2024/01/29

先日開催されたツァン・マントンのパフォーマンス「108のハーモニクス」Photo: May Kam

香港の近代美術館M+では年間を通してさまざまなイベントやワークショップが行われています。今回ご紹介するのは、今香港で流行っている、多忙を極める人々にピッタリのシンギングボウルを使ったイベントです。シンギングボウルは、さまざまな大きさの金属製のボウル(器)を叩いたり擦ったりして奏でます。その音色や振動は、倍音となりリラックス効果があったり、心を落ち着かせる効果があると言われています。

様々なサイズのシンギングボールとバチ

今回のM+のシンギングボウルのプロジェクトは3つから構成されていて、香港出身のアーティスト、ツァン・マントン氏と彼のチームAllpamamaによって作られました。先日開催された3つのイベントからなる「108のハーモニクス(調和)」の中の「Sonic Tranquillity(音波の静けさ)」というパフォーマンスイベントでは、彼がシンギングボウルを使って、観客と繋がりと循環を体験するというものでした。

当日、筆者はパフォーマスンス開演直前ギリギリに息をあげてながら会場に到着したところ、部屋は薄暗く、床の上に座卓が並んでいて、外部とは全く違う空間となっていました。実はこのパフォーマンスは、観客がそこに足を踏み入れたところから始まっていたのです。暗い中、靴を脱いで床に座るような形で、静かに時間が来るのを待つというのはとても新鮮な体験でした。90分の舞台では、マントン氏が香港の自宅から録音したという鳥や風などの自然のアンビエントと共に、彼が手に持った笹のザワザワという葉の音が耳元で行ったりきたりします。目を閉じると、まるで自分が森の中にでもいるような錯覚に陥ります。マントン氏がゆっくりと歩み、物を取り、静かに舞う。中央に建てられた薄い生成りのつい立てに、水面や、森、川などの映像が映しだされ、自分は自然の一部であることを思い出させてくれます。

Photo: May Kam

マントン氏は大小さまざまなシンギングボウルをつい立の後ろから鳴らしていきます。演奏している様子が良く見えないので、いやでも耳のほうに気が行ってしまいます。目を閉じて聞いていると、だんだん心地良くなって、頭の奥の方でシンギングボウルがぐわんぐわん鳴っています。眠ってしまうのとはまた全然違う、眠る手間の気持ちの良さを体感しました。

Photo: May Kam

マントン氏が一番大事な場面と自ら言っていたのが、観客一人一人に鈴を持たせて、一緒にひとつのサウンドを作っていくというラストセッション。これが「108のハーモニクス」という3つのイベントの由来でもある、観客全員とパフォーマーの共演と調和なのだそう。


Photo: Tsang Man-tung

セルフガイド瞑想ツアー

そして、2024年1月16日から始まった2つ目のイベント、セルフガイド瞑想ツアーをご紹介しましょう。マントン氏がM+ 内でシンギングボウルが共鳴するスポットを見つけ、その場所にあった音色を演奏、録音。MP3のヘッドフォンをつけて、聞きながら10のスポットを歩いてまわります。M+の賑やかな雰囲気の中でも、自分の中に入って、音と空間の調和的な共鳴を探求しながら、シンギングボウルの音色に浸りましょう。ジーンと来た場所は、リスナーの個人的なパワースポットになるかもしれません。美術館との関わりを通して、今を味わい、ちょっと忙しい心を置いて、ゆっくり楽しむと良いでしょう。

参加での注意

ーツアーで使用する道具を借りるため、10分前までにラーニング・ハブ(受付階にあります)の受付にお越しください。使用法などを説明してもらいます。
ーツアー終了後、借りした機材はすべてラーニング・ハブのレセプションデスク・スタッフにご返却ください。

10スポットは美術館の内外にあります。地図を見て1から順に巡ります。

Photo: Tsang Man-tung

M+より

M+内の様々なシンギングボウルの音色を聴きながら、自分のペースで瞑想ツアーにご参加できます。音、空間、建築の調和的な共鳴を探求するために、それぞれユニークなテーマとシンギングボウルの音色で構成された、「レスティングスポット」と呼ばれる10のエリアを訪れます。途中の一時停止と再スタートによる変容の力を通して、慌ただしい日常から個人的な隠れ家を作る方法を発見し、学ぶことができるでしょう。

開催日
第1ラウンド:2024年1月16日~2月17日
第2ラウンド:2024年2月20日~3月17日

開始時間:
火曜日から日曜日(金曜日を除く): 12:30, 13:30, 15:00, 16:00
金曜日 12:30, 13:30, 15:00, 16:00, 17:00, 18:00, 19:00
所要時間:約60分
集合場所:レセプションデスク、ラーニング・ハブ
料金:スタンダード HK$ 120; コンセッション HK$60、M+会員 HK$60
詳細:https://www.mplus.org.hk/en/events/108-harmonics/

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3つ目のイベントはマントン氏の指導によるワークショップです。詳細は以下をご覧ください。
https://www.mplus.org.hk/en/events/108-harmonics/

シンギングボウルの音色の中で、セルフガイドツアー、瞑想、サウンドリラクゼーションを体験することができます。

開催日:
2024年2月23日(金)15:00~17:00、19:00~21:00
2024年3月10日(日)10:30~12:30、14:30~16:30
場所:フォーラム、ラーニング・ハブ
言語:広東語
料金:スタンダード HK$300; コンセッション: HK$150、M+会員 HK$ 150

 


Photo by: Cheng Shih-chieh

アーティスト紹介:ツァン・マントン
演劇、ビジュアル・アート、音楽、芸術教育などを取り入れた学際的なアーティストである。2008年香港芸術発展賞最優秀アーティスト賞(演劇)、ダンスドラマ『Storm Clouds』で2017年ワールド・ステージ・デザイン賞セットデザイン部門銀賞を受賞。リチュアル・シアター作品『The Light of Metempsychosis』(2021年)や『Ashtanga』(2023年)に見られるコンセプチュアルでミニマルな作風で知られる。2010年、ツァンは、身体と感情のバランスを保つ瞑想状態を達成するために、シンギングボウルの練習を通してさまざまな芸術媒体の形態を統合する組織、Allpamamaを結成。彼は初のシンギングボウル・アルバム『The Seed of Sound』をリリースした。2020年にはシンギングボウルに関する書籍『The Bowl of Enlightenment』を出版。

Photo: Tsang Man-tung

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