2023/11/06

わたしにとって大好きなイベントの一つ中秋節。思い浮かべるのは月餅、燈籠(ランタン)、家族團圓(団らん)……そして舞火龍(ファイヤードラゴンダンス)!

満月と花牌

今年はようやくいろんな制限から解放され、4年ぶりに舞火龍が復活だというニュースを聞き、久しぶりに胸が高まりました。ちょうど4年前に朋友が連れてきてくれたこの地で、もう一度あの熱気を味わえるなんて、長らく待った甲斐がありました。

舞火龍で有名なのは大坑だと思いますが、私は香港島の南西部に位置する薄扶林村に行ってきました。初めてこの目で見た時はすごく引き込まれました。

中秋節の前にも赤柱などで見れたようです

薄扶林村は200年以上の歴史がある村で、文化的価値を持つ場所として保護の対象になり、世界歴史遺産基金の2014年リスト(※1)や香港政府の「香港非物質文化遺産リスト」(※2)にも登録されています。

 

朋友たちも幼少期に住んでいたこの地は、通常時でも神秘的な佇まいや自然と歴史的建造物が調和した趣がある街並みです。中でも中秋節の時期には一番賑やかになるのではないでしょうか。

村のデコレーションも味があってよい

ここで行われる舞火龍の歴史は、19世紀末に薄扶林周辺で発生した疫病に由来するといわれています。当時、村人たちは香火が災いを払い、病気から守り、村を浄化することができると信じていたそうです。また龍は瑞気の象徴であるため、稲草と竹で形を作り、その胴体に沢山の線香をさしてできた龍が、村全体を巡回し村人たちの平安を祈願したそうです。疫病が治まった後も舞火龍の習慣は残され、今ではその文化を残そうと、小規模ながらも毎年続けて今に至るそう。(※3) 

 

今年は9月28、29日、旧暦でいうと毎年8月14、15日の2日間で行われます。わたしが行ったのは29日の夜。大坑での大人数かつダイナミックなのとは違い、村の活気と歴史の一端が華やかに蘇り、久しぶりに舞火龍の迫力と美しさを目にすることができて、これよこれ! と目頭が熱くなりました。

 

村に向かう途中朋友の家族が火龍は今ここにいる! と実況もしてくれたおかげで、良きタイミングで間に合いました。村を一望できる場所からまずは全体の雰囲気を味わいます。天気もよく素晴らしい眺め。よく見ると複数の家が屋上でBBQをしていました。楽器隊が奏でる音から、いつにもない高まりを感じます。

龍の頭が見えた!目がライトになっています
家の前に火龍が来ると歓声が上がる

途中、路地と家の間から火龍を導く龍珠が見え、村人たちは火龍が来るなり待ってましたとばかりに歓声をあげ、舞火龍をじっと見つめ、想いを馳せます。この数年間の事をみな思い思いに振り返っているだろうなぁと、何度もうるっと来てしまいます。

村を一巡した後は、村の入り口に火龍が一列になり、その場にいる人々が火龍に線香を刺す(線香を入れ替える)と龍身に参加することができ、近くで舞火龍を見られるので、これもまた興奮するポイントだったりします。

龍珠と火龍が戻ってきた
龍身に線香を指すためみなで待っている状態

最後まで見ることはできなかったので、どうなるか朋友たちに解説してもらったところ、村内を巡ったあと引き続き踊りながら華富邨とその裏側にある瀑布湾(ウォーターフォールベイ)まで行き、「龍歸滄海」(龍を海に帰す)という儀式を行うそうです。以前は村人たちは火龍を直接海に投げ込み、翌日船で引き上げていましたが、現在では少しだけ海に入れて引き上げるそうです。理由は費用が好貴呀!(高い) だからといわれてなるほどなと思いました。(※4)

 

この伝統はいつまでも続いてほしいですね。また来年も観に行くことができますように。

もちろん香港おじ(薄扶林おじ)のチェックも欠かせない

 

※1

Pokfulam Village | World Monuments Fund

※2

香港非物質文化遺產資料庫- 薄扶林村舞火龍

※3

薄扶林村社區檔案館

※4

「龍歸滄海」舞到底- 香港文匯報


プロフィール

wm_Journal

初香港は1996年の返還前。時を経て数年前から香港にどっぷりハマり、2020年から思い立って単身移住。コロナの最中も自己満レベルの広東語と陽気なノリで思い立ったら即行動をモットーに楽しく生息中。趣味は香港おじの観察やおじとの会話を楽しむ、香港映画鑑賞とバスを終点まで乗ってみたりすること。

instagram
@wm_Journal

 

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