滋養食
廣東風しょうが牛乳たまごプリン

すっかり秋になって来た2023年の東京。今年は猛暑に見舞われ、厳しい夏を乗り越えたので体はしんどかったです。パッと頭に浮かんできた滋養食は『薑汁蛋白燉鮮奶』(廣東風しょうが牛乳たまごプリン)です。
2006年、南半球豪州ヴィクトリア州の秋である3月。朝晩は肌寒く、日中は暖かく過ごしやすく、カラっとしており湿気が少ない季節でした。朝6時に起床後は真っ先に自宅で最期を迎えようとしている父の様子を確認してからすぐ厨房に向かいました。
冷蔵庫から卵一個と牛乳を取り出し、卵白と卵黄を分け、牛乳にお砂糖小さじ2と掻き混ぜた卵白を入れ、目の細かい茶漉しに流しながら茶碗に注ぎました。アルミホイルで蓋をして、楊枝でさっと小さい穴をあけ、鍋に入れ、蒸し用のお湯は茶碗半分程の高さまで入れ、弱火で5分セットして再び父のホスピス緩和ケアルームに戻りました。
電子ベッドのリモコンを握り、ベッドを徐々に起こし、父の朝食の用意をしました。アルミホイル蓋を開け、アツアツ固まったばかりのトロトロ牛乳たまごプリンをおぼんに置き、ティースプーンを添え、父の部屋まで運びました。
嚥下障害の父に涎掛けを付け、たまごプリンをゆっくり食べさせました。余命2週間と言われた日から毎日たまごプリンを作り続け3か月後に父はとうとう息を引き取りました。
我々廣東人はDNAのせいでしょう、なんとなく「医食同源」という考えがあり、玉子と牛乳は栄養豊富と信じ、広東省順徳市の名物の牛乳プリンを食べたら体力回復に良い、美肌に良いと信じ、食べ続けています。今でも。
今回のレシピは父に作ってあげたものと違って生姜汁を加えました。自分はしょうがが効いた味が好きで、しょうがの香りだけではなく、辛みが残るパンチのある味が好きです。作り立てのプリンは生姜の香りが豊かで、冷めたらあまり感じなくなるため、追い生姜シロップを足すほど生姜味が好きです。生姜を入れることによって、卵の重だるみが減り、よりすっきりとした風味に感じらると思います。
皆様は温製派ですか? あるいは冷製派ですか?

 

Tips:  卵白と牛乳の割合一覧表
とろとろのプリンの場合 卵白:牛乳 1:4
とろとろコクがあるプリンの場合 卵白:牛乳:生クリーム 1:3:1
固めのプリンの場合 卵白:牛乳 1:3
固めコクがあるプリンの場合 卵白:牛乳:生クリーム 1:2:1

 

材料 (1人前)

材料:
卵白…………………………..1個
牛乳……………………………卵白重の約4倍
(約160-180g)
砂糖……………………………総液体重の約10%
(約15g-20g)
生姜汁………………………..2小さじ
(好みで加減する)

 

<作り方>

1.大きい目の軽量コップかボウルに牛乳、砂糖、生姜汁を入れて泡立て器で砂糖を溶かす。
2.卵白を加えて泡立て器で溶きほぐす。
3.茶碗に目の細かい茶漉しを重ね、2の液体を漉す。ラップで蓋してから楊枝で穴を開ける。
4.深さがある鍋にペーパータオルを敷き、3を入れて置き、熱湯を茶碗の半分の高さまで注ぎ、蓋をしてから弱火で5分ー10分(あるいはお湯が再沸騰直前まで)温め、火から下ろす。その後15分ほど蒸らす。
5.熱いうちに食べても、冷めてから食べてもOKです。個人的に熱いうちに食べたいタイプです。

 


雲姐(ワンジェ)

料理研究家。香港に生まれる。幼少期、平日は祖母、週末は料理が趣味だった父の手料理を食べて過ごす。オーストラリアへ移住を経て、結婚を機に日本へ移り20年以上。中国国際薬膳師、発酵食品ソムリエ、発酵ライフアドバイザーの資格を持ち、中華圏および日本の食文化への造詣も深い。現在は、日本の人々に香港料理を伝えるべく東京で活動中。

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人在東京 Prime Kitchen Labo

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