2022/10/08


今回ご紹介するところ
油麻地天后古廟
深水埗天后廟


LEI読者の皆様、こんにちは。香港の天后廟を巡る日本人ことやんまです。

記念すべき初回は油麻地の天后廟を通して”地理・歴史の面白さ”を紹介しました。2回目となる今回のテーマは”建築の面白さ”です。この記事を書いた時点で85件の天后廟を見てきたわたしが感じる建築の面白さ、それは「形もデザインも同じものがない!」

またの登場は油麻地の天后廟。前回は内部の様子を紹介しましたが、今回は外の様子を見てみましょう。かなり横長の建物だなあと思いきや、なんと5つの廟が連結されて一つの建物を形成しているのです。

1878年に今の場所に移転された時、この天后廟は単体で建立されました。19世紀末に觀音樓社壇と書院が天后廟を挟むように増築され、さらに20世紀に入って福徳祠と別の書院がさらに挟むように増築され、それが100年経った今でも残っているのです。壁の色や装飾もバラバラなのに一つの建築物として成立してしまう様は、さすが九龍寨城を生み出した香港といったところ。ちなみに書院とは、前近代の東アジア圏における学校・私塾のこと。日本の江戸時代に見られた寺子屋をイメージされると分かりやすいかもしれませんが、ここ油麻地の書院は1991年まで機能していたようです。本当にここは驚きの発見が絶えません。

上から見た油麻地の天后廟を収めることができました。屋根の形や斜度も違っていて、異なる時代に増築されたことがよく分かります。わたしも初めてここを訪れた時、その大胆かつ独特な構造にとても驚きました。その後、複数の廟が繋がった天后廟や道教寺院が香港にいくつもあることを知りますが、油麻地の5つを超えるものはありません。また、天后廟の裏にある立派な彫刻石も見所の一つです。意外と知らない人が多いので実物はぜひ現地でご覧ください。

なお、かつて書院だった場所を使って、書物の貸出・販売、香港の歴史や文化を学ぶイベントが行われています。美味しそうな車仔麺の屋台が出ていますが、展示物なので実際に振る舞われることはありません。残念!

天后廟が持つ建築の面白さは他の天后廟をいくつか見なければ感じにくいもの。わたしと一緒に天后廟を巡る小旅行に出かけましょう!

油麻地からMTRの赤の路線・荃灣線に乗って向かったのは深水埗。こちらも多くの日本人に馴染みのあるエリアだと思いますが、天后廟を参拝したことはありますか? C2出口を出て真っ直ぐ、露店が立ち並び人であふれかえるエリアを抜けていくとその建物は現れます。

濃緑系色の外壁と屋根。白抜きされた独特の紋様。油麻地と比べるといささか地味なのに、周囲の中高層住宅の中で強い存在感を放っています。街角にあるからこそ分かる側面の端麗さがこの深水埗天后廟の魅力、いつの間にか喧騒を忘れて見入ってしまいますね。買い物で深水埗を訪れるたび、人混みに揉まれて疲れを感じるわたしは必ずこの天后廟で落ち着きを取り戻しています。

側面から見るとはっきり分かる二つ屋根の建物は、天后廟をはじめとする道教系寺院でよく見られる建築様式です。厳密にいうと、前殿と正殿が繋がって一つの建物ように見えています。油麻地の天后廟にあった回廊が無くなったものと考えると分かりやすいかもしれません。

読者の皆様の中には、天后廟や他の道教系寺院をいくつか訪れた方もいるでしょう。入口の段を跨いで中に入った時、「あれ?思ったより広いぞ?」と感じたことはありませんか? これこそ二つ屋根が生み出す副産物であるとわたしは考えています。もし、同じ広さの土地に一つ屋根の廟が建てられていたらどうでしょう。きっと真ん中に太い柱が入ってしまい、奥にいらっしゃる天后様も窮屈な思いをしていたかもしれません。二つ屋根だからこそ無駄な柱や梁が無くなり、神聖で広々とした空間を創り出すことができたわけです。

1901年に創建された深水埗の天后廟もまた、海のそばに建てられていましたが、埋立が進んだ今は海岸線すら見えません。それでも、ここは深水埗で、隣の駅は長沙灣。海に縁のある字が並んでいます。今の天后廟は1990年に改修されたもので、すでに30年が経過しているそう。味わい深い廟内の様子を見るなら今のうちかもしれません。

いかがでしたか? 佇まいは良いけど似たり寄ったりな日本の寺院と違い、形やデザインの多様性に富んだ香港の天后廟、もっと見てみたくありませんか? 次回はMTRの緑の路線・觀塘線に乗り換えて、これまた違った外観の天后廟を紹介していきたいと思います。

 


やんま
2020年10月から出張で香港入り。仕事の傍らになんとなく始めた天后廟巡りにハマり、その魅力をSNSで発信するようになる。やんまは小学生時代のあだ名から。

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